筋肉や骨まで達することも?床ずれ(褥瘡)のステージとは
2018.6.27
以前、「認知症高齢者の日常生活自立度・障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは?」という記事で、寝たきり度について紹介しました。
寝たきりの家族がいる場合に気を付けなくてはいけないのが「床ずれ(褥瘡:じょくそう)」です。床ずれにはステージがあり、ステージによって症状が異なります。症状の違いによって取るべき処置なども変わってきますので、床ずれのステージをしっかり把握しておきましょう。
ここでは、床ずれのステージそれぞれの症状や処置についてご紹介します。
床ずれのステージ1:皮膚の表面に赤い斑点
ステージ1は、床ずれの中で最も軽度のものです。
皮膚の表面に火傷のような赤い斑点ができます。発赤、紅斑と呼び、圧迫された部位の皮膚が炎症を起こし、うっすらと赤くなっている状態です。
ステージ1では、体を圧迫している原因となっているものを取り除くことが大切です。ベッドシーツや寝間着などにシワができて体を圧迫していないか、体位変更の間隔が長くないかなどを確認し、体の一部が圧迫され過ぎないように気を付けるようにしましょう。
床ずれのステージ2:水ぶくれやただれ
ステージ2では、体の広範にわたって水ぶくれができたり、ただれたりするといった症状が現れます。その場合、傷は表皮(皮膚の表面)の下にある真皮の上部にまで及んでおり、感染症などに気を付けなくてはいけません。
ステージ2の症状が出たときには、感染症の危険性があるため、できるだけ専門医に診てもらうようにしましょう。また、水ぶくれなどは破らないようにし、体を清潔に保つようにすることが大切です。
床ずれのステージ3:壊死組織の発生
傷が真皮を超えて、皮下脂肪にまで達することで、ステージ3になります。体液(浸出液)がにじみ出て細菌が傷に感染し、周囲の組織を侵して壊死組織が生じるといった症状が特徴です。
ステージ3になると、床ずれの傷内部まで消毒したり、ぬるま湯で膿や浸出液を洗い流したりする必要があります。家庭で行うのは大変難しい作業になりますので、ステージ3になった場合は、すぐに専門医に診てもらうようにしてください。
床ずれのステージ4:傷の拡大
傷が皮膚、皮下脂肪を超えて、筋肉や腱、骨までに達してしまうとステージ4になります。筋肉組織や腱、骨などが目で見え、壊死組織や膿、浸出液が傷周辺に付着して傷がどんどん拡大していきます。
この状態はステージ3同様、専門的な知識なしに処置を行うのは極めて困難な状態です。ステージ4になった場合も速やかに専門医の診察、治療を受けるようにしてください。
ひとことで床ずれと言っても、その症状には差があるものです。軽いものであれば個人で対処することも可能ですが、重度のものになると専門医の治療を受ける必要があります。
床ずれのステージが上がらないためにも、日ごろから床ずれにならないよう意識することが大切です。圧迫の原因の除去、適切な体位変更、栄養管理、清潔な状態を維持するなど、個人でできることを積極的に行うようにしましょう。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)