認知症高齢者の日常生活自立度・障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは?
2017.5.5
介護保険制度における要介護度は、認定の際に、高齢者の状態を測る認知症高齢者の日常生活自立度を指標にしています。同様に、障害高齢者の日常生活自立度という指標も存在します。
いずれも厚生労働省が定めたものですが、その内容とは一体どんなものでしょう?
障害高齢者の日常生活自立度の4段階
障害高齢者の日常生活自立度は、介護現場で障害高齢者の状態についての自立具合を調査者が客観的に判定しながら、4段階評価で作成する日常生活上の指標です。「寝たきり度」ともいいます。
判定基準は以下の4段階です。
・ランクJ(生活自立)
身体に障害(病気の後遺症などによる)はあるが、日常生活はほぼ自立しており、一人で外出できる人。
・ランクA(準寝たきり)
屋内での日常生活は食事・トイレ・着替えなど自力ででき、近所への外出時には介護者の援助が必要な人。
・ランクB(寝たきり)
一日の大半をベッドで過ごし、食事・トイレ・着替えのいずれかで介護者の援助が必要な人。
・ランクC(寝たきり)
ランクBより障害の程度が重く、食事・トイレ・着替えのいずれも介護者の援助が必要な人。
参考:障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)認知症高齢者の日常生活自立度の9段階
認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症高齢者を介護する際の労力の度合いを示した生活自立度の指標です。調査者が訪問時に対象者の様子を見て、認定調査項目に沿って判定します。
判定基準は以下の9段階です。
・ランクⅠ
認知症状はあるが、日常生活は家庭内でも社会的にもほぼ自立している人。
・ランクⅡ
日常生活に支障をきたす行動や意思疎通の困難は多少あるが、誰か見守る人がいれば自立できる人。
・ランクⅡa
屋外で上記Ⅱの状態がある人。道に迷う、買い物や金銭管理にミスが出る、等。
・ランクⅡb
家の中でも上記Ⅱの状態がある人。薬の管理ができない、訪問者の対応ができない、等。
・ランクⅢ
日常生活に支障をきたす行動、困難な意志疎通などの症状で、介護を要する人。
・ランクⅢa
おもに日中に上記Ⅲの状態の人。食事・トイレ・着替えがうまくできない、物を口に入れる、徘徊や失禁、奇声、等。
・ランクⅢb
おもに夜間に上記Ⅲの状態の人。症状はⅢaと同じ。
・ランクⅣ
日常生活に支障をきたす行動が頻繁で、意思疎通が難しく、常に介護を要する人。症状はⅢと同じ。
・ランクM
著しい精神症状や重い身体疾患があり、専門医療を要する人。せん妄や興奮、それらに起因する問題行動、等。
参考:障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)以上二つの自立度の基準があることによって、家族や介護職の人たちはその行動のレベルを容易に判断できるのです。
二つの自立度と要介護の関係
前述した通り、認知症高齢者の自立度は要介護認定をする際の指標になります。また、認知症高齢者の自立度と障害高齢者の自立度のデータとかけ合わせることによって、介護を受ける高齢者の実情がより明確に見えてきます。
2009年発表の資料にある、認知症高齢者自立度がランクⅡのうち障害高齢者自立度ランクAの人の要介護の割合を見ると、
・要支援1……2.0%
・要支援2・要介護1……48.0%
・要介護2……37.1%
・要介護3……11.6%
・要介護4……1.2%
・要介護5……0.1%
となっています。
また認知症高齢者自立度がランクⅡで障害高齢者自立度ランクBの人は、
・要支援1……0%
・要支援2・要介護1……3.5%
・要介護2……17.2%
・要介護3……45.6%
・要介護4……29.3%
・要介護5……4.3%
という割合になっています。
もう少し見ていきましょう。
認知症高齢者自立度がランクⅢで障害高齢者自立度ランクAの人は、
・要支援1……0%
・要支援2・要介護1……4.7%
・要介護2……27.4%
・要介護3……53.9%
・要介護4……13%
・要介護5……1.0%
認知症高齢者自立度がランクⅢで障害高齢者自立度ランクBの人は、
・要支援1……0%
・要支援2・要介護1……0.2%
・要介護2……2.7%
・要介護3……24.3%
・要介護4……56.8%
・要介護5……16.0%
という結果でした。
当然ですが、認知症高齢者の日常生活自立度がⅠからMという評価に移るほど、障害高齢者の日常生活自立度がJからCに移るほど、要介護の数値も増えていく傾向にあります。
これから要介護認定をされる方、要介護の更新をされる方は上記の指標を参考になさってください。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)