老人ホームの入居契約・最終確認
老人ホームへの見学・体験入居を済ませたら、いよいよ契約です。契約手続きに入るまえに、もう一度、家族や友人に相談して、自分の気持ちを整理・再確認しておきましょう。
老人ホームの最終チェックポイント
重要事項説明書に書かれている内容
事業主概要
運営会社の名称、所在地、連絡先などの基本情報
施設・事業者概要
施設名称、所在地、解説年月日、連絡先、アクセスなど
職員体制
- (1)職員の人数、勤務形態(常勤・非常勤/専従・非専従)
- (2)職員の所有資格
- (3)職員の実務年数や採用者、退職者数など
- (4)職種ごとの従業者の人数及びその勤務形態
- (5)夜間の最小人数
- (6)従事者の介護サービス業務に従事した経験年数など
サービス内容
- (1)協力医療機関
入居者に特別な医療処置が必要な場合は、治療が可能か確認しましょう。内科のほかにも整形外科、歯科などの診療科目があれば安心です。 - (2)入居後に居室を変える場合
病気や介護度の進行を理由に居室を変更する場合の条件 - (3)入居条件や契約解除の内容
入居できる年齢、健康状態などの条件や、退去を求められる場合の理由など - (4)入居者の状況
入居者の人数を年齢や要介護度ごとに記載 - (5)施設・設備の状況
老人ホームの場合、国の指導方針による基準13㎡以上(独身寮を改築した場合は9.9㎡以上)あるのが望ましいでしょう。トイレや浴室数、それぞれが専用か共有かなどを確認してください。サービス付高齢者住宅の場合は、居室面積18㎡以上が義務化されています。
利用料金
- (1)入居一時金の有無
入居一時金の償却年数と返還金制度、ホームが倒産した場合に入居一時金が返却される保全措置の有無を確認しましょう - (2)額費用の内訳
家賃、管理費、食費、水道光熱費など、基本料金に含まれず、別途料金になるものを確認しましょう
重要事項説明書で特に確認しておく必要がある項目
入居一時金の「初期償却」と「償却方法・期間」
初期償却とは、入居した段階で入居一時金の中から老人ホーム側に支払うお金のことで、入居一時金の30%を初期償却にあてる老人ホームが比較的多いと言われています。入居後に返還されることはありませんので、初期償却の比率が少ないほど、途中退去時に戻ってくる返還金は多くなります。
入居一時金から初期償却を差し引いた金額は、老人ホームが定めた期間で償却されていきます。この老人ホームが定めた期間を償却期間といい、償却期間が長いほど、途中退去時の返還金が多くなる仕組みです。
償却年数は0年(初期償却100%)~15年以上と老人ホームによって異なり、償却方法には「定額法」と「定率法」というものがあります。定額法は償却期間内に定額を償却していく方法で月々の償却額は一定です。対して定率法は入居一時金の残金に対して一定の割合で償却していく方法。入居当初の償却額は大きく、次第に償却額が少なくなっていく仕組みになっています。そのため、短期退去した場合の返還額は定額法よりも少なくなります。
また、2015年8月からは、初期償却を行わない上で定額法を用いた「均等償却」の制度がスタートしています。名目も施設によって異なる場合がありますので、よく確認するようにしましょう。
[計算式]返還金=入居一時金-(初期償却+月々の償却額×入居期間(月))
[例]入居一時金:300万円初期償却:30%償却期間:5年
↓
入居時の償却額:90万円
毎月の償却額:35,000円
2年後に退去した場合の返還金は、入居一時金:300万円ー(初期償却:90万円+月の償却額35,000円×24ヶ月)=126万円となります。
上乗せ介護費、横出しサービス費
上乗せ介護費は、国が定めた介護体制を超えて手厚い介護サービスを受ける場合にかかる費用です。介護付有料老人ホームでは、介護度に応じて一定額がかかります。住宅型有料老人ホームの場合は、介護サービスを手厚すると、その分の費用が発生します。横出しサービス費は、介護保険適用外のサービスを利用する場合の費用です。指定回数以上の入浴や病院への付き添い、買い物代行などが該当します。施設によって名目が異なりますので、総額で月々どの程度の費用が発生するのかを確認しましょう。
入居をキャンセルした場合の「申込金」の返還の有無
入居の際に必要な一時金には「申込金」「施設協力金」など、入居一時金とは別項目の費用が必要な場合があります。それぞれキャンセル時の対応が、全額償却、一部償却、全額返還のどの方法なのかを確認しましょう。
クーリングオフ
入居後90日以内の退去(死亡含む)であれば、家賃分を除く入居一時金は全額返還されます。返金ルールが明記されているかを確認しましょう。
入居契約書の内容の確認
入居金の償却方法・期間、支払方式の違いによる月額及び支払総額の差異、受けられるサービスと費用の有無、個人情報に関しての取扱い、強制退去の要件などを確認しましょう。不明点はうやむやにせず納得がいくまで質問することが大切です。
身元引受人との最終確認
身元引受人の役割と責任
- (1)入居者と共に債務の履行の責任を負います。
- (2)入居者の死亡時に、退去時に入居者の身柄の引取りを行います。
- (3)入居者の死亡時に、残置財産の引取り、未払い債務の清算、退去手続きを行います。
返還金の計算や受取方法など
入居一時金の償却方法・年数の確認や、退去時にどのくらいの返還金が戻ってくるか、またその受取り方法など確認しましょう
入居キャンセル時の申込金の取り扱い
入居を取りやめる場合、支払った入居申込金は返還されるのが一般的です。しかし中には、入居申込金の返還に応じていない施設もあるので確認が必要です。
その他
そのほか、以下の項目に関してもしっかりと確認しましょう。施設ごとに対応は異なるので、詳しくは直接施設に確認するか、「シニアのあんしん相談室」までお問い合わせください
- 契約解除について
- 事故発生時の対応
- 損害賠償
- 損害賠償責任保険の加入の有無
一般的に契約に必要なもの
- 住民票
- 健康診断書(施設指定の項目があるもの※)
- 印鑑証明
- 連帯保証人、身元引受人
- 診断情報提供書
※健康診断書は、取得に2週間~1ヵ月程度かかる場合もあります。お急ぎで施設を探している方は、事前に確認し、取得を済ませておくことをおすすめします。
◆健康診断書・日常生活動作(ADL)調査票はこちらからダウンロードができます。
入居までの手引き

現在の収入、将来の収入、保有している資産と照らし合せて資金計画を立てましょう。
詳細を見る 選び方・比較・検討
自分に合った介護施設の種類や資金計画のイメージができたら、実際に老人ホームを探してみましょう。
詳細を見る オンライン入居相談
パソコンもしくはスマートフォンから入居相談員に無料で老人ホーム探しについて相談できます
詳細を見る 見学・体験入居
インターネットやパンフレットではわからない、スタッフの人柄や実際の雰囲気を見学・体験入居で確認しましょう。
詳細を見る 最終確認・契約
見学・体験入居を済ませたら、いよいよ契約です。重要な項目や手続きに必要な書類をしっかり確認しましょう。
詳細を見る 退院後の施設探し
突然の入院時には退院後の生活を考えることが必要です。そんな時には「退院支援ハンドブック」をご活用ください。
詳細を見る 介護疲れの負担軽減方法
「介護疲れ」が、しばしば問題になることがあります。介護疲れを引き起こす要因や、軽減するための方法などについてご紹介します。
詳細を見る 親の老人ホーム入居
親が介護施設に入るときの手順や、入居を検討すべきタイミング、入居を嫌がる場合の対処方法を紹介します。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)

