そのお風呂の入り方がヒートショックで死を招く!正しい入浴方法とは?
2016.10.21
お風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いで、「うっ寒い!」と思わず身を縮めているあなた。もし「でもお湯につかれば温まるからいいや」と考えていたら、要注意ですよ!お風呂で倒れるヒートショック現象では、毎年多くの方が亡くなっています。
ヒートショックはなぜ起きるのか、そのメカニズムを是非知っておきましょう。
ヒートショック死は年間1万7千人!
秋から冬に向かうこの季節、これから日に日に肌寒くなってゆきます。そろそろ冬の準備が気になり出す時期に、私たちが日常生活の中で頭に留めておかなければならないのは、ヒートショックによる事故の予防です。ヒートショックとは、暖房の効いた部屋からお風呂場の寒い脱衣所へ、さらに熱いお風呂へといった具合に、家の中の寒暖差が激しい場所を移動することで起きる体調の変化のことです。
日本は世界の中でもお風呂好きな国民性で知られていますが、実はこのヒートショックによる死亡者数が非常に多いことを知っていましたか?2011年の調査ではヒートショックによる年間死者数が推計1万7千人にも上ったそうです。このうち65歳以上が1万4千人もいて、お風呂好きの国民性が逆に恐ろしい状況を招いていることを示しています。
血圧の急上昇・急低下が元凶
ヒートショックのおもな症状は、血圧の急上昇や急低下に起因するめまいや貧血、失神、場合によっては脳出血や脳梗塞、心筋梗塞の発症などです。また症状自体は軽くても、転倒して頭を打ったり、湯船で溺れたりして死亡するケースが多くあります。
寒い脱衣所で服を脱ぐことによって毛細血管が収縮して血圧が上昇し、熱い湯船に入ることで心臓にも負担がかかります。そこから体が温まって血管が拡張して、血圧は急激に低下します(入浴後6分で30~90ミリHg低下)。その後、再び寒い脱衣所に戻ることで血圧が再度上昇と、短時間でこれだけ血圧が変化すれば体調が変化するのも何ら不思議ではありませんね。
気持ちのいいはずのお風呂が、気をつけないと実は体に大きく負担をかけているのです。
覚えておきたい!5つのヒートショック対策
このように突然死を招く恐れのあるヒートショックに対し、私たちはどのような対策を講じたらよいでしょうか。5つのポイントを箇条書きにしてみました。
1. 脱衣所を暖めておく(お風呂場との温度差を少なくすることで急激な血圧変化を防ぎます)
2. お湯の温度は熱くしすぎず、長湯は避ける(お湯は41度以下、お湯につかる時間は10分以下が目安です)
3. 浴槽からはいきなり立ち上がらない(脳内の血液が減ることで立ちくらみがおき転倒しやすくなります。前屈みでゆっくり立つようにしましょう)
4. 食後や飲酒後まもなくの入浴は避ける(飲酒後や食後1時間以内は血圧が低下しやすく、入浴は禁物です)
5. 家族にお風呂場に確認に来てもらう(万一のとき発見が遅れないために心掛けておきましょう)
北海道の防寒対策に学ぼう!
ちなみに、日本の47都道府県の中でヒートショック事故が多く発生するワースト3は北国ではなく、香川・兵庫・滋賀の3県でした。最も寒い北海道は意外や意外、全国で2番目の少なさでした(1番は沖縄県)。
これはなぜかというと、寒冷地ほど外気の入りにくい気密性の高い家が多く、脱衣所とお風呂場の温度差が少ないからなのです。
前節で説明した5つのヒートショック対策を参考にしてもらいながら、余裕があれば断熱材などを使った家全体の防寒対策について検討してみましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)