福祉用具レンタルとはどう違う?介護保険が活用できる特定福祉用具
2018.1.31
介護保険の適用範囲内で、福祉用具のレンタルとは異なる「特定福祉用具」 が購入できることはご存じでしょうか?腰掛便座や入浴補助用具など、市区町村へ申請すれば1割の自己負担で購入できるのです。しかし、条件によっては適用されなかったり、限度額が設けられていたりと知っておかないと損をしてしまうかもしれません。
介護保険が適用される特定福祉用具ってなに?
まず、特定福祉用具とはどういったものなのでしょうか?
特定福祉用具を利用する者の日常生活を送る上での自立を支援し、介護者に対しては介護の負担を減らしてくれるものを指します。
また、「貸与になじまないもの」という規定もされています。これは、まず福祉用具自体が居宅サービスの一つとして定められており、レンタルが基本です。しかし、用具によっては継続してレンタルすることで形、品質の低下、心理的不快感が起こるとされるものについては特定福祉用具として認定し販売されます。これをいわゆる、「貸与になじまないもの」と定めています。
では、この介護保険適用内で、特定福祉用具購入の負担軽減が施される対象者や、利用にあたっての限度額についてご紹介します。
○特定福祉用具購入の支給対象者
要介護認定を受けた要介護1〜5の方。ただし、福祉用具をレンタルする場合は要支援1〜2も含み、要介護度によって受けられるサービスが変わります。
○支給限度額
4月から翌年3月末日までで10万まで。 一度、自分で特定福祉用具購入費用を全額負担し、市区町村に申請して、9割が戻ってくる「償還払い」というのが基本です。
上記が基本的な介護保険適用を受ける特定福祉用具のルールとなりますので覚えておきましょう。
特定福祉用具の対象品目とその規定
特定福祉用具のことや対象者、限度額についてご紹介してまいりましたが、次はその対象品目についてです。対象品目にもいくつかの規定があるので目を通しておきましょう。
- 1、腰掛便座
- ・和式便座に置くことで、和式便座が腰を掛けられるものに変わる便座
- ・洋式便座の上に置いて高さ調節ができるもの
- ・便座からの立ち上がりを補助してくれる電動式、スプリング式のもの
- ・便座、バケツのような形状で居室利用可能なポータブルトイレ(設置についての費用は保険給付対象外)
- 2、自動排泄処理装置の交換可能部品
- ・尿や便が通るレシーバーやチューブ、排泄物の溜まるタンク
- ・居宅要介護者か介護者自身が簡単に交換することができるもの
- 3、入浴補助用具
- ・入浴の出入り、入浴時の座位を補助してくれるもの
- ・入浴用いす(座面の高さ35センチ以上で背中をしっかりと預けられるもの)
- ・浴槽用てすり
- ・入浴台(浴槽の縁にかけて出入りを補助してくれるもの)
- ・浴室内すのこ(浴室内の段差をなくしてくれるもの)
- ・浴槽内すのこ(浴槽の中に置き、浴槽の底の高さを調整してくれるもの)
- ・浴槽内いす
- ・入浴用介助ベルト(被介護者の身体に巻きつけて、浴槽の出入りを補助してくれるもの)
- 4、簡易浴槽
- ・空気式、折りたたみ式などで、取水、排水工事をしないような簡易的なもの
- ・居室で利用可能。
- ・材質問わず、立てかけられる、収納できるもの
- 5、移動用リフトのつり具部品
- ・身体に適合されるものでリフトに連結できるもの
- ※あくまで「部品」のみで、リフトは対象外です。
以上、5つが対象品目とされています。
ただ、ここで気をつけたいのが、対象品目の福祉用具といえど、都道府県の指定を受けていない場所で特定福祉用具を購入すると介護保険が適用されないことです。その場合、購入代金が全額負担になってしまうので気をつけましょう。
特定福祉用具購入の介護保険支給申請は市区町村に確認を
特定福祉用具を自身で全額負担した後に、市区町村に申請をすることで介護保険によって9割返還されるというのは説明しました。ただ、ここで気をつけたいことがあります。
それは、市区町村によって申請方法が異なる場合があるということです。各市区町村の窓口、地域包括支援センターまたはケアマネージャーに聞いてみると良いでしょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)