「寝たきり度」で要介護度も決まる? 施設選びの前の注意点
2018.3.20
以前「認知症高齢者の日常生活自立度・障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは?」というコラムで、認知症の寝たきり度の概要と要介護度との関係性についてご紹介しました。
老人ホームを選ぶ際は介護度を基準として考えることが多いです。その介護度を判定するために重要なのが寝たきり度です。この寝たきり度が適切に割当られてないと、身体の状況として入居できるのに、介護度が低いために入居を断られてしまうかもしれません。
老人ホームに入居するためには寝たきり度を理解したうえで、適切な介護度を割り当ててもらい、施設を選ぶ必要があります。
ここでは、老人ホームを選ぶ際の目安となるよう、寝たきり度の定義や特養に入居している方の寝たきり度の割合などについて紹介します。
「寝たきり度」とは?
「寝たきり度」とは、一般的に「日常生活自立度」を指しています。これは認知症や障害などを抱える高齢者がどの程度自分の判断や力のみで日常的な動作を行えるかを判定したものです。また日常生活自立度には、「障害高齢者の日常生活自立度」と「認知症高齢者の日常生活自立度」の2つがあります。日常では「寝たきり度」というとこの2つを取り上げることが多いですが、正確には、障害高齢者の日常生活自立度が「寝たきり度」と定義されています。
認知症高齢者の分布と特養の入居状況
認知症高齢者の日常生活自立度は「Ⅰ」から「Ⅳ」までの症状別の4ランクの他に、著しい精神状態や重篤な身体疾患が見られる「M」を含めた5段階に大きく分かれます。
『平成22年介護サービス施設・事業所調査結果の概況』によると、特養(特別養護老人ホーム・介護老人福祉施設)の入居者の9割以上が、日常生活自立度のランクがⅡ以上だと言われています。中でもランクⅢに該当する人は38.1%と最多で、次にランクⅣが27.8%、ランクⅡが19.2%という結果でした。
生活自立度Ⅱ以上の方の中には別の疾病を抱える人も少なくありません。疾病を抱えている人で一番多い症状が循環器系疾患です。このため、医療機関との連携や看護職員の勤務体制は施設選びで重視すべき点と言えるでしょう。特養は施設によって夜間に看護師が勤務していない場合もあるため注意が必要です。
特養の7割は要介護度重視
特養では入居基準に要介護度3以上と設けられています。要介護度の高い人が優先して施設に入れることは、良いことではあるものの、一方で経済的に困窮している要介護度の低い高齢者が施設に入れなくなるという弊害が発生しています。
介護度の認定は、日常生活自立度などを基準に決められます。このため正しい介護度が割り当てられるためには、日常生活自立度を決める聞き取り調査に正確に答えなければいけません。
高齢者の方の中には自分のことは自分でしなければという義務感から、ぎこちない動作や不安のある作業に対しても「できる」と言ってしまいがちです。
聞き取り調査の際、本来は補助が必要な状態でも「補助なしで歩行や立ち上がりができる」などと強がってしまうことで、日常生活自立度だけでなく介護度も低くなってしまい、特養に入居できないばかりか、適切な支援が受けられなくなる恐れがあるのです。
寝たきり度は介護認定を受ける際の判断基準になります。 このため、心身の状態を正確に把握し、正しく伝えることが重要です。介護施設を選ぶ際は、本人の状態にあった寝たきり度や要介護度認定を受けることが、非常に重要なのです。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)