高齢者が被害に遭いやすい犯罪上位を紹介 周りに注意を呼びかけよう
2017.4.14
超高齢社会といわれるほど、日本は世界でトップクラスの長寿国。お年寄りが暮らしやすい社会は、治安がしっかりした安全な地域社会の保全があってこそです。
高齢者が被害者になる犯罪件数は昨今減少傾向にあるとはいえ、対策は必須。特にお年寄りがターゲットにされがちな詐欺被害など、みんなで対策を考えなければなりません。
数は減少、しかし割合は上昇……高齢者相手の犯罪
世界有数の長寿国・日本も、こと治安に関しては、まだまだ高齢者には不安が多い国。高齢者を騙す卑劣な犯罪は後を絶ちません。
警察庁発表の平成28年7月の資料によれば、この10年間で刑法犯罪の年間発生数は年々減少傾向にあり、65歳以上の高齢者を被害者とした件数も10年で5万8,000件ほど減少しています。ただし高齢者を被害者とした犯罪の割合は逆に4.4%上昇しており、高齢者相手の犯罪の多さが際立つ形になっています。
こんなに沢山!詐欺の手口
同じ資料によると、2015年の1年間で65歳以上の高齢者が被害者となった犯罪で最も多いのが「窃盗」で82,070件、次いで「詐欺」が12,725件という結果が出ました。以下「暴行」2,746件、「傷害」2,180件と続きます。
件数だけで見ると窃盗が目立ちますが、ここで全犯罪件数のうち高齢者が被害者になっている割合に注目すると、
・窃盗……12.9%
・詐欺……45.1%
・暴力……8.4%
・傷害……8.7%
という結果になります。
やはり多いのは詐欺被害で、しかもその割合は年々増加しています。
詐欺犯罪はかつて電話で身内を騙る「オレオレ詐欺」が主流でしたが、ここ最近は新たな手口が続々と報告されています。
マイナンバー制度が始まった2016年は自治体職員を装った「マイナンバー詐欺」が横行し、世間を騒がせました。その他、税務署員を装ってATMに誘導して預金を送らせる「還付金詐欺」、詐欺被害者に「お金を取り戻すので」と言葉巧みに近づいてさらに騙し取る悪質な詐欺、電子ギフト券を購入させて送らせる詐欺、宝くじロト6の情報を教えると偽って情報料を促す詐欺、「オリンピック記念硬貨をプレゼントする」といって騙す「オリンピック詐欺」等が存在します。
一方「オレオレ詐欺」の手口自体も、「会社のカバンを落とした」と嘘を伝えたり、地方在住者を「東京まで持って来て」と呼び出したり、「家までタクシーを迎えに行かせる」とお迎えを装ったり、手法が多様化しています。さらに送金を銀行振り込みでなくレターパックや宅配便でさせる手口もあります。
いずれの手口も、被害者にすれば馴染みが薄いため、犯罪と気付かず騙されてしまうのです。
被害を未然に防ぐ対策とは?
こうした高齢者が被害者になる犯罪は、周囲にいる家族も一緒になって守ってあげなければなりません。特に高齢者がターゲットにされる詐欺被害を未然に防止するためには、以下のような対策を考えてみてください。
・最悪騙されてしまった時に備えて、あらかじめ銀行でATMの利用限度額を引き下げる手続きをしておく
・詐欺の手口やその対策方法について家族でよく話し合う
・自宅の電話を工夫する(常時留守番電話にする、ナンバーディスプレイ機能を付ける)
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)