認知症の方への介護が必要になったら、認知症対応型通所介護
2018.4.13
あなたの家庭に介護を要する認知症の高齢者がいたとして、もしあなたの世帯が共働きなどの理由で十分な介護ができない場合、あなたはどの介護サービスにケアを求めますか?
このような悩みを持つ方々の受け皿となるサービスが、「認知症対応型通所介護」です。今から認知症対応型通所介護について詳しく知っておきましょう。
認知症対応型通所介護とデイサービスの違いは?
認知症対応型通所介護は介護サービスの中でも認知症の人を専門的にケアする、いわば認知症ケアに特化した介護サービスです。
対象者は、認知症と診断され要介護度1~5に認定された人を対象とし、少人数の家族的な雰囲気の中で手厚いサービスを受けられるのがこの施設の特徴です。
そのサービスの内容とは、認知症の人が最終的に自立した生活を送れるように日帰りで施設に通ってもらい、共同生活で食事や入浴などの日常生活の支援や、生活機能訓練などが提供されます。
では、同じく施設に通う形式の介護サービスであるデイサービスとは、どんな点が異なるのでしょうか?
まず、デイサービスは他地域在住者も利用できますが、認知症対応型通所介護はその事業所と同じ市区町村に住む人のみが基本的に利用可能です。これは認知症対応型通所介護が「地域密着」を基本理念として運営されているためです。
次に、認知症対応型通所介護を利用する際は、医師による認知症の診断が必須となります。
そして最後に、前記したように認知症対応型通所介護は専門的で手厚い認知症ケアを受けられます。自宅で自立した生活を過ごせるよう、職員が寄り添って支援してくれるのが認知症対応型通所介護の最大の特徴とも言えるでしょう。
要介護レベルで異なる利用料金
認知症対応型通所介護の費用はそれぞれの要介護度によって違います。1日あたりの利用料の目安は以下のような額(すべて1割の自己負担額)となります。
(A)3時間以上5時間未満の場合
要介護1-564円/要介護2-620円/要介護3-678円/要介護4-735円/要介護5-792円
(B)5時間以上7時間未満の場合
要介護1-865円/要介護2-958円/要介護3-1,050円/要介護4-1,143円/要介護5-1,236円
(C)7時間以上9時間未満
要介護1-985円/要介護2-1,092円/要介護3-1,199円/要介護4-1,307円/要介護5-1,414円
この他、食費やおむつ代など日常生活費が加算されます。また金額はあくまで目安です。事業所のある地域や体制によって金額が多少異なることもありますので、詳しくは事業所窓口または担当ケアマネージャーに確認してみてください。
グループホーム入居の練習期間に最適
認知症対応型通所介護には、さらに2つの大きなメリットがあります。
1つは、家庭的な雰囲気の環境で、ストレスを最小限に過ごせる点です。地域密着型の施設として、住み慣れた地域環境にあることから生まれる心理的なくつろぎから認知症の行動および心理症状の緩和につながるのです。
もう1つは、共用型認知症対応型通所介護に通うことが、グループホームに入居する準備期間にもなる点です。認知症の人が住み慣れた自宅からいきなり違う環境で生活を始めることは心的に負担となり、認知症の症状を悪化させることにつながりかねません。そのためにも、共用型認知症対応型通所介護で他の利用者と過ごす時間を作って、少しずつ慣れてゆくようにしてグループホーム入居に備えるのです。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)