健康ではない期間が10年以上!? 健康寿命と平均寿命の違い
2017.9.6
ここでは健康寿命と平均寿命の違いと、この2つに生じる差についてご紹介します。
健康寿命と平均寿命との違いとは
人が生まれてから自立して元気に生活できる期間を「健康寿命」と言います。一方で「平均寿命」とは、人が生まれてからあと何年生きられるかという余命を表しています。また、平均寿命という言葉は厚生労働省の資料ではあまり使用されていません。一般的に言われている「平均寿命」には、厚生労働省が発表する「0歳児(0週)における平均余命の数値」が使われています。
今年発表された平均寿命は
2017年7月に厚生労働省は「簡易生命表」を公開しました。この資料から平均寿命は男性が80.98歳で、女性は87.14歳であることが分かります。 また、厚生労働省では3年おきに健康寿命についても報告しています。これまでに発表された平均寿命と健康寿命のデータの中から、2013年の数値をご紹介します。
・平成25年(2013年)
- 【健康寿命】男性:71.19歳 女性:74.21歳
- 【平均寿命】男性:80.21歳 女性:86.61歳
以上から平均寿命から健康寿命を差し引いて計算すると、日常生活を健康的に送ることができない期間は、男性が9.02年、女性が12.4年であることが分かります。 このように健康寿命は平均寿命よりも低いのが通常ですが、日本においては平均寿命との差が比較的大きく、問題視されることがあります。
健康寿命はあまり延びていない?
ここからは、厚生労働省が報告した平成25年(2013年)と平成22年(2010年)の平均寿命と健康寿命を参考にしましょう。
・平成22年(2010年)
- 【健康寿命】男性70.42歳 女性73.62歳
- 【平均寿命】男性79.55歳 女性86.30歳
以上から、2010年と2013年を比較したとき、それぞれの寿命の延びはどれくらいかが分かります。
- 【健康寿命の延び】男性+0.77年 女性+0.59年
- 【平均寿命の延び】男性+0.66年 女性+0.31年
健康寿命も平均寿命も延びているため、喜ばしいことと考えてしまいがちですが注意が必要です。
問題は健康寿命と平均寿命の差であるいわゆる「健康ではない期間」がどれくらい縮まっているかにあります。
2010年と2013年の「健康ではない期間」を計算して比較してみましょう。
【健康ではない期間】
- ・2010年 男性9.13年 女性12.68年
- ・2013年 男性9.02年 女性12.4年
男性は0.11年、女性は0.28年と「健康ではない期間」の差が短くなっているのは確かですが、その差は大きいとは言いえません。
なぜ差が生まれるのか
差が生まれる理由に、医療制度が充実していることが挙げられます。日本は国民皆保険制度があり、また高齢者に向けた医療制度が整備されていることで、高齢者は健康診断を受け、問題があれば治療を受けることが可能です。
たとえば、これまででは救えなかった病気や怪我でも、現在では治療・介護を受けながら生活できている方が増えています。こういった、医療技術や延命治療の発達が2つの寿命に差を生じさせ、「健康ではない期間」を縮まりにくくしている原因と言えるでしょう。
また、健康寿命が延びているものの「健康ではない期間」がなかなか縮まらないという状況は、家族の協力や介護を必要とする高齢者が依然として多い状況であると言えます。
世界的に見ても高齢化が進む日本。福祉や介護に関する問題がテレビなどで取り上げられることも珍しくありません。
国全体で、健康的に生活できるような取り組みや対策が必要だと言えるでしょう。
また、個人レベルでも健康寿命が延びるように、健康的な食生活や運動に取り組むことが大切です。
いつまでも健康で元気な生活を送れることが、個人だけでなく家族の幸せにつながるはずですよ。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)