老人ホームの選び方のポイントを解説|探し方から見学・体験入居までの流れも紹介
老人ホームは入居時に高額な費用がかかるケースもあることから、「老人ホーム探しを間違えてはいけない」と考えて躊躇してしまい、なかなか動けずにいる人も多いのではないでしょうか? 良い老人ホームの見分け方にはポイントがあり、入居者に合った施設を探すことが大切です。老人ホーム選びを失敗しないための探し方の流れや、選び方のポイントなどをご紹介します。
失敗しないための老人ホーム選びの流れ
老人ホームは、ついのすみかになり得る場所であり、高額な入居一時金を支払うケースもあることから、慎重に選ぶことが大切です。次に挙げるステップを踏んで、入居する施設を選びましょう。
- 1.予算や立地、提供されるサービス内容など、希望条件を整理
- 2.老人ホームを探して、希望条件に合う施設を比較
- 3.複数の老人ホームを見学
- 4.入居を希望する老人ホームへ体験入居
- 5.老人ホームを決定
- ・あらかじめ希望条件を決めておく
- ・費用が予算に合っているか
- ・施設のサービス内容や設備を確認
- ・見学・体験入居をする
- 24時間看護で、日常的な医療ケアに対応している
- 認知症ケアに対応している
- リハビリを続けられる
- 食事を選べる
- 趣味のサークル活動が行われている
- イベントやレクリエーションが活発に開催されるなど、友達を作りやすい
- 医療機関への通院に付き添ってほしい
- 住み慣れた場所にある
- 家族が通いやすい場所にある
- 駅から近く、近隣に商業施設がある
- ゆとりのある広い部屋で生活したい
- 夫婦2人で入居したい
- ペットと入居したい
- 認知症への対応
- 認知症専門スタッフの有無
- 認知症専門フロアの有無
- 日中や夜間の看護師の配置体制
- 対応可能な医療ケア
- 要介護状態になった場合の退去条件
- スタッフの人員体制
- 入浴回数と追加費用
- 看護師の配置の有無と勤務時間
- 訪問診療の頻度
- 医療機関との連携体制
- 緊急時の対応
- 看取り対応の有無
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の配置の有無
- 個別対応の有無
- リハビリの頻度
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の配置の有無
- 個別対応の有無
- リハビリの頻度
- サービスの種類
- サービスの費用
- レクリエーションやイベントの内容
- 費用
- サークル活動の種類
- 居室内のキッチンや浴室などの設備
- 娯楽施設の種類
- 共有スペースや居室に清潔感があるか
- 入居者の表情、服装、髪型に清潔感はあるか
- スタッフが生き生きと働いているか
- 食事はメニューに偏りがなく、季節感が反映されているか
- 入居者の状況に合わせた食事介助を行っているか
- 入居者とコミュニケーションを取り、無理なく介助をしているか
- イベントやレクリエーションの内容、雰囲気、スタッフの取り組み姿勢
- 居室の間取り、広さ、備え付けの備品
- トイレや洗面台の使い勝手
- ・役所や地域包括支援センター
- ・老人ホーム紹介センター
- 費用(入居一次金の金額と償却方法、月額費用)
- 入居・退去条件
- 立地条件や周辺環境
- 居室や共用スペースの設備
- 介護サービスの提供体制
- 医療ケアの提供体制
- 食事の内容や調理場所
- 生活支援サービス
- レクリエーションやイベント、サークル活動
- 入居者の年齢層、性別、要介護度の傾向
- 施設全体の雰囲気
- スタッフの対応や見だしなみ
- 入居者の服装、髪型
- 入居率
- 退去率
- スタッフの離職率
老人ホームの選び方のポイント
老人ホームの選び方のポイントとなるのは、次の4つが挙げられます。
老人ホームは、あらかじめ希望条件を決めておくと、スムーズに探しやすくなります。
老人ホームへの入居には、高額の入居一時金が発生する施設があり、月額費用は長期間支払うため、予算と合っているかどうかを確認することが大切です。
また、身体の状態や希望に合ったサービスが受けられるように、施設のサービス内容や設備を確認することが必要です。ホームページと実際のイメージが異なる可能性があるため、見学や体験入居をしてから、入居する老人ホームを決めるようにしましょう。
あらかじめ希望条件を決めておく
全てが理想通りの老人ホームを見つけるのは難しいため、あらかじめ希望条件を決めておくと、スムーズに入居者や家族に合った施設を探しやすくなります。
老人ホームでどんな生活がしたいのか、あるいは老人ホームにどんなことを求めるのか、本人や家族の考えを基に、希望条件を書き出します。そして、譲れない条件と妥協できる条件を家族で話し合い、優先順位を付けておきます。
老人ホームでどんな生活をしたいのか、具体的な希望条件の例として、以下のようなものが挙げられます。
具体的な希望条件の例 |
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費用が予算に合っているか
老人ホームで支払う費用には、入居時費用と月額費用があります。入居時に支払う入居一時金は、高額になるケースがあります。
また、月額費用は、死亡などによって退去するまでの間、長期にわたって支払いが続くことからも、費用が予算に合っているかどうかを確認しておくことが大切です。
