増加するグループホームについて 有料老人ホームとの違いとは?
2017.7.14
認知症を患った高齢者が福祉施設に入所を検討する場合、間違いなく候補にあがる施設がグループホームです。
グループホームは施設数が飛び抜けて多い訳ではありませんが、利用者が年々増え続けています。
では、グループホームは有料老人ホームとはどの辺りが違うのでしょうか?
少人数体制とアットホームな雰囲気が特徴
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」「認知症グループホーム」とも呼ばれる、認知症の症状を持つ高齢者専用の介護福祉施設です。
1ユニット5人~9人で原則2ユニットまでと少人数なのが特徴で、専門スタッフの援助のもと、家事やリハビリなどの日常訓練を続けながら認知症の進行緩和や改善を図る目的で運営されています。 少人数ゆえのアットホームな雰囲気、そして家庭のような生活環境の中での自立した生活訓練、さらに入居対象者の「施設と同じ市町村に住民票がある」という条件から生まれる地域密着性も手伝って、認知症の進行緩和に大きな効果があると期待されています。
定員が少人数のため入居するのに長く予約待ちをすることがありますが、スタート以来根強い人気を保っている施設であることは確かです。
2025年には利用者26万人の予想
次に、グループホーム誕生以降の数の推移に着目してみましょう。
厚生労働省の発表によれば、2015年時点でグループホームの事業所数は全国に1万3,003件、定員数は18万0,459人です。
過去を遡ると、介護保険制度が施行された2000年に全国の事業所数702件でグループホームはスタートしました。その5年後の2005年には当初の10倍に当たる7,099件に達し、それ以降も緩やかに右肩上がりの状態を保って、2010年には1万0,048件と大台を突破しています。 このまま増加を続けて、2025年には定員数が26万人に達するのではないかと厚労省では予測しています。
グループホームと有料老人ホームの比較
超高齢時代に突入した世相と呼応するように爆発的な勢いで増加する有料老人ホームと比較すると、グループホームの増加率はごく緩やかと言えます。ではこの2種類の施設の違いはどんな所でしょうか。
まず何といっても明確に違う点は、認知症の人がグループホームと有料老人ホームのどちらにも入居できるのに対して、認知症状のない人はグループホームに入居できないということでしょう。
次に入居費用の面では、グループホームは0~30万円台ですが、有料老人ホームの場合は0~数千万円と幅がとても広いです。
また入居時の体調面では、有料老人ホームが介護サポート可能で寝たきりの介護までしてくれるのに対して、グループホームは認知症ケア以外の健康ケアが基本できません。介護が不要で大きな病気がない人のみ入居できます。
そのため、近年注目度が高まっている終末ケア問題、いわゆる「ついのすみか」になり得るかどうかも、対応が異なります。グループホームには看護師の配置義務がないため、入居者が病気に罹った際は協力医療機関などに依頼がいき、「最後までその施設で」というのは中々難しい現実があります。
しかし、最近では看取りなどのニーズが高まったことで、施設内に看護師を配置し、医療面を充実させたグループホームも出てきています。ただし、そのような施設は需要が多い分、入居難易度も上がるので注意が必要です。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)