介護施設・老人ホーム見学のポイントや手順を紹介!【見学チェックシートあり】
介護施設・老人ホームを選ぶ際、施設の雰囲気や入居者の様子など、実際に足を運ばなければわからないことがあります。
しかし、単に施設内を見て回るだけでは、肝心な点を見落としてしまうこともあります。
そこで今回は、介護施設の見学における手順や事前準備、チェックポイントなどを紹介します。
目次 |
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介護施設・老人ホーム見学の必要性
介護施設・老人ホームを決める時、パンフレットやホームページからの情報だけでは判断材料が十分ではないため、見学あるいは体験入居をすることをおすすめします。
実際に見学することで、施設やホームで働いているスタッフや入居者の様子などを自分の目で確認できることがメリットです。
見学をせずに入居して、「イメージと違ったから」と短期間で退去するのは、入居する本人や家族はもちろん、施設にとっても負担になります。
介護施設・老人ホーム見学までの手順
介護施設・老人ホームを見学する際には、見学する施設を探して、事前に予約の連絡を入れる必要があります。
複数の施設を見学することが望ましいですが、各施設に予約の連絡を入れるたびに、本人の介護度や身体の状態、認知症の有無などの情報を伝えるのは手間がかかります。
シニアのあんしん相談室を利用すると、入居者の身体の状態や希望条件に合った施設の選定や見学の調整を依頼できます。複数の施設の見学予約をまとめて行えるため、より効率的に、そして手軽に予約の手続きを進められます。ぜひご活用ください。
なお、介護施設を見学する際には、入居者にとってプライベートな空間であることを認識して、マナーを守ることが大切です。
見学までの流れ
一般的に、介護施設・老人ホームの見学は、以下のような流れで進めます。
- 1. 見学する施設を選ぶ
- 2. 見学日時の候補日を決める
- 3. 施設に予約を入れる
- 4. 見学の際のチェックポイントや質問項目をとりまとめる
- 5. 持ち物を準備する
- 6. 見学
見学の心構え
介護施設・老人ホームは、入居者にとっては生活の場です。
入居者の家を訪問しているという意識を持ち、以下の点に注意しながらマナーを守って見学しましょう。
見学時のマナー・心構え |
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介護施設・老人ホーム見学の事前準備
介護施設・老人ホームを見学に行く際には、以下の事前準備を行っておくと、より有意義な時間にできます。
- ・見学前に予備知識をつける
- ・見学でしたい質問事項
- ・見学に必要な持ち物
介護施設・老人ホームを見学する際は、施設の概要をはじめとした予備知識を事前に身につけて、質問事項を整理しておくと、確認漏れを防げます。
あわせて、筆記用具や見学チェックリスト、カメラ、メジャーなどの持ち物も用意しておきましょう。
見学前に予備知識をつける
施設の予備知識を持たずに見学に行くと、あとから「ここをチェックするべきだった」、「あのことを聞いておけばよかった」と思うかもしれません。
そうならないように、見学前にパンフレットを読んだり、可能であれば重要事項説明書を取り寄せたりして、施設の概要を把握しておくことをおすすめします。
見学でしたい質問事項
介護施設・老人ホームの見学に行く際は、あらかじめ質問事項をまとめておくとスムーズに質問しやすく、聞きたいことの抜け漏れを防げます。
たとえば、以下のような質問事項を用意しておきましょう。
見学時の質問例 |
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見学に必要な持ち物
介護施設・老人ホームを見学する際は、次の持ち物を用意しておきましょう。
- ・筆記用具
- ・見学チェックリスト
- ・確認事項や質問事項のメモ
- ・カメラ
- ・メジャー
事前にまとめた質問事項のほか、家具を持ち込むスペースを測るためのメジャーも持って行くと安心です。
見学の回数とおすすめの時間帯
複数の施設を見学することで比較・検討を行えますが、施設数が多すぎると情報を整理しきれなくなる恐れがあります。
情報整理の負担を減らし、かつ比較・検討を行うためには、3箇所程度の施設を見学するのがおすすめです。
また、施設を見学する時間帯によって、確認できる場所や様子が異なるため、見学を予約する時間帯も意識しましょう。
スタッフや入居者の様子がわかりやすいのは、食事やレクリエーションの時間帯です。食事中の見学では、献立や介助の様子を確認できます。多くの施設では、食事を試食できる機会が設けられています。
一方で、食事の時間はスタッフが慌ただしく動いているため、見学を受け付けていない施設もあることを理解しておきましょう。
介護浴槽や入浴設備を見たい場合には、使用していない時間帯に見ることができるかを尋ねてみましょう。
1回の見学でチェックしたい項目をすべて確認することが難しい場合には、見学日を分けることも選択肢の一つです。
