夫婦入居可能な老人ホームもある!費用や夫婦部屋がある施設の探し方を解説
2021.9.6

核家族化が進む昨今において、高齢者のみの世帯は、増加傾向にあります。老後に「夫婦水入らず」で暮らすことが楽しみである一方、介護が必要になったときのことを考えると、不安がよぎるのではないでしょうか。夫婦で安心して暮らすためには、老人ホームに入居するという方法があります。ただし、夫婦部屋のある施設は限られているのが実情です。そこで、夫婦入居が可能な老人ホームの種類、条件、同室・別室のメリットなどについて紹介します。
目次 |
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夫婦で入居が可能な老人ホームはある
老後に夫婦二人での暮らしを送るに当たっては、夫婦で入居可能な老人ホームに入るという選択肢があります。ただし、夫婦入居が可能かどうかについては、施設種別や施設によって異なり、入居に条件が設けられています。
また、夫婦入居が可能な老人ホームでも、夫婦部屋のある施設は限定的です。夫婦入居する場合は、夫婦二人を同室にする、別々の部屋にするという2つの暮らし方があります。
■夫婦部屋がある老人ホーム
介護施設の種類によって、夫婦入居の受け入れの対応は異なります。
老人ホームの種類 | 夫婦入居 |
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サービス付き高齢者向け住宅 | 可 |
健康型有料老人ホーム | 可 |
住宅型有料老人ホーム | 可 |
介護付き有料老人ホーム | 可 |
軽費老人ホーム (ケアハウス) |
可 (数は少ない) |
グループホーム | 可 (数は少ない) |
特別養護老人ホーム | 不可 |
サービス付き高齢者向け住宅、健康型有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホームは、夫婦入居がしやすい施設です。ただし、健康型有料老人ホームは、夫婦ともに「自立」でなければ入居できず、施設数も少ないです。また、介護付き有料老人ホームは、施設によって、夫婦ともに「要介護1以上」であることが条件とされています。これらの施設の一部には夫婦部屋が設けられていますが、数が限られています。
軽費老人ホーム(ケアハウス)、グループホームは、介護レベルなどの入居条件を満たしていれば、夫婦入居が可能です。ただし、一人部屋が中心で、夫婦部屋のある施設は限定的です。
一方、特別養護老人ホームは、原則として「要介護3以上」の人しか入居できず、費用面などからも人気があり、都市部を中心に待機者が多いことからも、夫婦入居が難しいです。同じ施設に入れたとしても、夫婦部屋はありません。
■夫婦入居できる条件
老人ホームに夫婦で入居するためには、施設種別や施設によって、個別に決められた条件を満たすことが必要です。
- ・夫婦ともに年齢条件を満たしている
- ・夫婦ともに介護レベルの基準を満たしている
夫婦での入居を希望している場合、夫婦部屋のある施設は限られているため、早い段階で探すのがおすすめです。早い段階で老人ホームに入居しておくことで、ゆっくりと施設を検討することができます。また、自立した状態から老人ホームに入居することで、「子に介護の負担をかける」「老老介護になって共倒れになってしまう」といったリスクを防ぐこともできます。施設にもよりますが、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームは、自立から介護の必要な状態の人まで、入居することが可能です。
夫婦で入居できる老人ホームにかかる費用
夫婦で入居できる老人ホームにかかる費用として、以下、2つの有料老人ホームの例を基に、夫婦部屋の場合と個室2部屋で入居した場合に分けて比較してみました。
夫婦部屋 | 個室2部屋 | |
---|---|---|
家賃 | 11万円 | 14万6000円 |
管理費 | 8万8000円 | 16万6000円 |
食費 | 13万円 | 13万円 |
生活サービス費 | 6万6000円 | 6万6000円 |
合計 | 39万4000円 | 50万8000円 |
夫婦部屋 | 個室2部屋 | |
---|---|---|
家賃 | 9万3000円 | 13万4000円 |
管理費 | 9万6000円 | 7万円 |
共益費 | 8000円 | 1万2000円 |
食費 | 8万2000円 | 8万2000円 |
合計 | 27万9000円 | 29万8000円 |
一般的に、有料老人ホームに夫婦二人で入居する場合は、個室2部屋よりも夫婦部屋の方が安いといった傾向にあります。これは、家賃や管理費の部分が、個室2部屋に入居する場合よりも、夫婦部屋の方が安いことが多いためです。ただし、料金設定によっては、夫婦部屋も個室2部屋も利用料金が大きく変わらないという施設もあります。また、入居一時金が発生する料金プランの場合、夫婦部屋は入居一時金が割高になるケースもあるため、入居一時金も踏まえて比較しましょう。
老人ホームに夫婦で入居する方が良いのか?

