介護報酬改定で特養はどう変わる?2018年の主な変更点3つ
2018.8.29
介護や医療に関わる報酬は、定期的に改定がなされます。介護報酬は3年に1回、医療報酬は2年に1回、そしてその両方が改定される同時改定が6年に1回行われます。 2015年度には介護報酬が改定され、2016年に診療報酬が改定されました。そして、2018年には同時改定が実施され、介護報酬の評価の基準に変更点がありました。
ここでは2018年の介護報酬がどのような目的で改定されたのか、特養(特別養護老人ホーム)にはどのような影響があるのかを解説します。
2018年の介護報酬改定のポイント
2018年に実施された介護報酬改定のポイントの1つは、「必要な介護を評価し、不要な介護への評価をしない」ということです。 基本的な考え方ではありますが、改定前はこれが必ずしも実現していませんでした。
たとえば「必要な介護」については、配置医師による看取りや、夜勤職員によるケアへの評価が低いため、この2つのサービスに力を入れない特養が目立っていたのが実情です。逆に不要な介護が評価されるという問題もあり、「本当に必要な介護を評価される」仕組みを目指し、改定が行われました。
介護報酬改定に伴う、特養の主な変更点3つ
2018年の介護報酬改定では「特養の看取り体制に対する報酬体系の導入」が主なポイントの1つとなりました。そのため、特養に関する変更点はすべて「看取り」に関係するものです。その中でも主なものを3つ紹介します。
1.配置医師緊急時対応加算
これは簡単にいうと「配置医師による早朝・夜間・深夜の診療を評価する」というものです。「施設の求めに応じて施設を訪問し、入所者の診療を行った場合」という条件が設定されています。たとえば「入所者が勝手に医師を呼んだ場合は除外」「医師が勝手に診療を行ったら除外」ということです。加算される1回当たりの単位は、早朝・夜間で650単位、深夜で1300単位となっています。
2.常勤医師配置加算
これまでも、常勤医師を配置することによる加算はありました。しかし、同一建物で別々の施設があり、同じ医師が両方に配置されている時は「片方の施設の分」しか加算されませんでした。それが「双方の施設で加算」となったことが変更点です。
3.夜勤職員配置加算
これまでは、夜勤職員の人数について「最低基準より1人以上多く配置していること」という条件でした。しかし、改定後は見守り機器を導入することで、この基準が緩和されます。見守り機器を導入した場合、上記の条件の人数が「1人→0.9人」となるのが変更点です。つまり、見守り機器は0.1人としてカウントされるといえます。詳細な条件は「入所者の15%以上に見守り機器を配置する」「見守り機器を安全に活用するための委員会を設置する」ことです。
適切な法改正はすべての人の幸福につながる
今回の介護報酬改定は、理想の介護や施設ケアを実現する上で、非常に有意義なものだといえます。不要な介護を減らし、必要な介護だけをすることは、入所者やその家族にとって良いだけではありません。介護する側の職員、診察する側の医師にとっても「正しい仕事が評価される」というのは気持ちが良いものでしょう。
厚生労働省の調べでも、「勤務中にグレーゾーンな行為を見たことがある」と回答した介護相談員が3割以上にのぼりました。改定によってこのような行為が減ることは、相談員や職員の仕事のやりがいを考える上でも良いことでしょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)