QOL(生活の質)を意識した介護施設選びのポイント
2017.9.13
私たちは日常生活の中で、環境の変化やトラブルなどで気分が上がらないことがあります。
しかしこれが高齢者の場合、加齢や体調低下も伴うため更に深刻で、そのままうつ状態になったり、時には認知症状まで及んだりします。
介護生活における高齢者のこうした問題の背景に関わっているのは、果たして何でしょう?
QOLの低下を引き起こさないために(介護施設入所の注意点)
介護施設に入所して新たな生活を始める高齢者の生活は人それぞれ。すぐに周囲と溶け込んで元気に過ごす方や、のんびり静かに過ごす方もいれば、新しい環境になかなか馴染めず苦労する方もいます。
その中で気になるのが、入所以降、どんどん元気が無くなっていってしまう方。特に高齢者の場合は、日常の行動半径が狭まって非活動的になると、認知症などの病気が発症するリスクが高くなると言われているので、注意が必要です。
新しい環境下におけるこうした高齢者の元気の低下は、「QOLの低下」に原因がある可能性があります。では、この「QOLの低下」とは一体どのような状態を指しているのでしょうか?
介護におけるQOLの重要性とは?
QOLとは「Quality Of Life」の略で、一般的には「生活の質」と翻訳されます。医療や看護の分野では頻繁に登場する言葉で、介護の分野でもよく用いられます。
介護における「QOLが高い状態」とは、心身が健康で日々に生きがいを持った心の状態を指します。介護者が「利用者さんのQOL向上を目標とする」といえば、すなわち「利用者さんが心身共に健康な状態」を目指すという意味です。
これとは逆に、利用者のQOLが低下した場合、周囲は改善に全力を注ぎます。病気や体調不良が原因であれば治療やリハビリを施して援助し、精神面が原因であれば日常生活の介護で十分にケアをして、QOLの維持または向上を図ります。
介護する側は利用者に対して、「利用者自身が必要とするケアを選んでいるか」「周囲が向上に必要な環境整備をしているか」「生きがいをもって生活しているか」など、いわばQOLの本質を考えるケアが求められます。決して簡単ではありませんが、重要なことです。
QOLを考えた入所生活…施設ではここをチェック!
では、今後私たちが介護施設を探す際、QOLを意識している介護施設かどうかを確認するには、どんな点に着目すればよいでしょう? 入居前の施設見学時に、職員さんに質問したり、室内の介護の様子をつぶさに観察したりして、以下の3つのポイントを確認しておくことです。
(1)食事の配慮
食事では盛り付け・味付け・香りなどの調和がよいと「QOLを高める食事」と考えられています。逆に、偏ったおかずや当然インスタント食品ではQOLは高まりません。また季節のイベントに沿った食事を提供するなど、食べるという行為の持つ精神的効果を大切にする施設は良い施設です。
(2)声掛け
生活の中で数々のストレスを感じる高齢者に、安心を与えられるよう声掛けのコミュニケーションを取っている職員さんを多く見かけたら、良い施設でしょう。コミュニケーションのかけ方が一辺倒ではなく、入居者それぞれに合ったものであるなら更に良いです。
(3)レクリエーションの充実度
介護施設では、基礎生活時間(食事や睡眠など)や社会生活時間(仕事など)と並んで、充実した余暇時間を過ごせるかはQOLのうえでとても大切なことです。レクリエーションのメニューや参加者の表情などは要チェック。
介護施設や一般社会に関係なく、私たちも充実した生活を過ごすため、常にQOLは意識していたいものです。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)