介護タクシーとは?現在の利用状況や利用手順について
2017.8.18
介護保険の被保険者の中には、もしかしたら介護タクシー(介護保険タクシー)の存在を知らない人がいるかもしれません。
なぜなら訪問介護の説明の中には「通院等乗降介助」という呼び方を用いられていて、介護タクシーという名前は正しい名称ではないからです。
知っておくと便利な介護タクシーの情報を説明しましょう。
介護タクシーは訪問介護の一つ
介護タクシーという呼び方は、本来介護保険法の規定には含まれていません。ただしタクシー会社が介護保険の中で実施する移送サービスのことは「通院等乗降介助」という呼称で記載されています。
介護保険制度がスタートした2000年の時点では介護タクシーが想定されておらず、法律上の位置付けが定まっていなかったのです。そしてその折、各市町村にサービスの扱いを委任した形になり、訪問介護の一環となりました。
介護タクシーでは、訪問介護のうちの「身体介護」の分類で、運転中以外には車の乗り降りその他の介護を行うサービスを行います。介護タクシーの呼称はいわばタクシー会社や利用者が使う通名です。
利用率が低い…介護タクシーの実態
では、介護タクシーはどの年代に多く利用されているのでしょう?
2015年9月にまとめられた「年齢階級別訪問介護利用者数の割合(複数回答)」というデータによると、介護保険利用者のうち「通院等乗降介助(介護タクシー)」サービスを利用している割合は、
- ・40~64歳では4.8%
- ・65~69歳では3.5%
- ・70~74歳では3.5%
- ・75~79歳では3.5%
- ・80~84歳では2.8%
- ・85~89歳では2.0%
- ・90歳以上では1.4%
もう一つ、要介護状態別ではどうでしょう?
2015年4月のデータ「要介護状態区分別にみた訪問介護内容類型別受給者数の利用割合」をもとに、「通院等乗降介助」のサービス利用者を調べたところ、利用した訪問介護受給者97万400人のうち、
- ・要介護1の人は9.4%
- ・要介護2の人は13.1%
- ・要介護3の人は11.9%
- ・要介護4の人は10.6%
- ・要介護5の人は7.4% が利用していることが分かりました。
他の身体介護や生活援助などの訪問介護サービスと比較すると、どの段階とも、介護タクシーの利用率はあまり高くありません。やはりあまり利用されていないのが実態のようです。
介護タクシーの注意事項
介護タクシーは、利用にあたって守らなければならない注意事項がいくつかあります。
まず対象となるのが、要介護度1~5の人のみで、要支援の人が含まれません。
そして利用する際は、通常の介護保険サービス利用時と同様に、ケアマネージャーに利用の意思を伝えケアプランに組み込むことが必要です。
また行き先は、病院・役所などの公的機関・銀行・サービスを受ける予定の介護施設の見学・選挙など必要最低限に留まります。
タクシー会社によっては、上記のような制限を設けていないプランを提供しているところもありますが、その場合介護保険が適用されず自己負担となりますのでご注意ください。
タクシーと名が付いているとはいえ、気軽に利用できるわけではありませんのであらかじめ手順を確認しておきましょう。
参考:平成26年度 介護給付費実態調査の概況「居宅サービスの状況」 参考:平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況「訪問介護利用者の状況」記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)