介護保険制度の改正で特養の何が変わった?入居や補助金への影響は?
2016.8.17
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)には、さまざまなメリットがあります。 「他の高齢者向け施設に比べて月々の費用が安い」「入所期間の制限がない」「地域の社会福祉法人が運営しているため安定感がある」などです。
利点も多い特別養護老人ホームは、利用希望者の中に入所待ちの方が出るほどの人気を集めています。 そうしたなか2015年4月に介護保険制度が改正されて入所のための要件などが変わりました。今回は、介護保険制度の改正で変わった特別養護老人ホーム入所の要件についてまとめました
特養入所の要件
2015年4月以前の介護保険制度では、全要介護度の方が入所対象者となっていました。しかし新たに改正された制度では、より密接な介護が求められる「要介護3以上」に入所者が限定されています。ただし、すでに入所している要介護1、要介護2の方はそのまま利用できます。
例外として「重度の認知症でどうしても自宅で生活することができない」「家族による虐待が認められる」などのやむを得ない状況が発生している場合には、要介護1・要介護2の方でも入所することが認められています。
ちなみに要介護度については以下の通りです。
【要介護度1】
独り暮らしも可能だが、できるなら家族との同居が望ましいとされるレベルです。
【要介護度2】
立ち上がりや歩行の際には何らかの支援が必要で、独り暮らしが難しい状態です。
【要介護度3】
身の回りの世話や排せつを自分一人ではできない度合を指します。
【要介護度4】
食事や入浴・着替えなど日常生活のほぼ全般で手助けや介助が必要で、専門家に委任すべきレベルです。
【要介護度5】
寝たきりなどの重い度合を指します。意思疎通もできないケースも含まれます。
特養の補助金制度について
特別養護老人ホームでは、低所得にあたる方を対象とした補助金制度があります。
今までは低所得にあたる基準として「住民税の非課税世帯(生活保護受給者・障害者など)」を対象としていました。しかしこれまでの制度では、預貯金の額や配偶者の資金力に関することが考慮されておらず、今回、基準の改正が求められてきました。
そして今回の新たな制度改正によって以下2つの基準が設けられています。
【預貯金】
単身で1000万円を超える場合、夫婦で2000万円を超える場合には補助金を打ち切る
【配偶者】
世帯分離しても、配偶者に住民税の課税所得がある場合は補助金を打ち切る
以上のように特別養護老人ホームは、より介護を必要とする方のための施設となっています。入所の際の補助金制度の基準は今後も改正される予定だと言われています。
もしかしたら、入所者の遺族年金の額や所有する不動産の評価額によっては、補助金制度を受けられなくなるかもしれません。
特別養護老人ホームの利用を検討されている方は、改正後のポイントを把握してからお申し込みされることをオススメします。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)