特定施設、介護付き有料老人ホームで見る人員基準 3:1ってなに?
2017.5.26
介護施設探しで大量の資料を目にしていると、条件や費用とは別になんとなく気になる文言ってたまに出てきますね。
中でも、介護付き有料老人ホームとかケアハウスといった特定施設入居者生活介護などで見かけることが多い「3:1」とか「2.5:1」とかの比率記号。こんなの見るの高校の数学の授業以来だけど…これって一体何?
特定施設の人員基準に、なぜか数学の比率計算記号…
有料老人ホームの中でも、特定施設入居者生活介護として国から指定を受けている介護付き有料老人ホームは、充実した介護サービスを受けられるということもあり、長く人気を保っている高齢者向け施設です。
その特定施設入居者生活介護では、施設の介護職員と看護職員を合わせた人員数と、施設で暮らす要介護の利用者数との比率が3:1以上でなくてはならないという基準が設けられています。また要支援の利用者に対しては10:1以上であることが定められています。
常に3:1の割合で職員がいる?
労働保険法が定めた特定施設における職員配置では、要介護または要支援2の入居者3人に対し職員を最低1人、要支援1の入居者10人に対し職員を最低1人、それぞれ配置するよう明記しています。これを書類などで文字にするにあたって簡潔に「3:1」「10:1」と比例記号を使って表記しているのです。
では、仮に100人の入居者が暮らす介護付き有料老人ホームの場合、職員は常に34人以上いるということでしょうか?恐らく実際に介護付き有料老人ホームを訪れても、職員がこれほど大量に駐在しているケースはまず無く、むしろせいぜい10人程度しかいないのが一般的と思われます。
とはいえ、だからといってこの施設「条件を満たしていないのではないか?」と考えるのは早計です。なぜなら「3:1」という比率は、常勤換算で満たしていれば良いとされているからです。
入居者100人の施設であれば、常勤換算で34人を雇用していれば問題ありません。通常34人で早番・日勤・遅番・夜勤・公休などを上手に組み合わせ、いわゆる「シフト組み」を実施しています。34人を各時間帯に配置することになるため、実際に駐在している人数はこれより少ない場合もある、ということです。
必ずしも「3:1」ばかりじゃないけど、「2:1」でビックリすることも?
また注意しなければならないのは、ここでいう「3:1」はあくまで法律上の最低基準にすぎないという点です。必ずしもピッタリ「3:1」の比率を遵守する必要はなく、施設によっては、2.5:1(入居者100に対して職員40人)や2:1(入居者100に対して職員50人)といった所もあるのです。
このように数値が3を下回った介護体制を敷いている施設を見たら、それだけ手厚い介護を入居者に施している可能性があると考えてよいでしょう。ただし、その分は必要以上の介護となるため、料金設定にも高くなります。施設を探している方は慌てて飛びついて高い料金に驚いたりしないよう、慎重に調査する姿勢をどうかお忘れなく。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)