医療費控除とは?特養や有料老人ホームでも適用される?
2017.7.10
確定申告シーズンになるとよく耳にするのが「医療費控除」。所得税を申告する職業だけでなく、長期入院などで医療費をたくさん支払った人にとっては大切な制度ですね。
ところで、介護に関わる支出は医療費控除とどう関係しているか、ご存知ですか?
よく知っておかないと、損をしているかもしれませんよ。
改めて確認…「医療費控除とはどんな制度?」
まずは医療費控除について簡単に説明しておきましょう。普段所得税や住民税を納税している人が、自分や家族のために支払った医療費を年間所得額から控除してもらえる制度を医療費控除といいます。
1月1日~12月31日の1年間に支払った医療費の総額が10万円以上あれば、その医療費は控除対象になります。税務署に確定申告を行う際、経費を記した領収書などを揃えて、申告に必要な書類と一緒に提示すれば、後日治療費の一部が還付されるのです。
仮に入院翌年に申告をし忘れても、5年前まで遡って請求することができるので、医療費控除に必要な医療機関の領収書は紛失しないよう注意しましょう。
介護に関して医療費控除の対象になるもの、ならないもの
では、介護に支払う費用はどうでしょう?
具体的には、医療費控除の対象になるのは、
またこれらの居宅サービスと併用している場合のみ医療費控除の対象となるのが、これらのサービスとなります。
一方、訪問介護のうち生活援助が中心のサービス、介護付き有料老人ホーム等で提供される特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)などは医療費控除の適用範囲外となります。
ちなみに有料老人ホームでも、医療行為が行われればその費用は控除対象となります。
さらに、特別養護老人ホーム(特養)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に支払う費用はどうでしょう?
特養は「自己負担額+部屋代+食費」の合計金額の50%が医療費控除の対象となりますが、サ高住は「医療」ではなく「住宅」であるため、家賃費用などは医療費控除の対象外です。
特養に関しては、入居者それぞれで療養にかかる金額は異なりますが、集団的な対応をすることが多く入居者ごとに医療費を計算するのが難しいため、一律50%となっているようです。
【医療費控除を受けられる施設は?】
高額介護サービス費の扱いは?
月々の世帯合計額が自己負担上限額を超えた場合、その超過分を払い戻すのが高額介護サービス費の制度です。その払い戻しに医療費控除の対象となる金額が含まれている場合は、その分を医療費から差し引いて計算する必要があるので注意しましょう。
今後一層利用者の負担額が厳しくなるであろうと予想されている介護サービス費だけに、せめて医療費控除をお得に利用してみてはいかがでしょうか。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)