サ高住は看取りも行う?「ついのすみか」として検討している方へ
2017.7.12
施設探しでは、環境面や資金面以外にも重要視されるポイントがあります。それは施設が「ついのすみか」になりえるかどうかです。
高齢者が安心の生活を送るうえで、看取り介護があるか無いかは大事な要素の一つです。
では、近年増加するサービス付き高齢者向け住宅の現状の対応はどうなっているでしょう?
多くの安心を提供するサ高住
まず、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とはどんな特性を持つ施設なのかを簡単におさらいします。
サ高住は2011年、国土交通省と厚生労働省の所管する「高齢者住まい法」の改正と共に誕生した、地方公共団体が指導・監督をする高齢者向け居住施設です。「介護・医療との連携」など高齢者が安心して住むことができることを謳っていて、バリアフリー構造などのハード面の整備、安否確認サービスと生活相談サービスの提供が統一されています。
ただし、食事や見守りなどの介護サービス内容は事業所によって違い、費用、入居条件などもそれぞれに異なります。
近い将来入居を検討している人の中には、「介護付き有料老人ホームもいいけど、これだけ充実しているのなら、サ高住を人生最後の家に選んでもいいかしら?」と考えている人も多いのではないでしょうか。
「終の棲家(ついのすみか)」になり得る?サ高住の現状
では実際の所、利用者の終末期ケア、いわゆる「終の棲家(ついのすみか)」としての対応について、サ高住はどれくらいの割合で実施しているのでしょうか?
2012年に厚労省が行ったアンケートによると、サ高住2,065施設のうち、「入居者の看取り介護を実施している(実績がある)」と回答したのは25.3%、同じく「実績は無いが対応可能」が32.7%となり、合計で58.0%が「看取りが可能である」と答えていました。一方で、「実施していない」という回答が30.8%にも及び(無回答は11.2%)、サ高住だからといって「ついのすみか」と考えてしまうのは早計でしょう。
国交省がサ高住事業者2,283施設を対象に集計した別のデータによれば、サ高住事業者が入居者に対し、終末期ケアや看取り介護が必要になった際の事前説明を行っている割合が64.9%。つまり事業者の3分の1以上は終末期ケアに関する説明自体を入居者にしていない状態ということが分かりました。
「過去に看取りの経験は?」事前確認を必ず!
サ高住を「ついのすみか」として考えるならば、注意しておきたいポイントがあることが分かりました。また、サ高住は入居者の体調の状況によって対応が変わりますし、特に認知症状が重くなった場合には退去を依頼される施設も一部にはありますので、事前に施設の事情をよく知っておくことが必要になります。
そして、もし看取り介護などの終末ケアを期待するのであれば、入居先探しの段階で施設側に「過去に看取りの経験があるか」などの質問をして、念入りに確認しておくようにしておくようにしましょう。
参考:サービス付き高齢者向け住宅等の質について 参考:サービス付き高齢者向け住宅における看取りの状況記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)