車いすで外出する際は要注意? 車いすの介助方法
2017.3.29

車いすを必要とする方の外出を介助する場合、さまざまなことに注意しなければいけません。何気なくまたいでいる段差や、利用しているエレベーターでも、車いすを利用する際には、ちょっとしたコツが必要になります。
ここでは、車いすを利用して外出する際に知っておきたい、車いすの介助方法をご紹介します。
車いす介助での段差の登り降り
厚生労働省が掲載している資料(※)では、車いすの段差の登り降り時の介助について次のように紹介しています。
車いすで、ちょっとした段差を登るときは、座席背面にある、テッピングレバーを踏んで、前輪を浮かせるようにしましょう。
前輪が浮くことで前の段差を登りやすくなります。
段差を降りるときは、正面から降りるのではなく後ろ向きで降りるのが基本です。段差の高さにもよりますが、進行方向に向かって背中を向けることで車いすに座っている人が前のめりになるのを防ぐことができます。
※厚生労働省の介助に関する資料
車いす介助における外出時の注意点
・なるべく段差や石畳のない道を選ぶ
石畳やタイルの道は、車いすに乗っている人に振動が伝わりやすいため注意が必要です。大きな道路の歩道はタイルで装飾されていることがあります。できるだけ車通りの少ない平坦な道を選びましょう。
・意識して車いすの周りの間隔に余裕を持つ
車いすを介助している際は、車体の周りの間隔を意識した行動が重要です。車いすと周りの障害物にしっかりと距離があることを確認しつつ、介助を行ってください。
たとえば交差点で自分を基準に止まってしまうと、車いすが車道に飛び出してしまうこともあります。
交差点に進入しないように、車いすを基準にして立ち止まったり、動いたりしましょう。
・曲がり角では意思疎通をとる
交差点や曲がり角では、「進みます」あるいは「右(または左)に曲がります」と車いすに乗っている人に声を掛けましょう。2人で注意し合いながら移動することで、衝突や転倒を防ぐことにつながります。
・人通りの多い横断歩道は避ける
人通りの多い交差点や、人とよくすれ違う道は避けたほうが良いでしょう。車いすは視線が低くなります。視線が低くなると、普段気にならなかった人や自転車とのすれ違いに危険を感じやすいです。
横断歩道などでは、「速く渡ろう」とする人も多いため、余計に怖く感じてしまうものです。急がない外出の際には、車いすの方のためにも人通りの少ない道を選ぶといった工夫が大切だと言えるでしょう。
・エレベーターは後ろ向きで入る
エレベーターに車いすを入れる際には、後ろ向きで入れるのが基本です。前向きでエレベーターに入ると、すでに乗っている方々に圧迫感を与えてしまいます。スペースや時間に余裕があるときは、後ろ向きでエレベーターに乗り込むようにしましょう。
しかし、すでに人が数人乗っていると後ろ向きは乗りにくくなるため、状況に応じた判断が大切です。

車いすを押して外出する際はさまざまなことに注意しなければいけません。
今回紹介したほかにも、介助者が理解しておくべきポイントはさまざまあります。一度、ご自身が車いすに乗ってみて、誰かに押してもらうという体験をしてみるのも良いかもしれません。
車いすを介助する際には、乗っている方の心情を理解してあげるのが大切です。今回ご紹介した内容を参考に車いすの介助に臨んでみてはいかがでしょうか。

記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)