この時期から気をつけたい食中毒、高齢者への影響や予防法は?
2018.5.25
天候不順の時期は体調管理が難しいものです。例えば高齢者の場合、汗をかいても面倒で着替えをせず、風邪を引いてしまうという話はよくあります。
そういった生活の中で、健康に影響が及ぼされる中で厄介なのが食べ物による影響です。特にこの時期発生しやすい食中毒は、時として高齢者の健康に重大な影響を及ぼす可能性すらあります。また、当事者である高齢者だけでなく、介護者も注意していかなければなりません。
細菌とウイルスが食中毒を引き起こす
だんだんと暖かさが増して、湿度も高くなるこの時期になると食中毒の対策が大変重要になります。
高齢者は一般的に身体の抵抗力や免疫力が低下していて、食中毒にかかると症状が重くなりやすいものです。また、高齢者ほど日常生活での細心の注意を怠りがちだったり、体調不良でも人に訴えずに我慢してしまう傾向があるとされています。これは一歩間違えれば非常に危険ですので、介護者は注意が必要です。
食中毒を起こす原因には、細菌とウイルスの2種類があります。代表的な細菌としては、病原性大腸菌(O157やO111など)・カンピロバクター菌・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ菌・ボツリヌス菌・セレウス菌・ブドウ球菌・ウェルシュ菌などがあります。そしてウイルスにはノロウイルスがあります。これらの細菌やウイルスが、主に食べ物に付着して体内に入る「経口感染」によって、下痢・嘔吐・腹痛・発熱などを発症させます。さらに高齢者の場合、合併症から脱水症状を引き起こすこともあります。
では、どうすれば食中毒被害を未然に防げるのか、対策を紹介していきましょう。
感染による食中毒を防ぐ基本事項とは?
食中毒の予防法は基本的なことばかりですが、どれも大切なので今一度確認してください。
食中毒は細菌が「経口感染」で体内に入るケースが大半とされており、ウイルスの場合は吐しゃ物などに混ざって乾燥・飛散して感染する「空気感染」もあります。これらを予防するには、以下の4点を守ることが大原則です。
(1)身体を清潔にする
細菌やウイルスが食べ物や食器類に付着するのを防ぐため、外出後やトイレの後、また動物を触った後は手洗いやうがいが必須です。手を拭くタオルは毎日交換しましょう。
(2)食材の購入時期を考える
細菌は10℃以下になると繁殖力が低下します。食材は冷蔵庫に入れて保存し、賞味期限・消費期限を守りましょう。
(3)食器類・調理器具はしっかり洗浄する
台所を常に清潔にして、しっかり洗った後は乾燥させ、清潔な場所で保管しましょう。
(4)加熱処理をする
生肉には病原性大腸菌やサルモネラ菌、生卵にはサルモネラ菌、魚介類には腸炎ビブリオ菌が付着している可能性があります。これらの食材はしっかり火を通す調理をしましょう。目安として食材の中心部を、75℃以上の熱で1分以上加熱するのが良いとされています。また、細菌が増殖しやすい梅雨時にはなるべく生ものを食べないのが賢明です。
細菌は「つけない・増やさない・殺菌する」、ウイルスは「つけない・持ち込まない・ひろげない」が、食中毒予防の心得です。
症状が出たらすぐ専門医に!
こうした細心の注意を払っていても、免疫力が低下している高齢者の場合、食後に腹痛や吐き気など食あたりの症状を訴えることがあります。 そんな時は、早めに専門医の診察を受けてください。市販の胃腸薬や下痢止めの薬を服用させることはかえって治療の妨げになる場合がありますので気をつけましょう。
いつ何を食べたかなど、医師に情報を伝えることがここでは最も必要な対策なのです。介護者の方はこれらのことに注意を払いましょう。 また、仕事や現状は自分のことで精いっぱい!という場合には専門家の手を借りるということも検討してみましょう。あるいは、老人ホームを検討してみるのもいいかもしれません。シニアのあんしん相談室ではそういった老人ホームの比較検討ができますので是非活用してみてください。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)