自転車に要注意!高齢者の自転車事故の原因と対策
2017.3.24
近年、高齢者が起こす自転車事故が増えています。
身体的に衰えていることもある高齢者は、事故に遭うと重症化するケースが多いため注意が必要です。
高齢者が自転車事故を起こすことには、さまざまな原因があります。
今回は高齢者の自転車事故の原因と予防・対策法についてご紹介していきます。
一番死亡率が高いのは65歳以上?
平成27年に警察庁交通局より発表された「平成26年中の交通事故の発生状況」(※)によると、自転車乗車中の負傷者数が最も多いのは16~24歳の22.1%でした。続いて、65歳以上が18.5%、15歳以下が17.2%となっています。
対して、自転車乗車中による死亡者数は65歳以上が63.9%と最も多く、続いて60~64歳の9.8%、50~59歳の8.9%となっています。
高齢者の自転車事故の原因は?
交通事故は、複数の要因が重なることにより起こります。一概に自転車を使用する高齢者に原因があるわけではありません。
ですが、他の年代と比べると、次のような理由で事故が起こりやすい状態になっていると考えられます。
まず人は高齢になると視力が低下し、視野も狭くなります。視力の低下と視野の狭まりは危険を察知する能力を鈍くし、対応を遅くしてしまうので注意が必要です。
また、高齢者はバランス感覚が低下しています。反射神経や筋力も衰えて、緊急の危険を回避することが思ったようにできなくなり、ふらふらとその場で転ぶことが多くなってしまうのです。
自転車を利用している若い人や、車を運転している人が、高齢者の自転車は「ふらついている」「適切な回避ができていない」と感じる理由はこのためです。
自転車事故を防ぐためにはどうしたらいい?
・高齢者が乗りやすい自転車を選ぶ
安全に自転車に乗るためには、まず自転車選びが大切です。
「サドルが低くなっている」ものを選ぶことで乗り降りが楽になるため、転倒の危険が低くなることでしょう。また、ふらつきやすい坂道や漕ぎ始めを補助してくれる電動アシスト自転車を選ぶのもおすすめです。
・前かごに荷物を載せすぎない
買い物の手段として使われることが多い自転車ですが、重い荷物を前かごに入れたりハンドルにかけたりすることはできるだけ避けましょう。
運転中のバランスが悪くなるだけでなく、ハンドルが重くなり回避行動が取りにくくなります。
・交通ルールを守る
事故原因の3分の2が自転車に乗っている人の交通違反だと言われています。自転車を利用する高齢者が安全確認を怠ったために発生した事故も多いです。大阪府警の調査(※)では自転車に乗る高齢者の4人に1人が、車の方が止まってくれると思い込んでいるようです。また、一時停止をしなくていいとも。
法律で自転車も軽車両と位置付けられているため、きちんと交通ルールを守らなければいけません。
車と同様に、交通ルールを守るだけで事故も死亡者数も減っていくと考えられます。
自転車以外にも電動カートを使用するという選択もあります。電動カートとは、別名シニアカーとも呼ばれる、電動4輪車です。外見はスクーターを4輪にした形で、ハンドル操作によって右左折を行います。シニアカーは時速6㎞までしか出せない仕様となっており、法律でも歩行者として扱われるため安心です。
自転車を奪われると生活が不便になってしまうという高齢者もいます。その場合は、電動カートを導入して安全に外出してもらうことが、安心・安全につながりますよ。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)