高齢者の健康寿命は運動習慣で改善!介護予防にも繋がる体操や運動
2018.5.30
日本は世界でも有数の長寿国家となりました。しかし近年では、ただ長生きするだけではなく、高齢者自身が充実した暮らしが送れているかどうかが重要視されています。 これは健康長寿という概念が浸透してきた証拠でしょう。
高齢者がより健康で過ごすために、どんな努力をすべきか。具体的な方法も含めて考えてみましょう。
「健康長寿国家」を目指す国の取り組み
人には平均寿命と健康寿命の2種類があります。健康寿命に関しては以前「健康寿命という考え知っている? 健康管理ができていない方へ」で概要を紹介しましたが、ここではさらに細かく説明します。
2013年度の調査によれば、日本人男性の平均寿命は80.21歳、健康寿命は71.19歳でした。同じく日本人女性の平均寿命86.61歳、健康寿命は74.21歳でした。健康寿命とは、健康上問題なく生活できる期間のことで、平均寿命と健康寿命の数値が近いことが理想です。
健康寿命の延びは平均寿命の延びにも反映します。そのため日本でも近年、健康寿命を延ばすための健康増進施策を積極的に行っています。「健康日本21」と銘打ったこの施策では、自治体や企業などに5段階評価の目標値を設定、指導を行っています。これによって、メタボリックシンドロームや「8020運動」(80歳で自分の歯が20本あることが目標)などの問題が改善されましたが、一日の歩行量などの面では悪化していることが分かりました。
さらにもう一つ、足が健康寿命を延ばすうえで大きな役割を占めていることも判明しています。
高齢者も簡単にできる!足の運動
海外では早くから足の健康に対する様々な研究が重ねられ、アメリカでは足の専門医の地位が確立しているほど、足の健康は注目されています。出遅れた日本でもその流れは少しずつ認知され始めました。
足の健康トラブルについては、足の変形や筋力低下、関節硬化などが進行するとサルコペニアに発展しやすいと考えられており、そのためにも高齢者の健康寿命を延ばすうえでフットケアは重要であるという認識が広まりつつあります。
ではここで、フットケアの一環として、簡単にできる高齢者向けの足の運動をご紹介しましょう。
(1)いすに腰掛けた状態で、つま先を上げ下けします。下げる時はかかとを上げる感じで、それぞれ3秒程度キープします。
(2)足の指を内側に曲げたり伸ばしたりします。手の指でグーとパーを繰り返すイメージで、足がつらないよう注意してください。
(3)立ち上がってテーブルに手を付き、つま先立ちでかかとを上げ下げします。これもそれぞれ3秒程度キープします。
これ以外にも厚生労働省では、健康寿命を延ばすための運動習慣として、「1日30分歩く」「寒い時間帯や暑い時間帯はなるべく避ける」「運動の前後に水分補給」など、細部にわたって様々な運動の仕方や諸注意を提唱しています。
まずは地域包括支援センターに相談を!
現在高齢者と同居する世帯でも、こうした健康寿命を延ばす試みを実施することが介護予防に繋がりますので、積極的に取り組んでみましょう。
自治体の担当窓口または地域包括支援センターに問い合わせれば、高齢者向けの運動教室などを紹介してくれます。また、要支援に認定された人が参加できる運動型デイサービスもあります。介護保険の適用対象ですので、負担も少なく安心です。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)