入居時費用の入居一時金は、特別養護老人ホームなどの公的な介護施設では不要ですが、有料老人ホームなどの民間の施設では、支払いが発生します。
有料老人ホームで入居一時金が0円の場合は、月額料金に上乗せして支払うため、月額費用が割高になるのが一般的です。
また、月額費用は、家賃、水道光熱費、管理費、食費からなる月額料金や、介護保険による介護サービスの自己負担額以外にも、費用が発生する点に注意が必要です。 民間の介護施設でのおむつ代、レクリエーションやイベントの参加費、通院の付き添い費用、買い物代行費用などが別途かかります。
老人ホームの費用の目安をまとめてみました。
施設の種類 | 入居一時金の相場 | 月額費用の相場 |
---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
グループホーム | 0~30万円 | 13万~20万円 |
特別養護老人ホーム | なし | 6万~15万円 |
施設のサービス内容や設備を確認
老人ホームは、施設によって提供するサービスや設備に違いがあるため、心身の状態に応じたサービスが受けられるかどうか、確認が必要です。その上で、希望するサービスが提供されているかどうかを確認しましょう。
介護付き有料老人ホーム、グループホーム、特別養護老人ホームは、24時間介護を受けられますが、住宅型有料老人ホームは外部サービスを利用するため、施設によります。医療ケアへの対応は、施設による差が大きいです。
一方で、自立した人が対象の老人ホームの中には、要介護状態になると、退去を迫られる施設もあります。
認知症の人 |
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医療依存度が高い人 |
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自立した人 |
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具体的に確認すべきポイントを、まとめてみました。
介護サービス体制 |
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医療ケア体制 |
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リハビリ体制 |
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食事内容 |
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生活支援サービス |
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レクリエーション・イベント・サークル活動 |
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居室・共有スペース |
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見学・体験入居をする
老人ホームは、ホームページやパンフレットでの印象と、実際の施設の状況が異なるケースもあるため、見学・体験入居をすることが望ましいです。
まずは、比較・検討した老人ホームの中から3カ所程度を見学して、入居を希望する施設が見つからなかった場合には、さらに見学する施設を増やしていきます。
また、短時間の見学をしても分からないこともあるため、具体的に入居を検討する段階では、体験入居をするのがおすすめです。
最近では、スマートフォンやパソコンで、オンライン見学のできる施設が増えています。
オンライン見学では、施設の内部を見たり、スタッフと面談したりすることが可能です。直接、現地に足を運ばなくても、施設について詳しく知ることができる点がメリットです。
身体の状態から見学が難しい人、遠方に住んでいる人、外出を控えたい人なども、オンライン見学なら手軽に利用できます。
見学や体験入居では、次に挙げる点をチェックするのがおすすめです。
見学・体験入居時のチェックポイント |
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<関連記事>
老人ホーム見学のポイントや手順を紹介
老人ホームの探し方
老人ホームの探し方には、主に2つの方法があります。
役所や地域包括支援センターは、特別養護老人ホームなどの公的な介護施設を探す場合に向いています。老人ホーム紹介センターでは、有料老人ホームなどの民間の介護施設をプロの相談員が無料で紹介しています。
役所や地域包括支援センター
特別養護老人ホームなどの公的な介護施設を探す場合には、市町村の役所の福祉課や地域包括支援センターを利用する方法があります。役所や地域包括支援センターによっては、地域の公的な介護施設の一覧を用意しています。
地域包括支援センターは、介護、医療、保健、福祉といった側面から高齢者を支える施設です。
地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、人口2万~3万人を目安とするエリアごとに設置されています。地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口としての機能も持っていて、利用できるサービスや制度などを紹介してもらうことも可能です。