介護施設・老人ホーム見学時のチェックポイント
介護施設・老人ホームを見学する際は、施設内をただ見て回るのではなく、比較・検討を行うためのポイントをチェックすることが大切です。
見学時にどのようなことをチェックするとよいか、次の9つの項目をチェックしましょう。
チェックしておきたいポイント |
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環境や立地条件は、入居する本人はもちろん、訪問する家族の利便性にも影響します。
共有スペースでは、全体の清潔感をチェックするほか、食堂の配置や設置されている共有施設の確認も大切です。
居室設備は、施設によって設けられている水回り設備や家具などが異なります。
食事は選択食の導入の有無や、介護食・治療食への対応が行われているかがチェックポイントです。
入浴に関しては、設置されている浴室のタイプや入浴回数などを確認します。
そのほか、レクリエーションやイベントの開催頻度、訪問診療の頻度や通院送迎費の費用など、施設によって差が出る部分を重点的にチェックしましょう。
環境・立地
介護施設・老人ホーム選びでは、家族が通いやすい場所にあるかどうかという点も重要なチェックポイントです。
見学時に、実際に最寄り駅から施設まで歩いてみたり、周辺を散策してみたりするのが望ましいでしょう。
見学のためと捉えるのではなく、入居後に通うことをイメージしながら、確認してみてください。
また、自立した生活が可能な方が入居する場合や、家族が訪問することを考えると、周辺にコンビニやスーパーなどの買い物施設あるかどうかも重視したいポイントです。
周辺の交通量や公園の有無など、安全に散策が楽しめる場所があるかという点も確認しましょう。
チェック項目の例 |
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共有スペース
介護施設・老人ホームの共有スペースで重視したいのは、お部屋全体の清潔感です。
清掃やメンテナンスが行き届いているかを目で確認するほか、においの有無も判断材料になります。
施設・ホームの食堂は、各フロアに配置するケースと1箇所に配置するケースがあります。
各フロアに食堂が配置している場合、上下階の移動が発生しないため、手すりや杖を使って歩行する方も移動しやすく、歩行の機会が生まれることがメリットです。
同じフロアに入居する少人数での食事となることから、家庭的な雰囲気になりやすいという面もあります。食堂の見学時には、食事の時間に各フロアに必要な数のスタッフが配置されているかどうかも確認しましょう。
一方、施設の1箇所に広い食堂を配置している場合は、多くのスタッフで効率的に見守りができるというメリットがあります。ただし、移動に時間がかかることや混雑することが考えられるため、エレベーターの台数や混雑を回避するための対策が行われているかを確認しましょう。
機能訓練やリハビリスペースの充実度も施設によって異なる点です。
共用スペースの充実度や居心地のよさは、自然なコミュニケーションが生まれる場となります。その点も考慮して以下のような項目をチェックしましょう。
チェック項目の例 |
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居室設備
介護施設・老人ホームの洗面台やトイレ、キッチン、浴室といった水回り設備は、居室に設置されているケースと、共有スペースに設けられているケースがあります。
また、ベッドやカーテンなどが備わっているケースのほか、リース料が発生するケースや、自分で持ちこむケースもあります。家具を持ち込む場合は、設置スペースを測っておくことが大切です。家電の持ち込みは制限が設けられていることもあるため、しっかりと確認しましょう。
チェック項目の例 |
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食事
介護施設・老人ホームで提供される食事も、見学時にチェックしておきたい項目の一つです。
日々の食事は、施設・ホームでの生活の満足度に大きく影響します。
施設で提供される食事は、施設内の厨房で調理したものを提供するケースと、外部委託によって施設外のセントラルキッチンで作られた食事を提供するケースがあります。
また、最近では食事に力を入れている施設が目立ち、和食と洋食から選べる、昼食や夕食を2~3種類程度のメニューから選べるなど、決められた献立のなかから選ぶ選択食(セレクト食)を導入する施設も少なくありません。
四季の移り変わりを感じてもらえるように、正月やひな祭り、七夕、クリスマスなどの時期にイベント食を提供している施設もあります。
介護食や治療食に幅広く対応している施設は、入居者の身体の状態が変わった時にも安心です。
見学の際は、月間の献立表をチェックし、試食会が開催されている場合は参加するようにしましょう。
チェック項目の例 |
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入浴
