老人ホームで起こる人間関係トラブルと対処法
2017.2.3
老人ホームは老後を健やかに生活するための施設です。そのため「過ごしやすさ」に重点を置いて施設選びに取り組む方もいることでしょう。たとえ設備や住環境からホームを選んだとしても、施設内の人間関係によっては居心地の悪い環境になってしまう恐れがあります。
ここでは老人ホームにおける人間関係のトラブルが起こる原因や、対処法についてご紹介します。
利用者同士の人間関係のトラブル、実は珍しくない?
集まる人数が多いほど、人間関係に端を発するもめ事は起こりやすくなります。デイサービスや老人ホームでも利用者同士のもめ事が起こり、周囲の人に迷惑をかけてしまうことがあります。トラブルの内容は、その対象者にどのような障害や症状があるのかによっても異なります。
例えば、認知症の症状がある方の場合、幻覚や妄想などから周りの人とトラブルになることもあります。 認知症などの症状でない方の場合でも、他の利用者の陰口を言ったり、恋愛からもめ事へ発展するなど、人間関係によるトラブルの種類はさまざまです。
また施設で家族から離れて暮らす寂しさから、いじめ行為につながるケースもあります。子どもや孫とのつながりが浅く孤独感を抱いている方ほど、いじめを行うケースが多いとされています。
トラブルが発生した場合の対処法とは?
対処法1:当人同士が会う時間をずらす
トラブルが起きた際、まず行うべき対処法です。当人同士が顔を合わせる機会を減らすことで、今後の起こり得るもめ事を予防することにつながります。スタッフやケアマネジャーと話し合って、極力顔を合わせないようなスケジュールを組んでもらいましょう。
対処法2:トラブルの内容を客観的に判断し、スタッフに報告する
利用者のご家族は、利用者が抱えている悩みや問題を聞き出して、客観的に判断しましょう。場合によっては、利用者本人に気持ちや行動を改めてもったり、職員に相談したりといった行動が必要になることでしょう。トラブルは初期段階であるほど解決しやすいです。大きな問題となる前に、日頃から利用者の抱える不安などを積極的に聞いてあげるようにして下さい。
対処法3:できるだけ家族と顔を合わせる
利用者は、孤独な状況からいじめにはしってしまうことがあります。孤独感によって、「いじめが子や孫に恥じるような行為」だという自覚が薄くなります。家族が訪問する時間は、利用者の方々にとって、癒しの時間になることがほとんどです。面会時間が少ない場合には、ストレスが溜まってしまう可能性もあるのです。お身内の利用者がいじめる側になってしまった場合には、ホームや施設に会いに行く機会や頻度を増やしてみてはいかがでしょうか。
老人ホームで人間関係のトラブルを避けるためには、体験入居を利用した際によく観察することが大切です。利用者同士の派閥があるか、席取りにこだわりや暗黙のルールがあるかどうかなどをチェックしてみましょう。
また人間関係のトラブルを予防したいなら、新設された老人ホームもねらい目だと言えます。新しい施設では、まだ人間関係が構築されていない場合も多く、派閥のようなものを気にする必要がありません。老人ホームの入居後に「トラブルに巻き込まれてしまった」「あるいは起こしてしまった」という場合は、家族での話し合いだけでなく現場のスタッフとも話し合って再発を防止しましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)