介護施設での虐待が増加…施設選びはより慎重にすることが大切 !
2017.1.20
最近、介護施設での虐待というニュースを見ることが多くなりました。介護施設に自分の親を預けることに、不安を感じている方も多いでしょう。そこで今回は、高齢者に対する虐待の現状について調査した結果をまとめました。自身が介護をどのように行うべきかについて、考える良い機会にしましょう。
虐待判断件数
市町村が介護施設での高齢者に対する虐待と判断した件数は、平成25年の221件から平成26年には300件に増加しました。(35.7%増)
一方、市町村が在宅介護での家族・親族・同居人による虐待と判断した件数は同じ期間で15731件から15739件と8件の増加(0.1%増)となっており、介護施設における虐待の増加割合が非常に大きいことが読み取れます。
虐待相談、通報件数
市町村へ寄せられた、介護施設での高齢者への虐待に関する相談・通報件数は平成25年の962件から平成26年には1120件に増加しました。(16.4%増)
一方、在宅介護では同じ期間で平成25年の25310件から平成26年の25791件に増加しています。(1.9%増)
このように、虐待相談・通報件数は判断件数よりもかなり多いことが分かります。そのため実際の虐待件数は、市町村が虐待と判断した件数よりも更に多くなるかもしれません。
参考:平成 26 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果高齢者人口について
高齢者人口は平成25年の3190万人から平成26年には3300万人と3.4%増加しています。男女別では男性が1423万人、女性が1877万人となっています。総人口に占める65歳以上の人の割合は26%にまで達しています。
高齢者人口の増加割合よりも虐待増加割合の方が大幅に大きくなっており、虐待を受けている高齢者の割合が実際に増加していることがここから分かります。
なぜ介護施設で虐待が起こるのか
介護施設で虐待が発生する理由には主に以下のようなことが挙げられます。
認知症入居者ケアに対するノウハウ不足
介護施設の高齢者には認知症を抱えている人が多いです。その方々の症状として、暴言、暴力があります。職員がそれに反応して、暴力をし返す、暴言を浴びせ返すということが起きているのです。認知症高齢者へのケアや、対処に関するノウハウが不足しているのです。
人員不足
介護施設は慢性的に人数不足の所が多いという現状があります。人手不足だと、職員が無理に働かなければならない状況が増え、ストレスや疲れを溜めやすい施設・環境になってしまいます。その結果、職員がそのストレスや疲れを、高齢者に対してぶつけてしまうということが起こります。
職場教育の不足
職員不足のため新人職員が入っても、各入居者に対する正しいコミュニケーションの取り方を伝えたり、研修を行ったりする時間を、多く取ることができません。いきなり慣れない環境で働かなければならないことになり、その結果、高齢者の方に対してストレスを溜めてしまい、虐待で発散してしまうことがあります。
介護施設か在宅介護か?
介護施設での虐待のニュースを聞くと、在宅介護にしたほうが良いのではと考える方もいると思います。しかし在宅介護には、介護の負担を自分で背負うことになるなどデメリットも多いため注意が必要です。
詳しくは、『在宅介護と施設介護のメリット・デメリット』で解説してありますのでご参照ください。
介護施設に入居させる場合でも、費用面だけを考慮しサービス内容などをあまり考えないと、自分の身内が虐待問題に巻き込まれてしまう確率も上がるでしょう。したがって、介護施設を選ぶ際には、必ずその質も考えてください。例えば、人手不足が虐待の大きな原因になっているため、施設の入居者に対する職員の比率(入居者100人対して職員~人など)を一つの指標とするのも良いでしょう。
介護施設に入居させた後も、職員とコミュニケーションを取り信頼関係を構築することが重要です。万が一、虐待ではないかと疑うような状況になった場合には、部屋にカメラを設置して状況を監視することも必要になるかもしれません。
以上からわかるように介護施設選びは本当に難しいことです。もし介護施設選びで迷うことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
『シニアのあんしん相談室』ご相談窓口電話:0120-371-652(平日・土日祝 9:00~18:00)
メール:soudan@kaigo.soudan-anshin.com
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)