サ高住での介護サービスの利用法 囲い込みに注意!
2017.7.5
要介護度が比較的低めの人が利用するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、特定施設認定を受けているサ高住の場合を除いて、一般的に介護サービスを外部の事業者に依頼することになっています。
しかし最近、サ高住の外部サービスを巡って、ある問題が浮き彫りになっています。それは一体どんな点なのでしょうか?
サ高住の外付けサービスは選択自由
一般的にサ高住で義務付けられている介護サービスは、見守りや生活相談、食事の提供、買い物の代行などといった生活支援で、介護・医療に基づく援助サービスは対象外となります。従って介護が必要な利用者は、外部の業者に介護サービスを依頼することになります。
この外部サービスに関しては、サ高住の入居者はそのサービスを提供する事業者および内容を必要に応じて自由に選択・変更することができます。同時に、運営する施設側もその自由を尊重しなければなりません。それはたとえ同じ法人やグループ会社が運営する事業所であっても同様で、基本サービスと外付けサービスは区別化が求められます。
さらに、入居者も選択を縛られることはありません。たとえ入居する建物に介護・医療の外付けサービスが併設・隣接されていても、他地域のもっと評判の良い事業所を利用したり、入居前から利用していた馴染みの居宅サービスを選択したりするのも自由です。
ところが、こうした基本原則がありながら、現実には一部の事業者の不適切な行為が横行していることが明らかになっています。
悪質事業者の「囲い込み」の手口とは?
今年4月に公表された大阪府の調査で、要介護認定率が全国平均 17.9%に対して大阪府が22.4%、被保険者一人当たり介護費が全国平均 27.4万円に対して大阪府が31.9万円と、それぞれ全国ワーストであると報告されました。
そしてこの調査では、被保険者1人当たりの介護費を要介護度別に見たとき、要介護3以上のサ高住入居者は特養入居者よりも多額の介護サービスを利用していたことが分かりました。
これはすなわち、利用者の必要とする以上の過剰な外部サービスが介護費に含まれた結果の「囲い込み」がなされたためである、と大阪府は報告書の中で指摘しています。
では、このような「囲い込み」が行われるのは何故でしょう?
サ高住は元来、要介護度が低めの人が対象となっているため、運営事業者にとっては多額の介護報酬があまり見込めません。それでは事業としての売り上げが少なくなってしまうということで、一部の事業者は「入居者には必要でない過剰な自社サービスを受けさせて収益を多くあげる」という手段に出ます。これがサ高住の「囲い込み」の実態なのです。
施設選びに迷ったら専門家の意見を
ここに挙げたような実態は、将来サ高住への入居を考えていた人からすれば頭を抱える問題かもしれません。しかし逆にいえば、入居時に本当に必要な介護サービスが何であるかをじっくり検討するのには役立ったのではないでしょうか。
老後の介護生活を安心した状態で過ごすためにも、施設選びはとても大切なことです。不安なことがあったり判断に悩んだりした場合は、間違いの無い選択をするためにもすすんで専門家に相談し、意見を聞いてみてください。
参考:大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について【「サービス付き高齢者向け住宅」に関連する記事はこちら】
サービス付き高齢者向け住宅を探す記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)