高齢者がペットを飼う際の注意点と一緒に暮らすメリット
2017.6.30
現在、仕事を引退したり子どもが独立したりしてからペットを飼う高齢者が増えています。第二の人生をペットと共に暮らすことは、生活にハリをもたらし有意義な時間となるでしょう。
しかし、高齢者がペットを飼うことにはさまざまな注意点があります。
ここでは、高齢者がペットを飼う際に知っておきたい重要なポイントをご紹介します。
高齢者が覚えておきたいペットとの生活でよくあること
・ペットの世話が大変になってくる
60~70代でペットを飼い始めると、健康であっても徐々に自分の体力が落ちていくため、「毎日の世話が大変」といった悩みを抱える方が多いです。
犬の場合、毎日散歩に連れて行く必要がありますし、糞尿の掃除などもしなければいけません。またペットも高齢になると衰えていくため介護が必要になることもあります。
・急な入院などで預け先に困ってしまう
体力の衰えた高齢者は、怪我や病気などで入院する可能性が高くなります。入院することになった場合は、ペットを預かってもらわなければなりません。
ペットホテルの利用も方法としてはありですが、長期入院の場合費用が高くなってしまいます。
以上の点から、ペットの世話が難しくなった際の対処法を考えておくこと。また、突然のトラブルでも慌てることのないよう、事前に預け先を探しておくことが大切です。
高齢の方がペットよりも先に亡くなってしまう問題が増加中
現在(平成27年)、日本の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳となっています。(※1)飼ったペットの平均寿命を飼い始めた時の年齢に足したとき、この平均寿命の数字をオーバーしてしまった場合は注意が必要です。
たとえば、犬の平均寿命(種類によってばらつき有り)は10~14歳前後と言われています。このため、子犬を飼い始めときに70歳を過ぎていた場合は、ペットよりも先に自分が死んでしまうかもしれません。
近年では「飼い主が先に亡くなった」「世話をするのが困難になった」などの理由で、動物保護団体に保護されるケースが増えています。ペットがまだ若ければ、新たな飼い主が見つかりやすいのですが、残されたペットが老犬・老猫だった場合は引き取られる確率が低くなり、結果殺処分されることも少なくありません。
※1 厚生労働省「第22回生命表(完全生命表)の概況」ペットを飼うために注意すべき点
世話ができなくなったり、ペットよりも先に死んでしまったりする可能性が高いからといって、飼ってはいけないというわけではありません。
ペットを飼う条件として、まず日常的な世話が難しい動物を避けるようにしましょう。力や体力もある大型犬や、運動量の多い小型犬などは、自身の体に大きな負担をかけてしまいます。また、鳥類も注意が必要です。オウムの場合、大型になると寿命が20~30年もある種類があります。犬や猫よりも長生きするため控えたほうがよいでしょう。
高齢者がペットを飼うことのメリット
高齢者がペットと暮らすことで生活に刺激がもたらされるだけでなく、自然と会話や笑顔が増えるようになります。またペットを見るだけでもストレスが減り、精神的も落ちついてくるとも言われています。
これらの効果は認知症患者にも効果的であり、アニマルセラピーとして用いる老人ホームも少なくありません。
高齢者がペットを飼う際はさまざまな注意点がありますが、上手に対処することで充実した第二の人生を送ることができます。地域によってはペット飼育サービスが展開されていることがありますし、ペットも一緒に入居できる老人ホームも一部ですがあります。一度、インターネットなどで調べてみることをおすすめします。
動物と一緒に暮らすメリットを得て、いつまでも元気でいたいものですね。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)