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運営基準と目的を知ってから検討を! 住宅型有料老人ホーム

2017.10.4

以前にニュースで紹介しました『サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームって違いはどこ』という記事で、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違いとそれぞれの特徴についてご紹介しました。
ここでは、住宅型有料老人ホームの運営基準と施設が持つ目的についてご紹介します。

住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームとは以下に挙げるサービスのうち、いずれかが外部の事業者によって行われている居住施設のことを指します。

  • ・入浴、排せつまたは食事の介護
  • ・食事の提供
  • ・洗濯、掃除などの家事の供与
  • ・健康管理

ただ外部の事業者と言っても建物内に併設されていることが多いです。

4つのうち1つでも該当するサービスが提供されていれば住宅型老人ホームと認定されます。また特定施設入居者生活介護の指定を受けていないため施設のスタッフが介護を行うことは原則ありません。
この施設を運営するためには地域ごとにさまざまな基準が定められており、それを満たしている必要があります。

住宅型有料老人ホームの運営基準

老人ホームは、民間で運営される施設と公的に運営される施設の2つに分かれます。民間で経営される老人ホームを主に有料老人ホームと呼び、住宅型、健康型、介護付の3種類があります。このため住宅型有料老人ホームを運営するには 、 有料老人ホームを運営するための基準を満たしていなければいけません。

■ 設置者の基準

住宅型を含む有料老人ホームは、安定的で継続的な経営ができなければいけません。このため設置者は、社会的信用のある経営主体であることが求められます。個人経営や少数の株主主体による独断的な経営は認められません。また、事業を確実に遂行できる経営基盤があることも重要視されています。

■ 職員の配置

提供するサービスの内容に応じて以下の職員の配置する必要があります。

  • ・管理者
  • ・生活相談員
  • ・栄養士
  • ・調理員

また、介護サービスを提供する場合は、上記の他に提供するサービスの内容に応じて以下の職員も配置しなければいけません。

  • ・介護職員や看護職員などの要介護者などの対応をする人員の配置
  • ・機能訓練指導員の配置

また管理者や介護サービス責任者には高齢者の介護について知識と経験がある人でなければいけません。

以上から、施設が提供するサービスによって職員が変わってくるため、住宅型有料老人ホームは、施設ごとに介護士や栄養士などがいたりいなかったりするのです。

■ 運営上の義務

自治体によって細かい運営基準が定められていますが、厚生労働省では以下の8つの基準が設けられています。

  1. 1.管理規定の制定
    住宅型に限らず、施設には以下の項目をふまえた管理規定を用意する必要があります。
    • ・入居者の定員
    • ・利用料
    • ・サービスの内容及びその費用負担
    • ・介護を行う場合の基準
    • ・医療を必要な場合の対応

  2. 2.名簿の整備
    緊急時に正確かつ迅速に状況に対応できるように「入居者の氏名と連絡先」及び「身元引受人の氏名と連絡先」が明記された名簿が整備されている必要があります。

  3. 3.帳簿の整備
    住宅型有料老人ホームを運営するには以下の点が記載された帳簿を用意し、最低2年間保存しなければいけません。
    • ・施設の修繕や改善の実施状況
    • ・前払い金や利用料など、入居者が負担した費用の受領の記録
    • ・入居者に提供したサービスの内容
    • ・やむを得ずおこなった身体拘束の内容と時間、およびその理由
    • ・入居者やその家族からの苦情
    • ・提供したサービスによる事故の状況とその際の処置の内容の記録
    • ・介護サービスを他事業所に依頼したときの実施状況と、依頼した介護事業所の情報
    • ・職員や入居者、設備、会計に関する記録
    以上の情報が記載された帳簿がなければ、指定を受けられず、また指定を取り消される場合もあります。

  4. 4.個人情報の取り扱い
    先に挙げた、名簿や帳簿には個人情報が掲載されています。 このため、個人情報保護法に基づいた管理が必要です。

  5. 5.緊急時の対応
    事故や災害など、不測の事態が起きた際、速やかに対応できるよう、マニュアルを用意するなど具体的な計画を立て、また定期的に避難訓練を開催しなければいけません。

  6. 6.医療機関との連携
    医療機関との連携や入居者の医療を選ぶ自由も定められています。 あらかじめ以下の点において、対応策を定めておくことが求められています。
    • ・緊急時、どの医療機関がどのように協力してくれるのか、その内容をきめておくこと
    • ・協力した医療機関の診察科目などについて入居者に周知すること
    • ・入居者が医療機器間を選択する自由を妨げないこと

  7. 7.介護サービスやその他のサービス
    設置者は近隣に接地されている介護サービス事業所の情報を提供しなければいけません。
    また、入居者の介護サービスを洗濯する自由を妨げてはいけません。
    住宅型有料老人ホームでも介護サービスのほか、食事や健康管理などのサービスを提供する場合がありますが、その場合は、利用者の心身の状況に応じて、適切なサービスを提供しなければいけません。つまり、施設が提供するサービスは、一人ひとりに対応した内容にすることを義務付けられています。

  8. 8.運営懇親会の設置
    管理者・職員・入居者によって定期的に運営懇親会を開き、次の点について説明し、また入居者の要望や意見を反映するよう努めなければいけません。
    • ・入居者の状況
    • ・サービス提供の状況
    • ・入居者が設置者に支払う料金の内容

住宅型有料老人ホームの目的

住宅型有料老人ホームには、介護付きなどと異なり施設基準や人員基準 がありません。これは、高齢化社会が深刻化する中で、元気な高齢者の受け皿として住環境を提供しようという目的があるためです。
住宅型有料老人ホームは、基準を満たしつつ自由度の高い施設を運営することができます。このため、入居者は主体的な活動を行いながら快適な日常生活を送ることができるのです

住宅型有料老人ホームには、運営基準が設けられているものの、施設の設備や人員配置には基準がありません。
日常的に介護を必要とする方には、入居することは難しいでしょう。しかし、この運営基準があるからこそ入居者が充実した生活を送ることが可能になる場合もあるのです。

■記事作成・監修 シニアのあんしん相談室
シニアのあんしん相談室 「シニアのあんしん相談室」は高齢者住宅の相談窓口。介護の知識に長けた専門の相談員が、納得できる施設選びをサポートします。介護ニュースでは、介護に関する最新情報をはじめ、医療や健康に関連するニュースを定期的に発信しています。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)
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