サルコペニアにはレジスタンス運動 低栄養や症状に合わせ取組みを!
2018.3.14
高齢者が発症するロコモティブシンドロームの中で、サルコペニアとは身体の筋肉量が徐々に減少してしまう状態を指します。「たいしたこと無い」などと放っておくと、日常の生活にまで支障をきたす恐ろしさを秘めています。
健康なうちにサルコペニアについて理解し、未然に防げるよう努めましょう。
一次性サルコペニアと二次性サルコペニアの違いは?
サルコペニアについては、過去の記事でも「寝たきりからの要介護を招く!サルコペニアの正しい予防方法とは?」や「高齢者の肥満は要注意?高齢者が陥りやすいサルコペニア肥満とは」などで取り上げてきました。そこで今回は、もう少しサルコペニアの実状について掘り下げてみることにします。
サルコペニアには2種類あり、加齢によって起こる一次性サルコペニアと、加齢以外が原因となって起こる二次性サルコペニアに分類されます。
一次性サルコペニアは原発性サルコペニアとも呼ばれ、発症する原因が加齢のみなのが特徴です。他要素による影響は該当しないとされています。一方、二次性サルコペニアは、加齢以外の原因(活動・栄養・疾患)に関連して発症するのが特徴です。活動が関わる要素としては日常における活動力の低下(寝たきりや運動不足など)、栄養が関わる要素としてはエネルギーやたんぱく質の摂取量不足および吸収不良、疾患が関わる要素としては心臓・肺などの疾患、リウマチ、膠原病、悪性腫瘍、感染症などが挙げられます。
レジスタンス運動の効果と課題
サルコペニアは全身の筋力が落ちること、つまりは身体機能低下を指すものです。従ってこの状態を脱却し改善を図る策としては、身体機能を向上させるために運動量を増やすことが最善となります。
そこで、サルコペニア予防のために提唱されているレジスタンス運動について紹介しましょう。 レジスタンス運動とは、自分の体重を筋肉への負荷にし行う筋力トレーニングのことです。筋力は一定の負荷をかけることで維持され、さらに繰り返し行い筋力アップを図ることでさらに身体機能を向上させることができます。
主なレジスタンス運動としては、
・大腿四頭筋や大臀筋を鍛えるスクワット運動
慣れない最初の段階では椅子を支えとして手を添えながら行ってみましょう。背筋を伸ばし、腰をゆっくり下に落としていきましょう。
・仰向けに寝て膝を直角に曲げ腰を上げる背面筋の運動
腰を持ち上げ、首から膝までの身体のラインが一直線になるよう意識して行いましょう。
・上腕三頭筋と体幹を鍛える腕立て伏せ
:肩幅くらい、または少し広めに手をつき、構えます。その後、足は余裕があればつま先を立てます。難しい場合には膝をつきながらでも大丈夫です。姿勢が決まったら、肘を曲げ、上体を下ろしていきますがその際に腰が曲がってしまわないように注意しましょう。
また、他にも上記の自分の体重で負荷をかける運動以外にも、チューブやダンベルなどの道具を使って行う場合もあります。
その他、運動後にたんぱく質とアミノ酸を摂取することで筋肉量は増加し、サルコペニア予防に効果があるとされ、さらに有酸素運動(散歩など)を組み入れることで効果は増大すると言われています。ただし、サプリメントによる栄養摂取は予防効果が見込めないとの研究結果があり、なるべく食事での栄養摂取を試みるのが望ましいとされています。
高齢者の症状に合わせた予防を!
このようにサルコペニア予防のために行うレジスタンス運動は効果が期待されていますが、逆に運動がマイナスとなるケースもあります。それは低栄養時です。低栄養状態でレジスタンス運動などを行うと1日に必要なエネルギーやカロリーが消費され、逆に筋肉量が減少してしまうのです。
また、誤嚥性肺炎を起こして安静・禁食期間のあった人は、摂食嚥下障害を伴うサルコペニアを発症しやすいことも分かっていますので、注意を要します。
高齢者の体調を見誤らないよう、一人一人の症状に合わせたサルコペニア予防に取り組みましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)