老人ホームに入るには?5つ条件をわかりやすく解説
2024.1.25
「老人ホームに入るにはどのような条件がある?」 「自分は希望する施設の入居条件を満たしている?」 老人ホームへの入居を検討するにあたり、上記のような疑問を抱く方もいるでしょう。
老人ホームにはいくつかの種類があり、それぞれ入居条件が異なります。
そこで本記事では、老人ホームに入るための5つの条件について解説します。入居を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者:さとひろ
介護系の専門学校を卒業後、特別養護老人ホームに勤め介護職員やケアマネジャーを経験。資格取得のための研修講師や新規施設の開設にも携わる。現在は生活相談員として、入所調整や家族対応、行政対応や請求業務などを担っている。 2022年からライターとしての活動。複雑な介護業界の制度をわかりやすく解説します。 保有資格:社会福祉士、公認心理師、介護支援専門員、介護福祉士など
■この記事でわかること
- ・老人ホームの種類
- ・5つの入居条件
- ・それぞれの条件の内容
老人ホームに入るには5つの条件がある
老人ホームに入るためには、下表にまとめた5つの条件があります。
条件 | 詳細 |
---|---|
[1]要支援・要介護度 | 施設によって要支援・要介護度の区分に条件が決められている(例:要介護3以上) |
[2]入居時の年齢 | <公的施設> 原則として65歳以上の方 <民間施設> 各施設で決められた年齢 |
[3]医療的ケアの必要の程度 | 各施設で決められている |
[4]保証人(連帯保証人)・身元引受人 | 約9割の施設が保証人(連帯保証人)や身元引受人を必要としている |
[5]支払い能力 | 利用料の支払いができなくなる事態を防ぐため、必ず確認される |
それぞれの条件について見ていきましょう。
【条件1】要支援・要介護度
老人ホームには「公的施設」と「民間施設」があります。
公的施設は、介護保険法における公的な介護保険施設であるため、入居条件として要支援・要介護度の区分が法律上で定められています。
例えば、特別養護老人ホームの場合、対象となるのは原則として要介護3以上です。
民間施設は、民間企業が運営している施設であるため、施設ごとに入居条件が決められています。
同じ有料老人ホームでも、種類によって入居できる介護度が異なりますので、検討している老人ホームの介護度の要件を確認しましょう。
施設の種類 | 要支援・要介護度の区分 | ||
---|---|---|---|
公的施設 | 特別養護老人ホーム | 原則として、要介護3以上 ※要介護1~2については、やむを得ない事情に限り、認められれば入居が可 |
|
介護老人保健施設 | 要介護1~要介護5 | ||
介護医療院 | 要介護1~要介護5 | ||
ケアハウス(軽費老人ホーム) | 自立型 | ・65歳以上 ・要介護1~要介護5 |
|
介護型 | ・60歳以上 ・原則として健康状態に問題のない者 |
||
介護療養型医療施設 | 要介護1~要介護5 | ||
民間施設 | 有料老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム | ■自立 :△ ■要支援:〇 ■要介護:〇 |
介護付き有料老人ホーム | ■自立 :△ ■要支援:〇 ■要介護:〇 |
||
健康型有料老人ホーム | ■自立 :〇 ■要支援:〇 ■要介護:× |
||
サービス付き高齢者向け住宅(一般型) | ■自立 :〇 ■要支援:〇 ■要介護:〇 |
||
サービス付き高齢者向け住宅(介護型) | ■自立 :✕ ■要支援:△ ■要介護:〇 |
||
グループホーム | ■自立 :✕ ■要支援:△ ■要介護:〇 |
||
シニア向け分譲マンション | ■自立 :〇 ■要支援:△ ■要介護:△ |
※介護療養型医療施設は2024年3月末に廃止
施設の種類ごとの特徴については、以下の記事で詳しく紹介しています。是非ご参考ください。
老人ホーム・介護施設の種類
【条件2】入居時の年齢
公的施設の場合、介護保険法に則り、原則として65歳以上の方から入居が可能です。
ただし、40歳以上65歳未満の方でも、以下の2つの要件と16種類の特定疾病に該当する方は入居が認められます。
■2つの要件
- ・一般的に65歳以上の方に発生する疾病ではあるが、40歳以上65歳未満の者でも発生が認められるなど、加齢との関係が認められる疾病であり、なおかつ、その医学的根拠を明確に定義できる疾病であること
- ・3~6ヶ月以上を継続して、要支援・要介護状態になる割合が高いと考えられる疾病であること
■16種類の特定疾病
- 1.がん(医師が一般的な医学的知見に基づいて、回復の見込みがないと判断した場合に限る)
- 2.関節リウマチ
- 3.筋萎縮性側索硬化症
- 4.後縦靱帯骨化症
- 5.骨折を伴う骨粗鬆症
- 6.初老期における認知症
