認知症とうつ病は似ている?認知症と勘違いしやすい4つの病気
2018.1.10
ここではせん妄以外で認知症と勘違いしやすい症状を持つ病気を4つご紹介します。
うつ病
うつ病は認知症と症状が似ており、最も勘違いされやすい病気のひとつです。また、高齢者の場合、「老人性うつ」という、高齢者に特有のうつ病もあるので注意が必要です。
うつ病の症状には以下のようなものがあります。
- ・気分が沈む
- ・判断能力が下がる
- ・眠れなくなる
- ・吐き気を催す
- ・食欲がなくなる
うつ病になると周囲のことへの興味や関心がなくなり、見たり聞いたりしたことをすぐ忘れてしまうようになります。そのため認知症と勘違いされやすくなるのですが、うつ病の場合は、誕生日や年齢などはしっかり覚えているものですので、認知症かうつ病か判断が難しい場合は、 専門の医師に相談 してみるといいでしょう。
幻覚、妄想
高齢者の中には、幻覚を見たり、妄想を抱いたりする方が多くなります。
「犬がいる」「金を盗まれた」など、実際には存在しないものについてだったり、起こっていないことに関する発言をしたりすることが多く、周囲の人間にとって理解できないことを言い出すことから認知症と勘違いされやすいです。
ただ、認知症と違い、幻覚や妄想では記憶障害は起こりません。過去に実際に見たり聞いたり体験したりしたことについて質問をし、それについてしっかり答えられるかどうか確認するようにしましょう。ただ、レビー小体型認知症の場合、記憶障害を伴わず幻覚を見ることがあるので、判断が難しい場合は医師に診てもらうようにしてください。
正常圧水頭症
正常圧水頭症は、くも膜下出血や髄膜炎などの頭部外傷などが原因で、脳に髄液が過度に溜まることで発症します。髄液が脳を圧迫し、集中力の低下、歩行障害や失禁などが起こります。集中力や意欲の低下によりうつ状態や認知症と勘違いされる場合があります。
正常圧水頭症では、症状のひとつとして「認知症」あるいは「認知症様症状」と紹介されるほど、先の意欲低下などのような認知症に似た症状があらわれます。このため、一般の方が正常圧水頭症と認知症の違いを見分けることは非常に難しいと言えます。このため、以上のような症状が出た場合は早めに医師に診てもらうことをおすすめします。正常圧水頭症であれば、手術で髄液の流れをよくすることで、劇的に症状が改善されることが多いです。
てんかん
「てんかん」と聞くと、けいれんなどの発作があるものと考える方も多いと思いますが、高齢者の場合、けいれんなどの発作を伴わないケースも多いので注意が必要です。一時的に意識を失う、ぼんやりしている、発作が起こった時に発作の間の記憶がない、などの症状が出るため、認知症と勘違いされることが多くなります。
てんかんの特徴として、意識障害に伴い、衣服をまさぐる、口をもぐもぐするなどの複雑部分発作があらわれます。また、発作後に意識の混濁などの朦朧(もうろう)状態が続くことが多いです。このような症状がみられる場合は高齢者特有のてんかんと考えられます。
しかし、判断が難しい場合もありますので、てんかんか認知症か分からないときは、医師に診てもらうようにしましょう。
認知症と似たような症状を持つ病気はたくさんあります。病気によって治療法が違いますし、処置次第では症状が改善されることも少なくありません。認知症のような症状が出てきた場合も、自分で判断することなく専門の医師の診断を受け適切な処置をしてもらうようにしてください。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)