特養で空きが増えサービス付き高齢者向け住宅では廃業が多発……最近の介護業界について
2017.5.8
連日数多くのニュースが飛び交う現代社会。私たちにとって見逃すことができない福祉情勢も、法制度の改正や経済の流れなどと絡み合いながら日々変化を続けています。
そして介護に関しても、様々なニュースが報道されているのはご存知の通りです。今回はその中で、注目すべき話題をいくつかピックアップしてみました。
空きがあっても人手不足で対応できず…特養の苦しい現状
かつて入所の困難さが半ば常態化していて問題になっていた特別養護老人ホーム(特養)が、最近では「ベッドの空きが増えてきた」との報告がされて、ニュースになりました。
特養の入居待ちが減ってきたという情報は、以前にも当欄で紹介しましたが(「入居が難しいはずの特養で空きが? 要介護に関する条件変更で起きたこと」参照)、この時は介護保険法の改正で要介護度1~2の人が原則上入居できなくなり、競争倍率が下がったことが主な原因でした。
しかし今回のケースは事情が違っていて、特養の職員不足が原因なのです。
昨年11~12月に全国の特養を対象に行った調査報告によれば、現在ベッドの空きがあるのが全体の26.0%で、しかも東京23区や政令指定都市などの都市部の方がそれ以外の地域よりも空き率が高いのだそうです。
理由として挙げられたのが、「職員採用が困難」「職員の離職が多い」などの人手不足で、そのため医療的に十分なケアをもって入所者に対応できず、やむを得ず入所者を制限しているというものでした。 他にも前述したような入所条件の厳格化など理由はありますが、空きがあるのに職員不足が原因で入所者を増やせないという状況には、何かもどかしいものを感じてしまいます。
国の推進の陰で…廃業したサ高住が260件
今年3月には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の現状に関するニュースも話題になりました。
2011年10月、「高齢者住まい法」の改正とともに登場したサ高住は、2013年頃から大幅に戸数を伸ばし、2017年3月末の段階ではその数は216,680戸にも上ります。スタッフの常駐やサービスのよさなどの理由もありますが、国が補助金を出し税金を優遇するなどして建設を推進したのが一番の大きな理由でした。 しかしその一方では、NHKの調査によると、これまでに廃業や登録取り消しをしたサ高住の数が全国で約260件にも上るそうです。
せっかく安心を求めて入所した介護施設がいきなり廃業してしまうというのは、入居する高齢者とその家族にとってはたまったものではありません。何よりも、閉鎖前には次に入所する施設を探さなくてはならず、一歩間違えば路頭に迷ってしまうことにもなります。
このようなニュースを受け、今後はより一層、入居施設選びに慎重を期さなければならなくなったのではないでしょうか。
施設選びに不安を感じたら、お気軽に!
今回取り上げたのは介護施設に関する直近のニュースでしたが、今後も介護業界を取り巻く状況は間違いなく変化してゆくでしょう。安心した生活を送れるように、今後も動静はしっかり注目してゆきたいものです。
もし皆さんが介護問題で不安を感じたり、施設選びに不明な点を感じたりしたら、そのときは迷わずお気軽にご相談くださいね。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)