近年増えている「認知症カフェ」とは?利用するメリットをご紹介!
2016.12.2
認知症の方は、自分が認知症だと気づくと外出する気力を失うことがあります。家族も「周囲に迷惑をかけてしまう」と認知症の方をつれての外出先に迷う方もいます。
このような悩みを受け入れてくれる「認知症カフェ」をご存じでしょうか?ここでは、近年増えてきている「認知症カフェ」についてご紹介します。
認知症カフェとは
認知症カフェとは、認知症の方だけでなくその家族も、地域の情報を交換したり専門家と相談したりすることを目的とした場所です。 単純に相談や地域の人と話をする場所ではなく、認知症の方がスタッフとなってコーヒーや軽食を提供し、自分の存在意義を再確認できるという一面もあります。
カフェといっても、毎日営業されているのではなく、月に数回のイベントとして開催されるのが一般的です。開催される場所は主催者の自宅やレンタルスペースなどで、参加費も数百円から2,000円程度が多いようです。
認知症カフェの目的
現在、認知症患者は増加傾向にあります。そして、これからも高齢者が増えるにつれて、認知症の方はさらに増えてくると予想されています。
その対策として日本政府では認知症患者への支援として「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を2015年に策定しました。この新オレンジプランの一部に、認知症カフェの設置が掲げられています。
<新オレンジプランの7つの柱>
- ・認知症の人の介護者への支援
- ・認知症の理解を深めるための普及・啓発の推進
- ・認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供
- ・若年性認知症施策の強化
- ・認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- ・認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
- ・認知症の人やその家族の視点の重視
以上に挙げた柱のうちの「認知症の人の介護者への支援」において、認知症カフェの設置が推進されているのです。
認知症カフェのメリット
認知症の方が認知症カフェで得られるメリットとしては、以下の内容が挙げられます。
・気後れなく本音で話せる
健常者と話すとなると、「認知症について話したくない」と思うこともあるでしょう。 認知症カフェでは、お互いに認知症だということを知ったうえで話すことができます。自分の失敗談や症状について、抵抗なく話すことができるでしょう。
・心理的な不安の軽減
“同じ認知症の仲間がいる”というのは、それだけで安心できるものです。 同じ悩みを分かりあえるというのも、心のよりどころとなるでしょう。
・娯楽として息抜きになる
カフェの友人たちと世間話をしたり、歌を歌ったり、料理をするということは認知症の方だけでなく、その家族にとっても息抜きになります。認知症の家族はうつ病になりやすい傾向があります。こうした楽しい時間を共有することで、明るい気持ちを持つことにつながるでしょう。
・地域の関わりができ、友人ができる
多くの人と交友関係を持つことで友人ができます。また、それまで引きこもっていた方が地域や社会との関わりを築くことができるでしょう。
・症状の早期発見、治療
認知症カフェには多くの専門家がいます。このため、認知症の方の変化にも早く気付くことができ、いち早く適切な処置を受けることが可能です。
これからも新オレンジプランのもと、認知症カフェが増えてくるでしょう。多くの地域で認知症の人や家族が参加できる場ができるのはうれしいことですね。
お住いの近くの認知症カフェを訪れてみてはいかがでしょうか?
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)