認知症予防にSNSが効果的?スマホ・パソコンが脳にいい理由は?
2018.8.13
以前「認知症高齢者の日常生活自立度・障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは?」という記事で、認知症高齢者の日常生活自立度について紹介しました。
「スマホやSNSを長時間使うことは子供の成長に悪影響を及ぼす」という説はよく聞かれます。しかし、それとは逆に「高齢者がスマホやSNSを利用することは認知症予防になる」という可能性も指摘されているのです。ここではその可能性を示した研究結果や、なぜSNSやスマホが認知症予防になるのかという理由を解説していきます。
SNS利用による認知症予防の可能性を示す研究結果
「高齢者が2カ月SNSに取り組んだら認知機能が25%上昇した」という研究結果がアメリカで発表されました。
高齢者、特に仕事を退職したリタイア世代にとって、SNSの利用は孤独感を小さくさせるなど精神衛生上のメリットが多いということが、認知症予防につながる要因のひとつであると言われています。
また、東京都の練馬区では、2012年からFacebookを使った認知症予防プログラムを始めるなど、認知症予防のためにSNSが役立つというのは半ば一般化してきているようです。
なぜSNSが認知症予防に効く?考えられる理由
仮にSNSが認知症予防に有効だとしたら、その理由はどこにあるのでしょう。ここでは考えられる2つの理由をまとめます。
1.人とのコミュニケーションが脳に良い
コミュニケーションは、相手の感情を読み取ろうとしたり、相手の発言の真意を理解しようとしたりして行うため、脳の認知機能をフルに活用するものです。SNSは、文字でのやりとりにはなりますが、コミュニケーションのツールであり、利用することで認知機能の向上が期待されます。また自分の投稿に対して「いいね」やコメントをもらうことで、他者からの承認を得られ自己肯定感が増すというメリットもあります。複数の人とつながれることから孤独感が小さくなり、認知症の原因になる老人性うつなどの予防にもつながるともされており、認知症予防に効果があると考えられているのです。
2.パソコンの操作が脳に刺激を与える
「高齢者がパソコンを使うことは脳の刺激になる」というのは、何となくイメージできる人もいるでしょう。これはただのイメージではなく、研究結果によって実際に示されています。米国オレゴン健康科学大学のグループは、「パソコンをよく使う高齢者ほど記憶中枢の海馬の容積が大きい」という研究結果を示しました。
この研究の対象となったのは健康な65歳以上の男女です。人数は151人、期間は1カ月間という条件で、パソコンの使用時間と脳の状態の関連を調査しました。この結果、1日のパソコン使用時間が1時間多いほど、海馬の容積が0.025%大きくなっていたとされます。記憶を司る海馬が発達することは、そのまま認知機能の向上につながるものです。SNSを使うために「パソコンを操作した」ことが、この記事の序盤で紹介した研究でも、高齢者にとってプラスに働いたと見られます。
高齢者のSNS・スマホ・パソコンの利用をサポートしよう
高齢者が新しいことに積極的にチャレンジする、人とのコミュニケーションを積極的にとるということは、認知症の予防につながるものです。パソコンやスマホの操作でも、SNSによるコミュニケーションでも、その効果が現れているといえます。高齢者がパソコンやスマホ、あるいはSNSに興味を持ったら、楽しく利用を継続できるよう後押しするといいでしょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)