健康寿命を延ばすことはサルコペニアやフレイルの予防にも効果的?
2018.9.7
「長生きしたい!」と思う心は、誰しも共通しているものです。
ただしこの決まり台詞も、超高齢社会に突入した現代ではこれに一言加わって、「健康で長生きしたい!」が今や常識となっています。ではこの「健康で長生き」を目標としたライフスタイルを実践するために、具体的にどんなことをして過ごせばよいのでしょう?
ロコモ・サルコ・フレイルは健康長寿の敵
近年のデータでは、平均寿命と健康寿命を併載することが一般化しました。
健康寿命とは、人の寿命において「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指すと厚生労働省では定義しています。
例えば以前ご紹介した通り(健康寿命という考え知っている? 健康管理ができていない方へ)、2013年の平均寿命が男性80.21歳、女性86.61歳なのに対して、同年の健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳です。つまりこの数字は、男性9.02年、女性12.4年の要介護期間を示しています。このように健康上の問題がない自立した生活を元気に過ごせるかが、最近では重要視されているわけです。
そして健康寿命を延ばすことは、要介護・要支援の原因を予防できることにつながります。
要介護状態に陥る要因として、骨・関節・筋肉などの運動器に障害を起こし衰えさせる「ロコモティブシンドローム」があります。また、高齢になるにつれて筋肉が減少してしまう「サルコペニア」や、体の予備能力が衰えて身体機能障害が起きやすくなる「フレイル」などの原因にもなります。
運動器の健康を維持することは、すなわち健康寿命を延ばすことにつながり、健康長寿の敵となるこれらの要因への対策として有効なのです。
日課にしよう!ウォーキングとストレッチ
さて、健康寿命を延ばすためにはどんなことをすれば良いのでしょうか?
ここで必要なのは、適度な有酸素運動と筋力強化です。
有酸素運動はウォーキングが最適です。1回10分~30分程度、1日2回程度が理想的なペースです。少しだけ息が早くなり、若干汗ばむ程度で留めると良いでしょう。
筋力強化は、椅子を使った膝伸ばしやスクワット、脚の後ろ上げなどの簡単なストレッチを行います。いずれも足腰や太ももの筋力をつけるのに効果的です。また、無理な動きは禁物です。ゆっくりとしたペースで、無理のない範囲で行うよう心がけましょう。もし痛みを感じるようになったらすぐにやめましょう。
さらにもう一つ、高齢者が特に気をつけたいのが転倒です。うっかり転倒して骨折したりしないよう、転ばない体を作るバランス保持運動も覚えておきましょう。
- (1)座布団の上で直立し、片足のかかとを10cmほど浮かせた姿勢を10秒間キープします。
- (2)直立の姿勢から、足を左右交互に大きく前に踏み出して戻す、というステップを5回ずつ反復します。
- (3)四つ這いの姿勢から、左手と右足を同時に上げて5秒間キープします。続けて右手と左足でも行います。
よろけそうな時は物にぶつかったりしないよう、安全に留意して行うようにしましょう。 合わせて以前ご紹介した「高齢者の健康寿命は運動習慣で改善!介護予防にも繋がる体操や運動」も参考にしてみてください。
健康寿命を延ばすには地域コミュニティーも大切です
こうした日頃の運動習慣の他に、生活機能向上につながる活動として、地域自治体で企画されるコミュニティー(自治会や老人会、サークルなど)に参加したり、運動サークルなどで健康的な習慣を身につけたりすることが、健康寿命を延ばすのに大切です。
こうした取り組みを実践するのが難しい場合は、老人ホームや施設の利用を検討されることをお勧めしますので、ご検討ください。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)