高齢になった両親に免許返納を説得するポイントとは?
2017.1.27
近年、高齢者の操作ミスや判断ミスなどによる事故をよく目にするようになりました。人間は歳を重ねるとともに、反射神経や運動神経、判断能力が衰えていきます。また認知症といった病気を発症した場合には、運転の危険性が非常に高まってしまいます。
しかし、地方では車がないと日常生活が不便であったり、本人のプライドもあったりするために、いきなり運転を止めるようにお願いするのは難しいと感じている方もいるでしょう。
以前には運転免許証自主返納制度について紹介しましたが、今回はご高齢の方々に免許返納の説得をするポイントについてご紹介します。
運転をやめるかどうかはプライドに関わる?
改正道路交通法では75歳未満の人は2時間の合理化教習を受けることになり、75歳以上の人は、まず「認知機能検査」を受けることになります。検査の結果、“認知機能が低下している”と判断された場合は高度化教習を受けることになり、また認知機能検査で“認知症の恐れがある”と判断された場合は、臨時適性検査または医師の作成した診断書の提出が必要になります。
しかし、上記のような検査などは数年に1度受ける程度であり、完全な予防とは言えません。高齢者による自動車事故を防ぐためには、まず家族が定期的に「安全な運転を行えているか」を確認し、場合によっては運転を辞めるように説得する必要があります。
高齢者はいくら元気で活動的であっても、運動能力は低下していきます。“自分はまだまだ元気だ”と思っていたとしても、運転能力は衰えているものです。 “まだまだ元気”だという高齢者こそ“運転できる”というプライドを持っている人も多く、運転中の注意不足や事故につながることがあります。
免許返納を促すには?
では、高齢になった父親・母親に免許返納を促すにはどのようにしたらよいのでしょうか?
・一緒に住んでいる人たち以外からも説得してもらう
高齢者の一番身近な人が免許返納の説得をしても、なかなか効果が得られないこともあります。ある家庭では「高齢の夫を、妻や仲の良い長女が説得しても聞き入れられなかったが、多忙のためにあまり会えない長男が説得することで、免許返納を受け入れてくれた」といったケースもあります。一緒に住んでいない人から説得されることで、身近な人よりも客観的な意見であると認識し、真摯に言葉を受け入れてくれることもあります。
家庭内での説得が難しい場合は、一緒に住んでいない家族や親族、そして親しい友人などの力を借りてみるのも良いかもしれませんね。
・費用対効果やメリットで説得する
説得する際に「歳だから」「認知機能が落ちているから」などの“老いを感じさせる点”を指摘してはいけません。
「免許返納を行う事でどのようなメリットがあるか?」といった観点からも説得してみましょう。例えば、車を所有している際にかかる自動車税が増税されたことや、古い車のメンテナンス代などを踏まえて「いま乗っている車にそれだけの価値があるかどうか?」を説明するのも良いかもしれません。また「返納した際に得られる自治体の優遇措置」を伝えてみましょう。
複数のメリットを挙げながら、運転するリスクを考えることで、説得は成功しやすくなるはずです。
実際のところ高齢の家族に対する免許返納の説得は、容易ではないかもしれません。しかし、自動車税やメンテナンス費用などといった、運転し続けることでかかる費用と免許返納によるメリット・デメリットを比較することで、「高齢になったから~」とは異なる観点で説得することができます。高齢なご両親にいつまでも元気でいてもらうためにも、今回ご紹介したポイントを踏まえて免許返納についてお話してみてはいかがでしょうか。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)