ケアマネージャーに依頼?それとも自分で?ケアプランの作成について
2018.3.7
初めて介護生活をスタートさせる人にとっては、一から十まで知らないことばかり。とりわけ介護サービスは分からないことだらけです。 様々なサービスがある中で、今後の介護生活でどんな選択をすればよいのか、その道筋を作ってくれるのがケアプランです。
ここではケアプランの作成について学んでいきましょう。
ケアプランは介護生活者のための「計画書」
ケアプランとは、一言で表現すれば「介護生活の利用計画書」です。
介護生活をする利用者に対し、それぞれの生活目標に基づいた介護サービスの種類・利用頻度を適切に設定することで、被介護者と家族がよりスムーズで充実した介護生活を送り続けられるようリードする役割があります。
ケアプランには下記の3種類があります。
・訪問介護など主に自宅中心の「居宅サービス計画」
・特別養護老人ホームなど施設中心の「施設サービス計画」
・要支援1および2の人のための「介護予防サービス計画」
「居宅サービス計画」と「施設サービス計画」は要介護度1~5の人対象となります。また非該当(自立)の人にはケアプランが作成できませんが、生活機能チェックを通じて情報提供などが行われます。
ケアプランは居宅介護支援事業所に依頼すれば無料で作成してくれるうえ、要介護度が変化したり内容を再検討したりする際は、作成し直すこともできます。
やる気と知識があれば自己作成も大丈夫
ケアプランの作成は通常、介護サービスのエキスパートであるケアマネージャーが担当しますが、必ずケアマネージャーがしなくてはならないというわけではなく、利用者や家族でも作成は可能です。これを自己作成(セルフケアプラン)と呼びます。かつてはすべて行政任せでしたが、介護保険が一部利用者負担になった2000年4月以降、利用者自身によるケアプラン作成も認められるようになりました。
全国マイケアプラン・ネットワークや地域包括支援センターによる作成指導は受けられるものの、自己作成にはいろいろな困難が待ち構えています。書類作成を始めとする事務処理は専門家ではない個人が行うには大変煩雑ですし、介護保険以外の周辺サービスを探すのにも大変手間がかかります。もちろん報酬もありません。
一番の違いは、ケアマネージャーに依頼すると、居宅介護支援事業所とのやりとりはすべてケアマネージャーを介することになるのに対し、自己作成だと事業所と直接つながることになります。そのため、本来ならば事業所からケアマネージャーを通じて届くべき情報が、個人だと入手しにくくなるという事態が起こってしまいます。
これらを乗り越えられるような、作成者のやる気とある程度の知識が求められるでしょう。
大切なのは「寄り添った視点」
では、ケアプランを自己作成するにあたって心掛けておくべきこととは何でしょう?
まず、被介護者と面接して悩みを聞き取り、何に困っているかを察知すること。
次に、被介護者の生活環境やそれまで生きてきた時代背景などの周辺情報を知り、そこから見えてくるニーズを考えながら作成すること。
そして、被介護者本人が気づいていない悩みに対しては、注意深く話を聞き、こちらから提案して予防や問題解決につなげること。
これら3つの「寄り添った視点」を意識することで、専門家でなくても利用者の「自分らしさ」を守った介護生活計画は立てられるのです。 作成において、自分で作成することで得られるメリットもありますが、一方で作成の煩雑さや専門知識を要するため大変ではあります。介護の悩みを一人で抱え込まず、ケアプランについてもケアマネージャーなどに気軽に相談しましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)