老老介護に止まらず認認介護問題も増加?病気の悪化を防ぐ早期の対応を!
2016.9.23
超高齢化社会の昨今、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」問題は社会的にも広く知れ渡るようになりました。
そんな中、もう一つクローズアップされているのが「認認介護」問題です。認知症の人が認知症の人を介護していることを指しますが、今後さらに増加すると言われています。では一体、どの辺に問題点があるのでしょうか?
老老介護と認認介護
現在の社会問題の一つでもある「老老介護」については、以前『施設利用はセーフティネット? 増加する「老々介護」のリスクとは』でも解説しました。
高齢者が高齢者を介護する世帯の中で、特に目立つのは夫婦間や兄弟間ではなく「高齢者である親の介護の面倒を、やはり高齢になった子供が看る」という図式です。
厚生労働省の調査結果によると、在宅介護をしている家庭のうち、介護者・要介護者ともに60歳を超えている割合は69%にもなります。
生活が苦しいため施設やヘルパーに頼れず、介護の面倒を看続けるうちに疲れて痛ましい事件に発展してしまう事例が、老老介護では後を絶ちません。
しかしもう一つ、さらに深刻な問題として、認知症の人が認知症の人を介護する「認認介護」の事例も忘れてはならないでしょう。
認認介護の問題点
認認介護の実態数などは、今のところ明確な数字は発表されておりませんので、簡単に計算してみましょう。
例えば85歳の方で、認知症になるのは40%以上(5人に2人)というデータがあります。
夫婦で85歳以上の時、2人とも認知症になる確率は、16%(0.4×0.4=0.16)という計算になります。また80歳以上の夫婦で考えると(80歳で認知症の割合は20%程度)、4%(0.2×0.2=0.04)が夫婦2人とも認知症という結果になります。
これはかなり雑な計算結果ですが、実際の数値はもっと高くなると予想されます。なぜなら、老老介護の世帯で一方が認知症を発症すると、介護をする側にとって大きなストレスを感じたまま日常を送るようになり、結果として双方に発症するケースが起きやすくなると考えられるからです。
このように近年増加が指摘される認認介護には、いくつか問題点が考えられます。
生活管理面では、体調管理や身辺ケアなど行き届いた介護は困難でしょうし、台所での火やガスの管理などにも不安があります。また社会的にも、近隣住民が認知症のことを知らなければ、特別な監視などはされません。
加えて、社会的な交流が減っていくことから、更に認知症を悪化させてしまうという悪循環に陥りかねません。
結果的に、孤独死や共倒れにつながるリスクは老老介護より高いでしょう。
早めに計画を立てて!
孤立した生活の中で何の治療も受けず、症状が徐々に進行していくというのは、当然避けたいです。超高齢社会の現状、そして認知症患者の数の増加を考えれば、今後は認認介護世帯の数は増えていくでしょう。
認知症が発症した高齢者をもつ家族は、施設介護を想定したうえで、早め早めに今後の計画をたてることが必要です。
【「在宅介護」に関連する記事はこちら】
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)