- 7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 8.脊髄小脳変性症
- 9.脊柱管狭窄症
- 10.早老症
- 11.多系統萎縮症
- 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 13.脳血管疾患
- 14.閉塞性動脈硬化症
- 15.慢性閉塞性肺疾患
- 16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
一方、民間施設は施設ごとに決められたルールに基づいているため、法律で定められている年齢制限はありません。施設と相談のうえで認められれば入居が可能です。
介護の必要のない方も生活している健康型有料老人ホームや住宅型有料老人ホームでは、60歳未満の方が入居している場合もあります。
【条件3】医療的ケアの必要の程度
医療的ケアの必要の程度は、入居者の命に関わる部分であるため、入居条件にかかわります。
老人ホームは医療機関ではなく生活の場なので、看護師や医師の配置は必要最低限です。そのため、医療的ケアの必要度が高いと入居が認められない場合があります。
ただし、介護老人保健施設や介護付き有料老人ホームなどの一部施設では、看護師の配置基準が定められているため、胃ろうや吸引などの想定内の医療的ケアは保証されています。
また、中心静脈栄養のような本格的な医療的ケアを必要とする場合は、医師や看護師が厚く配置されている施設がよいでしょう。具体的には以下のような施設です。
- ・介護医療院
- ・介護療養型医療施設
【監修者コメント】
特別養護老人ホームやグループホームでは、対応できる医療的ケアが限られています。
本人が安心して生活するためにも、医療的ケアが必要な場合は対応できる施設を探す必要があります。
【条件4】保証人(連帯保証人)・身元引受人
保証人や身元引受人がいることも、老人ホームの入居条件のひとつになります。
みずほ情報総研が平成30年に行った身元保証人等の実態の把握の調査によると「契約書に利用者本人以外の署名を求めるか」という問いに対して、 95.9%の施設が「本人以外の署名を求めている」と回答しました。
そして「利用者以外の署名をした方に求める役割は何か」という問いに対しては、ご遺体や遺品の引き取りが90.4%、利用料の支払いや滞納の保証が88.2%という結果でした。
なお、保証人や身元引受人がいない場合には、以下のような解決法があります。
■保証人や身元引受人がいない場合の解決法
- ・保証人を求めない施設を選ぶ
- ・保証会社を利用する
- ・身元引受人を代行するサービスを利用する
【監修者コメント】
家族が保証人(連帯保証人)・身元引受人になることが一般的です。上記の解決法以外にも、公的な制度として成年後見制度があります。
【条件5】支払い能力
老人ホームや介護保険施設は、利用料を支払って入居するため、利用者または保証人に支払い能力があるかを必ず確認します。
施設によっては、入所前に利用者と保証人の通帳の提出を求められることもあります。
滞納した場合は、おおよそ3ヶ月以上の滞納で身元引受人に退去勧告がなされることが多いでしょう。実際の退去要件は施設によって異なるため、契約の際に確認が必要です。
なお、生活保護を受けていても、支払い能力があると判断されれば入居は認められます。
■入居時に必ずチェックしたいポイント
入所前に利用料金が総額でいくらになるかを確認し、そのうえで長期的な目線での支払いが可能かをよく考えましょう。
シニアのあんしん相談室では、全国にある老人ホームのなかから、予算や入居条件に合った施設をプロに相談しながら探せます。
入居金がゼロ円の施設も特集しているため、少しでも費用を抑えたいとお考えの方は、ぜひ一度ご利用ください。
老人ホームに入るには【まとめ】
老人ホームに入るためには、介護度や年齢、医療的ケアの必要度や保証人の有無、支払い能力などの条件を満たす必要があります。
施設によって条件が異なるため、施設を探す際は、それぞれの施設に条件を確認することが必要です。
施設に入ることを目的にして、条件に合わない施設に入居してしまうと、すぐに別の施設を探さなくてはならなくなったり、経済的に苦しくなったりしてしまいます。本人の心身の状態や経済的な状況を考慮して、安心して入居できる施設を探しましょう。
条件に合った老人ホームを探す際は、案内サイトの活用がおすすめです。シニアのあんしん相談室では、介護の知識に長けたプロの相談員が、相談から入居までをトータルでサポートします。
【監修者コメント】
条件を満たした施設を探すのは大仕事です。プロの力を借りながら、本人も家族も安心できる環境を探しましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)
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