有料老人ホームの入居費用は何故高い?特養と介護サービスの質を比較
2016.2.19
主に民間企業が運営する有料老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームよりも費用が高いです。
費用が高い理由について、特別養護老人ホームと比較した「介護サービスの質」という観点から解説します。
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有料老人ホームと特別養護老人ホームの費用比較
特別養護老人ホーム:入居金なし 月額費用6~15万円
介護付き有料老人ホーム:入居金0~数千万円 月額費用15~35万円
有料老人ホームの入居に掛かる費用を特別養護老人ホームと比較した場合、施設にもよりますが割高になる傾向があります。特別養護老人ホームは公的機関から補助金が投入されている分、入居者が負担するため費用は少なります。対して有料老人ホームでは補助制度がないため、特別養護老人ホームに比べて入居に掛かる費用が割高になります。有料老人ホームのデメリットと言えるでしょう。そうなると「特養への入居が最善なのか?」という疑問が湧きますが、そうとも言い切れません。次の「有料老人ホームに入居するメリット」にて具体的な例と挙げて解説します。
有料老人ホームに入居するメリット
民間企業が運営している有料老人ホームには、以下のような特別養護老人ホームにはないメリットがあります。
「寄り添い型」の介護サービス
特別養護老人ホームでは費用が安い理由から、入居待機者が何百人待ちで入居までに数年かかるというケースは珍しくありません。入居者は自然と集まってくる状況と言えます。一方で、有料老人ホームの場合は同じエリアに競合施設が多数あります。そのため入居者だけでなくその家族の満足度も上げていかなければ、退去されてしまったり、悪い評判が立ってしまうと経営に大きな影響を受けてします。
そのため「介護サービスの質の向上」をはじめとした企業努力においては、施設によって方針や取組に差はあるものの、社会福祉法人や医療法人と比較して開きがあるのが現状です。特養の介護は一定の介護サービスが提供される「マニュアル順守型」、有料の介護は自由度が高く「寄り添い型」と言えるでしょう。
ゆったりした居室・共有スペース
特別養護老人ホームでは、建物内に居室を多くとる作りが一般的です。ビジネスホテルもしくは病院に似た作りといえばイメージしやすいかもしれません。部屋を多くとるため共用スペースやカフェなどの設備はありません。
有料老人ホームでは最小限の間取りからゆったりめの居室までバリエーションがあり、床暖房やクッションフロアーなど希望の条件や身体の状態に応じた選択肢があります。共有スペースはもちろん、カフェは入居者だけでなく家族や友人も無料で利用できる施設もあります。自宅と同じような感覚で過ごすことができる低層施設など、各施設が特色を出し、居室や共用スペース、設備に力を入れています。
フロア分けによる快適な生活
特別養護老人ホームでは、重介護者が多いため、認知症がない利用者が滅入ってしまうことがあります。有料老人ホームでは、認知症の有無や進行度ごとにフロア分け、身体状況に応じて居室分けをしますので、その人らしい生活を送ることができます。特養は「安心してお世話をしてもらえる」、有料は「一人ひとりの価値観や生活習慣を尊重した生活をするための住まい」と捉えることができます。
家族と触れ合うイベント・レクリエーション
誕生会、クリスマス会、節分など基本的なイベント・レクリエーションは特養、有料ともに行います。有料老人ホームだけの特長として、外食レクや日帰り温泉に行くなどの家族参加型のレクリエーション(任意)があります。
リハビリ特化施設
有料老人ホームにはさまざま種類がありますが、その中の1つにリハビリに重点を置いた介護を目的とした施設である「介護老人保健施設」があります。介護老人保健施設には介護士や医師、理学療法士などが在籍しており、それぞれの専門家が在宅復帰のためのさまざまなケアを行ってくれます。
有料老人ホームの運営基準
有料老人ホームの中で「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているのが「介護付き有料老人ホーム」です。介護付き有料老人ホームは「介護保険法」や「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」によって以下の4つの基準が設けられているため、介護サービスの質が高く、医療対応も充実しています。
- 介護職員または看護職員を要介護者3名に対して1名以上配置すること
- 介護職員を24時間常駐させること
- 看護職員を1名以上、日中常駐させること
- 協力医療機関を定めること
このように有料老人ホームには、特別養護老人ホームと比較した場合に、費用が高いというデメリットがありますが、医療介護サービスの充実や自分らしい生活がおくれるというメリットがあります
また後悔しない老人ホーム選びをするためには、自分に合った施設を選ぶことが大切です。施設ごとの特徴を理解するだけではなく、現地を見学することをおすすめします。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)