運動能力と認知能力を同時に鍛えるコグニサイズとは
2018.12.13
以前「座りながら10分間でできる健康体操「サンライズ・リハビリ体操」」という記事で、リハビリ体操について紹介しました。今回は運動能力と認知能力を同時に鍛える「コグニサイズ」を紹介します。コグニサイズで、運動機能と認知機能を同時に鍛え、長く健康的に生活できるようにしましょう。
コグニサイズとは
コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動課題と認知課題を組み合わせたエクササイズのことです。認知を意味する「cognition」と運動を意味する「exercise」をつなげた造語で、認知症の予防を主な目的としています。運動課題にはステップ、ダンス、ウォーキング、バイクなどがあり、認知課題には計算やしりとりなどがあります。
運動により身体的な健康を促し、それと同時に脳の認知機能を活発化させ、認知症の発症を遅らせるというのがコグニサイズの目的ですので、コグニサイズの活動自体が上手にできるかどうかは問題でありません。複数の高齢者で一緒に行い、できるだけ楽しい雰囲気で行うことが大切となります。
コグニサイズの代表例「コグニステップ」
コグニサイズにはいくつかの種類があります。ここでは、コグニサイズの代表例であるコグニステップのやり方についてご紹介します。
【コグニステップ】
コグニステップは、リズムに合わせて左右の足を交互に上げる動作と、1から順に数をかぞえながら「3の倍数」で手を叩くという動作を組み合わせたものです。
口で1から順に数をかぞえながら、まず右足を右上に上げます。右足を元の位置に戻したら、次に左足を左上へ動かします。その動作を繰り返しながら、かぞえている数字が「3の倍数」になったら手を叩くという動作を行うのです。慣れてきたら手を叩く倍数を変更したり、リズムを変えたりするなど変化をつけるといいでしょう。
こうすることで、運動機能と認知機能を同時に活性化することができるようになります。
コグニサイズを行うときのポイント
コグニサイズを行うときは、以下のポイントに注意して行うようにしましょう。
- ・無理をしない
簡単な動作とはいえ、体を動かすものです。高齢者の体の調子に合わせ動作の数を少なくするなど、無理のない範囲で行うようにしてください。 - ・準備運動や水分補給をしっかりする
コグニサイズを行う前にはしっかり準備運動をするよう心がけ、ケガをしないように気を付けましょう。また、夏など暑い日に行う場合はこまめな水分補給を忘れないようにしてください。 - ・少しずつでも毎日行う
コグニサイズの効果を得るには、何よりも継続することが大切です。1回の実施時間が短いとしても、毎日同じ時間に行うことでより高い効果を期待できます。 - ・慣れたらレベルアップさせる
コグニサイズに慣れてきたら、動作のパターンを変えたり、認知課題の内容を変えたりして、レベルの高いものにしていきましょう。少し難しいくらいのレベルに挑戦することで、より高い効果を得られます。
内容がシンプルなので、誰でもどこでも簡単に取り入れることができるコグニサイズ。認知機能と運動機能を同時に鍛えることができるものです。認知症予防の一環として、毎日の習慣のひとつに取り入れてみてはいかがでしょうか。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)