育児と介護の「ダブルケア」自治体のそれぞれの対策は?
2017.1.18
晩婚化の影響によって、子育てを始める年齢も遅くなっています。そのことから子育てと同時期に、親や義理の親の介護も始めなければならないことがあります。日本における、育児と介護のダブルケア問題の現状と、自治体の対策はどのようになっているかについて説明します。
ダブルケアとは
親への介護疲れだけでも大きなストレスになります。しかし、世の中には介護に加えて自分の子の育児を同時に対処しなければならない方も存在します。
このように、育児と介護を同時にどのように行うのかという問題はダブルケア問題と呼ばれています。
ダブルケアの状況
平成28年4月の内閣府の発表によると、育児と介護を同時に担う人数は約25万人と推定されています。男女別にみると女性が約17万人、男性が8万人となっており、女性の方が負担を多く抱えているということが分かります。
年齢層に注目してみると、ダブルケア問題を抱える人の平均年齢は男女ともに40歳前後となっています。中でも、男女ともに子育て世代にあたる30~40歳代グループが約8割を占めるという結果になりました。
この結果から以下のような問題が読み取れます。
・働きたいと考えていても働けない
働き盛りの世代が多いため、ダブルケアを抱える方の中で就業を希望されている方は6割以上いますが、育児と介護の問題を処理しなければならないという時間的制約のため仕事を行えていないのが現状です。
・女性に対するサポートが男性に比べ少ない
ダブルケア問題を抱える男女の数に大きな差があることから、女性へのサポートが少ないということが読み取れます。「配偶者から全くサポートを受けていない」と答えた男性は40人に1人でしたが、女性では10人に1人という結果でした。
各自治体のダブルケア対策
ダブルケア問題を抱える方への対策はどのようになっているのでしょうか?各自治体が取り組んでいますが、その中から京都・堺・横浜の事例をご紹介します。
京都
京都府には約4500人のダブルケア問題を抱える男女がいると推定されています。2016年9月に山田啓二知事は以下のような施策を行っていくと発表しました。
- ・地域包括支援センターと子育て世代包括支援センターの連携による、介護と育児問題を相談できる適切なサービス紹介を行える態勢の構築
- ・ケアマネジャー向けの研修開催
- ・子育てに配慮したケアプランの作成
- ・インターネット上のアンケートによる現状分析
堺
堺市には約1600人のダブルケア問題を抱える男女がいると推定されています。これを受け、堺市は2016年10月に全7区役所に育児と介護両方を受け付ける「ダブルケア相談窓口」を設置しました。
横浜
横浜では、ダブルケアサポート横浜プロジェクトというプロジェクトが進行しており、主にダブルケア問題に関する相談に応じるカウンセラーの育成、ダブルケア問題を抱えている方にハンドブックを作成しています。
ダブルケア問題に対する自治体の対策がようやく始まりの兆しを見せています。この動きは今後広がりを見せていくのでしょうか。注目していきましょう。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)