地域包括支援センターを利用できるのは、対象エリアに居住する65歳以上の高齢者と、該当する高齢者を支援する人です。そのため、親と離れて住んでいる場合には、相談者の居住するエリアの地域包括支援センターではなく、親が居住するエリアを担当するセンターを利用するという点に注意しましょう。
老人ホーム紹介センター
有料老人ホームなどの民間の介護施設を探す場合には、老人ホーム紹介センターの利用がおすすめです。老人ホーム紹介センターは、老人ホーム側から紹介手数料を受け取っているため、老人ホームを探している人は無料で利用できます。
老人ホームは、インターネット検索を利用して探すこともできます。
ただし、例えば、認知症に対応している老人ホームを探している場合、ホームページに「認知症対応」と記載されていても、どのように認知症ケアを行う体制が取られているのか、分からないケースも少なくありません。
また、ホームページや広告は、運営者の視点から作られているため、入居者本人や家族が収集した情報から本人に合った施設かどうかを判断するのは、難しいものがあるといえるでしょう。
その点、老人ホーム紹介センターを利用すると、プロの相談員が第三者の視点で、入居を希望する人に合った施設を紹介しています。そのため、希望の施設を効率良く探すことが可能です。
老人ホーム紹介センターは、豊富な相談実績があり、紹介できる施設数が多いところが おすすめです。「あんしん相談室」は、開設から15年以上経過しており、年間相談件数が約5000件という実績があります。また、全国の厳選された約4500の老人ホームから、紹介を行っています。
老人ホームを比較するポイント
老人ホームは、長い期間にわたっての生活の場となることから、初めに見つかった施設への入居を決めるのではなく、複数の候補から比較・検討し、慎重に決定するのが望ましいです。
老人ホームを比較する際の主なポイントをまとめてみました。
比較する際の参考にしてみてください。
比較する際のポイント |
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良い老人ホームの見極め方
老人ホームの中には、運営状況が良くないところが少なからずあります。
良い老人ホームに入居するためには、どのような点に着目すべきか、見極めのポイントをまとめてみました。
老人ホームの見極めのポイント |
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スタッフや入居者の表情が明るいなど、施設全体の雰囲気が良い老人ホームは、職場環境が良く、スタッフと入居者の関係性も良好なことがうかがえます。スタッフがあいさつをしない、言葉遣いが悪い、服装に清潔感がない、爪が長いといったケースでは、スタッフの質や教育体制に問題があることが疑われます。一方で、スタッフが忙しそうに動き回っていたり、覇気がなかったりする場合は、十分な人員配置が行われてない可能性があります。入居者の服装や髪型が清潔感に欠ける場合は、介護ケアが十分に行き届いていない可能性もあります。
数字の面では、入居率が高く、ほとんどの居室が埋まっている状態であれば、安定した運営が維持されていることが推測できます。 他方で、1年間の退去率が高い場合、退去理由によっては、運営に問題のある可能性があります。 また、一定期間の在籍者に対する離職者の割合を示す、離職率 の高い施設は、運営方針、人間関係、勤務体制、給与のいずれかに不満を持つ人が多く、意欲的に仕事に取り組める環境にないことが考えられます。
このうち、「施設全体の雰囲気」や「スタッフの対応や見だしなみ」、「入居者の服装、髪型」については、見学時に確認しましょう。「入居率」は重要事項説明書に記載があり、「退去率」は重要事項説明書の「前年度の退去者の状況」から算出できます。 ただし、重要事項説明書を確認できるのは契約の直前のため、見学時に「スタッフの離職率」とともに、「入居率」や「退去率」についても尋ねてみることも選択肢となります。
まとめ
老人ホームは、費用や運営の質による違いもありますが、入居者の心身の状態や、希望条件による向き・不向きもあります。そのため、複数の老人ホームの中から比較・検討を行い、入居者に合った施設を探すことが大切です。 老人ホーム紹介センターを利用すると、プロに相談できるため、入居者に合った施設を効率良く、見つけやすくなります。
あんしん相談室ではお客様の予算に合わせて老人ホームをご提案いたします。
費用面でご不安ありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
STEP1 | 予算、立地、提供されるサービス内容など、希望条件を整理 |
---|---|
STEP2 | 老人ホームを探して、希望条件に合う施設を比較 |
STEP3 | 複数の老人ホームを見学 |
STEP4 | 入居を希望する老人ホームへ体験入居 |
STEP5 | 老人ホームを決定(本契約) |
施設の種類 | 入居一時金の相場 | 月額費用の相場 |
---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
グループホーム | 0~30万円 | 13万~20万円 |
特別養護老人ホーム | なし | 6万~15万円 |
入居までの手引き

現在の収入、将来の収入、保有している資産と照らし合せて資金計画を立てましょう。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)

