高齢者にあらわれる鼻炎の症状、「老人性鼻漏」は花粉症と勘違いも?
2017.3.1
2月、3月と徐々に暖かくなってくるにつれ花粉の量も増え、毎年花粉症に悩まされる方は多くおり、高齢者も例外なく悩まされています。花粉を体内に取り込むほど、異物(花粉)に対抗するために抗体(IgE抗体)を作ります。この抗体が増えることで花粉症を発症しやすくなります。年齢では40代がピークといわれていますが、花粉症の悩みを抱える高齢者も珍しくありません。
ですが高齢者の場合、花粉症以外にも鼻水が出る病気があるため混同しないことが大切です。
ここでは、高齢になると鼻水が出やすくなり花粉症と勘違いしやすい鼻炎についてご紹介します。
意外に多い高齢者の鼻水の原因「老人性鼻漏(ろうじんせいびろう)」
鼻水が無色透明でサラっとしている場合は、「老人性鼻漏(ろうじんせいびろう)」が考えられます。
この老人性鼻漏は高齢になって粘膜機能が低下した方に発症しやすいといわれています。粘膜機能が低下すると、粘膜が持つ水分吸着力(粘着性)も弱くなるため、水っぽい鼻水が流れ出てしまうのです。
老人性鼻漏の特徴として、風邪のような悪寒や咳、くしゃみなどがないことが挙げられます。
老人性鼻漏では主に次の症状があらわれます。
- ・無色透明で粘り気のない鼻水が出る
- ・風邪でないときも鼻水が出やすい
- ・寝起き、朝方に鼻水が多く出る
- ・くしゃみなど他の症状がみられない
- ・食事の時に鼻水が出やすくなる(熱いものや辛いものを食べたときに症状が特に出る)
アレルギーによる鼻水「アレルギー性鼻炎」
微細な粒子やほこりなどが体内に侵入すると、異物が有害なものでなくてもそれを排除する目的で鼻水を出すことがあります。この過剰な免疫反応をアレルギー反応と言い、アレルギーによって鼻炎を発症することをアレルギー性鼻炎と言います。アレルギー性鼻炎の場合も、くしゃみが必ず出るとは限りません。花粉症もアレルギー性鼻炎の1つですが、アレルギー性鼻炎を発症する原因(アレルゲン)はさまざまあります。
アレルギー性鼻炎を発症する主な原因は以下のようなものが挙げられます。
- ・ハウスダスト(ダニ、猫や犬の毛、羽など)
- ・花粉(スギやヒノキ、ブタクサなど)
他にも、カビの胞子やキノコの胞子、食べ物などでアレルギー性鼻炎を発症することがあります。
アレルギー性鼻炎の症状は人それぞれで以下のいずれかが当てはまります。
- ・水のような鼻水
- ・鼻づまり
- ・くしゃみ(出ない場合も、繰り返し出る場合もある)
高齢者が悩まされる鼻炎の要因は他にもあります。鼻炎の治療法は複数あり、鼻水の分泌を抑える抗アレルギー剤や、点鼻薬を使用して治療を行うのが一般的です。症状が重い場合は、鼻水を分泌する神経を切る手術を行うことがあります。
鼻水の原因と、症状の度合いによって対処方法が変わってくるので、鼻炎に悩まされている方は耳鼻咽喉科の専門医に相談しましょう。
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記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)