車椅子の方にも優しい! UD(ユニバーサルデザイン)タクシーってどんなの?
2017.1.11
最近よく見かける、イエローボディーのミニバン。あの車がタクシーだということを、あなたはご存知でしたか?
見たことはあっても、あれが「UD(ユニバーサルデザイン)タクシー」という特別な車であることを知っている人は、意外と少ないかもしれません。一体UDタクシーとはどんな車のこと?詳しくお教えしましょう。
「みんなにやさしい」次世代タクシー登場!
2016年12月、東京都は日産自動車が生産するミニバン「セレナ」を、ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)として運行開始しました。
国土交通省では2011年から環境性能の優れたUDタクシーの普及を進めており、そこでは車椅子に乗ったまま安全に乗降できる点などの規格を設けています。「セレナ」はこの9月に規格認定された車両で、東京都が推進する次世代タクシーの普及促進事業に認定された唯一の車種でもあります(2016年12月現在)。
UDタクシーは、
- ・縦横にゆとりのある車内空間
- ・低い乗降口
- ・広いスロープ幅
などが設計に取り入れられているのが特徴です。
車椅子利用者以外にも、足腰が弱った高齢者、ベビーカーの親子、妊娠中の女性など誰でも利用可能なタクシーで、もちろん一般の人も利用できるうえ、料金は一般のタクシーと変わりません。
2020年まで1台当たり60万円の補助金
東京都のUDタクシー推進の動きは、政府と歩調を合わせて2011年から始まりました。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて2016年度から5年間、タクシー事業者にUDタクシーの車両購入費の補助制度が実施されます。
この制度で補助対象となるタクシー車両はUDタクシーの他、電気自動車・ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド自動車をUDタクシーに補修する経費も含みます。その際の補助限度額は1台当たり60万円となっています。
東京都内では、現在の5万台のタクシーの2割にあたる1万台をUDタクシーにする方針だそうです。
鳥取・愛知・川崎市…全国で導入の動き
UDタクシー導入の動きは、東京都だけに限らず既に様々な地域で見られます。
鳥取県では、2016年4月に県東部地域で14台のUDタクシーを導入したのを皮切りに、同年内には県内全域で合わせて125台を配備予定で、2018年までには200台の運行を目指しています。また同県のハイヤータクシー協会では、それと並行して運転手を対象とした研修を行い、高齢者や障害のある人に対する理解を深める努力も行っています。
また愛知県でも同様に、県のタクシー協会が会員を対象にUDタクシーの乗務員研修を2017年度下期よりスタートする予定です。ここでは利用客とのコミュニケーション、乗降の際の介助方法などが指導されます。
一方では、神奈川県川崎市のJR新川崎駅前のロータリーが2016年3月18日から県内初のUDタクシー専用乗り場になったことも注目でしょう。これは神奈川県タクシー協会川崎支部と川崎市が2013年から共同で進めていたもので、さらにロータリーで利用客がUDタクシーを待つ時間を無くすための配車システムなど、一層のサービス向上が進行しています。
川崎市だけでなく、全国の自治体と関係団体が「みんなにやさしい新しいタクシー車両」の必要性を認識すれば、UDタクシーがより早く普及することは間違いないでしょう。
参考:教えて!UDタクシー 参考:東京都公式ホームページ 環境性能の高いユニバーサルデザインタクシー等の導入補助事業を開始します 参考:新川崎駅前ロータリー UDタクシー専用に記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)