サービス付き高齢者向け住宅が利用する損害賠償保険とは?
2017.8.25
サ付きを利用する上で、他にも知っておかなければならないポイントがあります。
それのひとつが、サービス付き高齢者向け住宅用の損害賠償保険です。
施設の運営者がこの保険に加入しているかどうかが、建物の設備や入居者にトラブルが起きた際のバックアップに影響します。これは、入居者の安心にもつながる大切なポイントです。
ここでは、サ付きの損賠賠償保険についてご紹介します。
サ付きの損賠賠償保険とは
この保険は、施設の不備や施設の内外で行われる介護などの業務によって、入居者が怪我などの被害を受けた事故に対して発生する損害賠償を補償するものです。
また、提供した食事によって起きたトラブルを補償する「生産物賠償責任保険」や、併設された施設による訪問看護や介護によって利用者が損害を受けた際の損害賠償を補償する「居宅介護事業者賠償責任保険」などもあります。
それらはオプションのため、保険加入時に選択して加入する必要がありますので注意が必要です。
具体的にどんな状況で補償されるの? 事故・トラブル例
基本的に施設側に支払われる保険ですが、以下の内容も保険の対象となるため、保険の有無が施設を選択する際のポイントにもなります。
どのような場合に適用されるのか知っておくことが大切です。
■保険が適用される業務中の事故やトラブル
- ・ベッドから転落して、緊急コールボタンを押しても、スタッフが別の業務をしていたために、しばらく誰も来ず、結果的に入院が必要になった
- ・施設の廊下が清掃直後で滑りやすくなっていたために入居者が転倒して怪我をした
- ・入居者同士のケンカが起こり、スタッフが止めに入るもスタッフの肘が入居者に当たり怪我をさせてしまった。
■施設の不備などによる事故やトラブル
- ・廊下や階段の手すりが壊れていたために転倒し、骨折してしまった
- ・廊下に備品などを放置していたために、入居者が移動中にぶつかって怪我をしてしまったり、服などが破損してしまった
■居住者の事故やトラブル
個人賠償責任補償特約がついていることによって、居住者が日常生活で起こしてしまったトラブルも補償されます。
- ・居住者が別の居住者の所有物を壊してしまった
- ・居住者同士でケンカをして相手にケガを負わせてしまった
■施設が提供した食事による事故やトラブル
- ・夏場、気温の高い日が続いたためか、食材が腐りやすい状況にあり、入居者が食中毒になってしまった
- ・食堂(特定の環境)で食事をしたためにノロウィルスに感染し、集団食中毒になってしまった
- ・提供された食事に異物が混ざっており、入居者が喉を詰まらせてしまった
サ付きが利用する損害賠償保険は、基本的に施設が居住者に対して賠償する際に利用されるものですが、この保険の加入の有無は入居者が安心して生活するために大変必要なものと言えます。最近では倒産してしまう高齢者向け施設も珍しくありません。トラブルをきっかけに倒産したケースもあるでしょう。
この保険があることで、加入していない施設よりも倒産しにくいということが言えます。また個人賠償責任補償特約に入っていれば、直接入居者を守ってくれるという安心感も得られるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅へ入居する際は、施設が加入している保険についても質問することをおすすめします。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)