見学時には、入浴の回数や浴室の設備もチェックしましょう。
介護施設・老人ホームでの入浴においては、居室に浴室が設置されている場合、比較的自由にいつでも入浴できる傾向があります。
一般浴室を利用する場合、入浴回数は週2回と決められているのが一般的です。施設によっては入浴回数が週3回のところや、入浴回数に制限がないところ、あるいは追加料金を支払うと規定回数以上の入浴ができる施設もあります。
また、入浴できる曜日や時間帯も施設側で決められているのが一般的です。入浴時間帯は午前のところも午後のところもあり、施設によってさまざまです。
一般浴室は大浴場が一般的ですが、施設によっては大勢での入浴が苦手な人などに向けて、個人浴室を設けているところもあります。
リフト浴や機械浴が設置されていると、要介護度の高い方も安心して入浴できます。
チェック項目の例 |
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レクリエーション
施設・ホームでのレクリエーションやイベントは、入居者同士がコミュニケーションをとったり、好きなことに取り組んだりする機会となり、楽しみや生きがいにつながるものです。
レクリエーションやイベントの内容や頻度は施設によって違うため、見学時に確認することをおすすめします。
イベント表があると、年間を通じてどのようなレクリエーションやイベントが実施されているかがわかります。
ただし、参加には別途費用がかかるケースもありますので、この点もチェックしましょう。
チェック項目の例 |
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医療
多くの介護施設・老人ホームでは協力医療機関と連携しています。医療機関の名称や診療科目、協力内容などをチェックします。
訪問診療や健康診断の頻度は施設によって異なります。
また、協力医療機関への通院の送迎は無料で実施する施設が多いですが、すべてがそうとは言い切れません。ほかの病院へ通院するケースを含め、付き添い費用についても確認しておきましょう。
看護師が常駐している施設もありますが、夜間は不在になるケースがあるため、夜間の緊急対応体制についても確認が必要です。
チェック項目の例 |
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施設の雰囲気
介護施設・老人ホームの雰囲気は、入居者との相性を判断するポイントにもなります。
スタッフがイキイキとした表情で働いていたら、やりがいを持って取り組んでいることがうかがえ、入居者の表情が明るく、髪型や服装が整っている場合は、スタッフのケアが行き届いていることがうかがえます。
また、入居者の平均的な介護度や年齢層も確認しましょう。
これは、たとえば介護度が低く活発な方が入居を希望する場合、同様に年齢層が若く介護度が低い入居者が多い施設のほうがコミュニケーションをとりやすいためです。
チェック項目の例 |
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その他
介護施設・老人ホームの見学時は、入居者の身体状態や認知症の有無、必要な医療ケアなどを伝え、入居の可否を確認しておくことも重要です。
また、介護度が上がった場合や認知症が進行した場合に退去となる施設もあることから、退去要件の確認も欠かせません。
さらに、月額利用料以外に発生する費用があるケースが多いため、費用が必要となる項目や金額の目安も尋ねておきましょう。
介護施設は、長期にわたって利用する場所です。入居一時金の保全措置の有無、損害賠償保険への加入などの運営状況も確認しておくと安心です。
チェック項目の例 |
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見学チェックシート【ダウンロード可能】
介護施設・老人ホームの見学の際は、確認したい項目をリストアップしておくと便利です。
主なチェックポイントをまとめた「見学チェックシート」を用意しましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
まとめ
介護施設・老人ホームなどの入居先は、3箇所程度の施設を見学して比較・検討するのがおすすめです。
実際に施設に足を運ぶことで、パンフレットやホームページを見ただけではわからない施設内の雰囲気や設備、入居者の様子など、より詳細な情報を確認できます。
施設を見学する際は、以下のポイントを参考にしつつ、「見学チェックシート」を活用して確認するべき点を漏らさないようにしましょう。
シニアのあんしん相談室では、複数施設の見学もまとめてお取りします。
老人ホーム・介護施設の見学をご希望の方は、シニアのあんしん相談室までご相談ください。
介護施設・老人ホーム見学のポイント |
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