高齢者に起こりやすい味覚障害とその原因
2018.12.18
以前「本当は怖い「痩せ」!高齢者がなりがちな低栄養のリスクと対策法とは?」という記事で、高齢者の低栄養のリスクについて紹介しました。ここでは、低栄養を招く要因のひとつである味覚障害の原因と、その対策法についてご紹介します。
味覚障害になる原因
人間の舌や上顎の奥には、およそ7000個もの味蕾(みらい)と呼ばれる器官があります。その味蕾の働きによって味を感じることができるのですが、味蕾は10日前後で細胞が変わります。細胞が変わるときに必要になるのが亜鉛という栄養素です。そのため、亜鉛不足になることで味蕾の細胞が新しいものに変われず、味覚が衰えていきます。
高齢者は亜鉛不足になる方が多く、その理由のひとつが薬による副作用です。高齢者は何らかの薬を服用しているという方が多いと思いますが、中でも降圧薬、脳循環改善薬、抗腫瘍薬、抗うつ薬などが亜鉛欠乏症を引き起こしやすいと言われています。
それらの薬を服用している方は、亜鉛が不足している可能性が高いので、日頃から亜鉛を摂取するよう心がけるようにしてください。
味覚障害にならないようにするには亜鉛の摂取
前項で紹介したとおり、味覚が衰える主な原因は亜鉛不足です。そのため、味覚障害を防ぐためには日頃から積極的に亜鉛を摂取することが大切になります。
亜鉛は多くの食材に含まれている栄養素です。その中でも特に亜鉛の含有量が多い食材をご紹介します。
- ・カキ(貝)
- ・あわび
- ・レバー
- ・うなぎ
- ・たらばがに
- ・スルメ
- ・牛肉
- ・卵
- ・チーズ
- ・納豆
- ・切り干し大根
- ・アーモンド
- ・落花生 など
以上の食材を普段の食生活に多く取り入れることで亜鉛不足の解消につなげることができます。また、亜鉛サプリなどもありますので、最近味覚が衰えてきたと感じるのであれば、飲んでみるといいでしょう。ただし、亜鉛の過剰摂取は頭痛などの引き起こす原因になることがあります。サプリなどを飲む際は、事前に医師と相談するなどをして、適正量を守るようにしてください。
味覚障害は高血圧や糖尿病に影響を及ぼす
味覚障害になることで濃い味の料理も薄く感じてしまい、ソースや醤油などの調味料を余計にかけ、塩分の過剰摂取につながってしまう可能性があります。また、知らず知らずのうちに糖分などを多く摂取するなど、高血圧や糖尿病などの病気を引き起こすこともあります。
家族は自然に食べているのに自分だけ味が薄く感じる、自分が作った料理について家族が味が濃いと言う、などした場合は、味覚障害になりつつあると考えられますので充分に注意しましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)