住宅型老人ホームなどで行われるレクリエーション、目的と効果は?
2017.8.23
老人ホームでの生活は慣れ親しんだ我が家や、家族からも離れて暮らすため、人によってはストレスを受けやすかったり、孤独を感じやすかったりすることもあります。
施設で暮らす方の生活や精神面を豊かにするために行われるのが「レクリエーション」です。レクリエーションは生活に刺激をもたらすという目的だけではなく、他にも大切な目的をもって行われています。
ここでは、老人ホームで行われているレクリエーションの一部とその重要性についてご紹介します。
レクリエーションに込められた目的
人は食事と寝るところがあり、身の回りの世話をしてくれる人がいるだけで、幸せになれるわけではありません。 人間が人間らしく生きるには、それぞれが生きることに見合った楽しみや刺激が必要になります。楽しみや刺激を受けるためには、まず健康であることが大切だと考えられます。 レクリエーションには、大きく分けて以下の3つの目的があります。
- ・身体機能の維持と向上
- ・脳の活性化
- ・趣味の発見とコミュニケーションの活性化
また、施設によって差はあるものの住宅型老人ホームは自立している人や介護度の軽い人が多く、レクリエーションのための施設も充実していることが多いです。このため、レクリエーションが持つ目的を達成しやすいと言えるでしょう。
身体機能のサポート
筋肉は使わなければ弱くなってしまいます。運動不足になれば、身体を支える筋力が低下し、転倒して骨折する恐れが高くなるので、身体機能を維持することは大切です。 骨折してしまうと、それが原因で寝たきりになってしまうケースもあります。 レクリエーションで行われる、軽い運動や体操は筋肉を維持し、健康を保つためにも大切なのです。
・要介護度が高い方が集まる施設の場合
介護度が重い方は自由に体を動かせないことが多いため、身体全体を動かしたり、屈んだり直立したりというレクリエーションは困難です。 レクリエーションとして無理なく楽しめるよう、音楽を流しながら手を上げ下げしたり、振ったりなど、簡単な体操を行います。
・支援を必要としない人が多い住宅型老人ホームの場合
軽い運動をするレクリエーションには風船バレーや、音楽のリズムに合わせて全身を動かしたり、上半身を動かすなどといったレクリエーションが行われることが多くなっています。
◇風船バレー:2人で風船をトスし合う単純な運動から、コートを用意し複数人でバレーのように競技をする気軽な運動です。ルールは施設や状況によって変化しますが、自分たちのコートに入ってから、チームの全員が一度は触れて、その10回以内に相手コースに返すというのが一般的なルールです。
脳機能の活性化
なぞなぞやクイズ、パズルゲームなどといった頭を使う遊びや、手先をつかう折り紙、何かを創り出す行為は脳を活性化させ、認知症の予防や認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
脳の活性化を重視する場合、自分で何をしたいかを選択させ、積極的に取り組める環境を提供することが、より脳の活性化につながると言われています。
・要介護度が高い方が集まる施設の場合
自由に身体を動かせる方が少ないため、グループで集まり、介護スタッフが問題を提示してみんなで解いていくというスタイルが多くなります。
お料理あてクイズ:ホワイトボードなどに、特定の料理を作るために必要な具材を1つずつ書いていき、できる料理が何かを当てるゲームです。
並び変えクイズ:ホワイトボードなどに文字がランダムに書かれていくのを見て、元がどんな単語なのかを当てるゲームです。
・支援を必要としない人が多い住宅型老人ホームの場合
自立している人が多く、お互いにコミュニケーションを取れる方が多い場合は、囲碁や将棋などのボードゲームなど対戦型のゲームが多いです。
◇囲碁・将棋・チェス:どれも多くの人に知られた1対1で行う対戦ゲームです。現在の状況から先を読むという複雑な作業をするため脳に良い刺激が伝わるとされています。
◇麻雀:4人でやるゲーム。多くの牌(ハイ)を使い頻繁に手を動かすため認知症予防の効果が大いに期待できるゲームです。
趣味の発見とコミュニケーションの活性化
レクリエーションは運動や芸術、社会貢献につながる活動など、さまざまな種類があります。そのなかで、多くの人と触れ合い会話しながら、自分の好きなものを見つけることができるでしょう。
好きなものは趣味となり、同じ趣味を持つ友人を持つことで、日常に刺激とコミュニケーションが生まれ、生活の質を上げることにつながります。
レクリエーションをすることは、社会的活動の楽しさを知り、さらに自ら趣味を始めるなど積極的な姿勢が身に付くようになるのです。
施設の居住者やスタッフで花見や夏祭りをするといった施設内の交流や、小学生との交流イベントなどさまざまなものがあります。
・要介護度が高い方が集まる施設の場合
お花見やクリスマス会などで、楽器演奏を聴いたり、食事をしたりして、普段はあまり会話をしない方との交流を深めるケースが多いです。
・支援を必要としない人が多い住宅型老人ホームの場合
元気な方が多い場合、園芸や華道、茶道などの難易度が高く達成感のあるレクリエーションを行います。また、積極的に取り組みたい人が多い場合は施設内に講師を呼び、習い事に発展するケースもあります。
◇園芸:時間をかけて行う作業です。土を掘ったり雑草を取り除いたりという作業から、毎日の水やりや、楽しみにしいた開花や収穫まで友人などと交流しながら楽しむことができます。
◇料理:料理は「必要なものを整理し、手順を守りながら、状況に応じて手を加え、味付けをし、おいしそうに盛り付ける」という複雑な作業をしています。友人など分担することでコミュニケーションが生まれるだけでなく、料理が好きな友人と新たな料理イベントを企画するなどの新たな発展も大いに期待できるでしょう。また、園芸を趣味にしている人と交流しながら収穫した野菜を調理するなど、同じ施設の別の趣味の人ともコミュニケーションが生まれる可能性も十分にあります。
レクリエーションは多くの高齢者に良い影響をもたらしますが、自ら楽しんでやることが大切です。施設ではさまざまなレクリエーションが行われますから、それをきっかけにして、自分には何が向いているのか、あるいはご両親には何が向いているかなどを考えながらやるようにしましょう。無理にやる必要はありません。
「老人ホームのレクリエーションは幼稚なもの」と考えてしまい、参加しないことはもったいないものです。多くのきっかけに触れ、自分が楽しめるポイントを見つけるようにしましょう。そしてそれを追求したり、友人と共有したりすることが認知症の予防や脳の活性化、生活の充実になるはずですよ。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)