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高齢者の運転による事故を防ごう! 運転能力チェックリスト

2017.10.6

以前にニュースで紹介しました『高齢者講習制度とは? 平成29日3月の施行で今までよりも複雑に?』という記事で高齢者の運動能力低下にともなう事故の増加によって免許の更新が複雑になったことを紹介しました。近年では、免許の返納を後押しする自治体が増えています。
しかし、公共交通の便が悪く運転できる限りは運転を続けたいという高齢者も少なくありません。
ここでは、高齢者の運転による事故を防ぐために確認しておくべき高齢者の運動能力のチェック方法と、運動能力の低下を予防するコツについてご紹介します。

高齢者になるほど運転の危険はないという自覚

立正大学の調査では「事故を起こさない自信があるか」という問いに対して、興味深い結果が得られました。なんと、年齢が高くなるほど「自信がある」という回答が高くなっているのです。
これはその人の運転の経験と歴史が大きく影響しています。「もう50年以上運転している。だからプロなんだ」という自信につながる人も少なくありません。
「自分は大丈夫」という自覚が危険を呼び起こすのです。

家族がチェックすべき運転行動

高齢者の事故を防ぐためには、家族が定期的に同乗し、運転の内容をチェックすることが大切です。

以下の10個の項目をチェックしましょう。

  1. 1.行き先・目的地を運転中に忘れる
  2. 2.中央線・センターラインの不注意がある
  3. 3.車庫・枠入れの失敗
  4. 4.道路標識・信号機の理解の低下
  5. 5.速度制限の認識・速度の維持能力の低下
  6. 6.交通環境への注意力維持の低下
  7. 7.運転操作(アクセル・ブレーキ・ギア操作など)能力の低下
  8. 8.自動車メンテナンス(ガソリン・オイルなど)把握・管理能力の低下
  9. 9.他の交通者(歩行者・自転車など)への注意維持の低下
  10. 10.車間距離の維持能力の低下
  11. (高知大学 上村直人医師作成)

以上の項目でチェックが付いた方は注意が必要です。
たとえば1番の場合は、記憶障害の恐れがありますし、2、3番は空間認知能力の低下が脳で起こっており、車の位置関係を把握できなくなっている恐れがあります。
また急ブレーキが多くなった場合も注意が必要です。“集中しないとアクセルやブレーキを踏むことができない”という状態になっている恐れがあります。つまり、頭がぼうっとした状態で運転している可能性があるのです。

自分で確認できるチェックリスト

先のチェックリストは家族が同乗してチェックするものでしたが、以降では、運転せずに自分でチェックできるリストをご紹介します。

『運転時認知障害早期発見チェックリスト30』
  • ・車のキーや免許証などを探しまわることがある。
  • ・今までできていたカーステレオやカーナビの操作ができなくなった。
  • ・トリップメーターの戻し方や時計の合わせ方がわからなくなった。
  • ・機器や装置(アクセル、ブレーキ、ウィンカーなど)の名前を思い出せないことがある。
  • ・道路標識の意味が思い出せないことがある
  • ・スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置が分からなくなることがある。
  • ・何度も行っている場所への道順がすぐに思い出せないことがある。
  • ・運転している途中で行き先を忘れてしまったことがある。
  • ・よく通る道なのに曲がる場所を間違えることがある。
  • ・車で出かけたのに他の交通手段で帰ってきたことがある。
  • ・運転中にバックミラー(ルーム、サイド)をあまり見なくなった。
  • ・アクセルとブレーキを間違えることがある。
  • ・曲がる際にウィンカーを出し忘れることがある。
  • ・反対車線を走ってしまった(走りそうになった)。
  • ・合流が苦手、あるいは怖くなった
  • ・右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった。
  • ・気が付くと自分が先頭を走っていて、後ろに車列が連なっていることがよくある。
  • ・車間距離を一定に保つことが難しくなった。
  • ・高速道路を利用することが怖く(苦手に)なった。
  • ・合流が怖く(苦手に)なった。
  • ・車庫入れで壁やフェンスに車体をこすることが増えた。
  • ・駐車場所のラインや、枠内に合わせて車を停めることが難しくなった。
  • ・日時を間違えて目的地に行くことが多くなった。
  • ・急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど、運転が荒くなった(と言われるようになった)
  • ・交差点での右左折時に歩行者や自転車が急に現れて驚くことが多くなった。
  • ・運転している時にミスをしたり危険な目にあったりすると頭の中が真っ白になる。
  • ・好きだったドライブに行く回数が減った。
  • ・同乗者と会話しながらの運転が難しくなった。
  • ・以前ほど車の汚れが気にならず、あまり洗車をしなくなった。
  • ・運転自体に興味がなくなった。
  • ・運転すると妙に疲れるようになった。

NPO法人高齢者安全運転支援研究会「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」

以上の30の項目の内チェックが5個以上ある場合は注意が必要です。

運転能力を下げないためには

運転にはハンドルを回す腕力、ブレーキを操作する脚の筋力と調節能力、前後左右を見渡す首の柔らかさが必要不可欠です。これを維持するためにはラジオ体操を取り入れるなど日常的に運動を行うことが大切です。また、ウォーキングでの基礎体力やダンスでの手足を別々に動かす能力の維持、計算やしりとりなどで認知能力維持するコグニサイズなども効果的だと言われています。

運転能力の低下は自覚しにくく、また症状も人それぞれです。
車線のはみだしや、前の車に近づきすぎたりするのを防ぐ自動車も現在発売されています。また同乗者が案内すれば運転に支障がないという人もいるでしょう。運転能力が低下し始めていることを自覚している人は、事故防止の技術が搭載された自動車を検討したり、なるべく一人で乗らないようにしたりするなど対策を講じることが大切です。

車の運転能力は、定期的にセルフチェックと客観的なチェックを行って判断するようにしましょう。こうした習慣が安全運転につながり、また高齢者の免許返納のきっかけになりますよ。

■記事作成・監修 シニアのあんしん相談室
シニアのあんしん相談室 「シニアのあんしん相談室」は高齢者住宅の相談窓口。介護の知識に長けた専門の相談員が、納得できる施設選びをサポートします。介護ニュースでは、介護に関する最新情報をはじめ、医療や健康に関連するニュースを定期的に発信しています。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)
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