老人ホームに夫婦入居する場合、夫婦同室と別々の部屋への入居、どちらが良いのでしょうか。それぞれのメリットについて、紹介します。
■夫婦で同室に入居するメリット
老人ホームに夫婦で同室に入居するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- ・個室2部屋よりも費用が安いことが多い
- ・長年連れ添った相手と暮らせる安心感がある
- ・部屋の広さにゆとりが感じられる
- ・施設によっては広い部屋の方がミニキッチンなどの設備が整っている
■夫婦で別々に入居するメリット
老人ホームに夫婦が個室2部屋に別々に入居する場合、次のような点がメリットとして挙げられます。
- ・片方の介護が必要になったときに、スタッフが出入りすることによる煩わしさがない
- ・自立している方は介護が必要になった相手を気にかけることによる負担が少ない
- ・夫婦それぞれの生活リズムで暮らせる
- ・片方が先に亡くなったときに住み替える必要がない
- ・施設の選択肢が多いる
老人ホームに夫婦で入居したい場合の注意点
夫婦の身体の状況は、それぞれ異なるため、老人ホームに夫婦で入居したい場合には、次のような注意点が挙げられます。
- ・退去を求められる場合がある
- ・どちらかが亡くなった場合の取り扱い
老人ホームは、施設によって決められている基準により、介護が必要となった場合や要介護が上がった場合などに、退去を求められることがあります。また、夫婦部屋に入居する場合、どちらかが亡くなった場合の取り扱いについても確認しておくことが大切です。
■退去を求められる場合がある
夫婦のいずれか、あるいは両方が入居してから介護が必要となった場合、要介護度が上がった場合、医療依存度が高くなり対応できなくなった場合などには、退去を求められることがあります。施設によって対応が異なるため、介護が必要になったときに、介護保険による施設サービスや外部サービスを利用し、介護を受けながら生活することができるかどうか、どの程度の要介護度まで対応しているのかといったことを契約前に確認しておくことが大切です。
■どちらかが亡くなった場合の取り扱い
夫婦部屋に入居していて、どちらかが亡くなった場合の取り扱いについては、施設によって対応が異なります。夫婦部屋という設定で広い部屋に入居している場合は、空いている個室に移動するか、退去することになります。一方、1名あるいは2名という設定で広い部屋に入居している場合は、一般的にはそのまま住み続けることができます。ただし、家賃が高いという理由から、この場合も個室に移動する人が多いようです。
片方が亡くなった場合、優先的に個室に移動できるのか、個室へ移動する際の入居一時金はどうなるのか、1人で住んでいる間の費用はいくらになるのかといった点も、あらかじめ確認しておきましょう。
夫婦入居可能な老人ホームの探し方

夫婦部屋のある老人ホームは限られているため、全国の老人ホームや介護施設が検索できるサイトを利用すると、効率良く探すことができます。希望するエリア、入居条件、施設種別、「2人部屋あり」といった条件を設定すると、検索結果が表示されます。夫婦入居可能な老人ホームを探すときには、夫婦それぞれが老人ホームの設定している年齢や要介護度による入居条件に合致しているかどうかを確認することがポイントです。
「シニアのあんしん相談室」なら、夫婦入居可能な老人ホーム・介護施設を一覧から探すことができます。都道府県、入居条件、費用、施設種別などの詳細条件を設定することも可能です。
お電話での入居相談も可能ですので、探し方がわからない方、手間なく探したい方はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
夫婦入居のしやすい施設は、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームです。夫婦部屋と個室2部屋のメリットの違いを踏まえた上で、夫婦の希望に合った施設を見つけることが大切です。特に、夫婦部屋のある施設は限られていますので、老人ホームへの夫婦入居を考えているのであれば、元気な状態のうちに探すことで、多くの選択肢の中から施設を吟味できます。

記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)