お正月は安全に過ごしたい! 高齢者がお餅を詰まらせた時の対処法
2016.12.27
年末・お正月になると、高齢者がお餅などの食べ物を喉に詰まらせてしまい救急車で搬送されるといった事故が毎年多く発生します。
また、お正月に限らず喉に食べ物が詰まる事故は発生しており、いつ自分や身の回りの人が関わることになるかわかりません。
ここでは、高齢者が食べ物を喉に詰まらせてしまったときの対処方法をご紹介します。
食べ物を喉に詰まらせたら?
お餅などの食べ物を喉に詰まらせた場合は次の手順で対処していきましょう。
1.意識があるか、呼吸ができるかどうかを確認する
正常に呼吸ができているか確認をしましょう。
喉にお餅が詰まって「水が飲めない・話すことができない」場合は気道に入っていると考えられます。この状態が長く続くと顔色が変わり、意識を失う危険性があるため、至急救急車を呼びましょう。
意識がある場合は、まず咳ができる状態であれば咳をさせてください。
咳ができないときは以下に紹介する方法で、詰まったものを除去する処置を行います。意識が無い場合は心肺蘇生を行って下さい。
2.背部叩打法
- ① 詰まらせた人の胸(あるいは下あご)を支えてうつむかせる
- ② 反対の手の平の付け根部分で、左右の肩甲骨の間を強く素早く4~5回叩く
- ③口の中に食べ物が出てきているかを確認し、取り除く
※背部叩打法は意識の有無に関係なく行えます。また、椅子に座った状態や横になった状態でも行うことができます。
妊婦や小さな子供にはこの背部叩打法のみを行いましょう。乳児の場合は、手で顔を支えるように片腕の上にうつ伏せにし、頭を低くした状態で背中を叩きます。
少し大きな子供には、立膝をして太ももの上に子供をうつ伏せにし、ふとももでみぞおちを圧迫しながら背中を叩きます。このときも頭を低くした状態になるよう注意してください。
3.ハイムリック法(上腹部圧迫法・腹部突き上げ法)
大人の場合、背部叩打法で吐き出せなければハイムリック法も試しましょう。
- ① 詰まらせた人の後ろから、ウエスト付近に手を回し、片方の手で握りこぶしを作り、その親指がへその上方、みぞおちより下の部分の位置に配置する。
- ② もう片方の手をこぶしに添えるように配置し、素早く手前上方に向けて圧迫するように突き上げる。
※ハイムリック法は胃や肝臓が破裂したり、器官に穴をあけてしまう恐れがあるため注意が必要です。
ハイムリック法を行う際は手の場所などに注意しながら行いましょう、何度か試しても吐き出されなかった場合は背部叩打法に戻ってください。また、意識が無い状態で行うと、胃から逆流したものが気道に入る恐れがあるため行ってはいけません。
意識を失ってしまったら
反応がない場合は、大人・子供に関わらず直ちに心肺蘇生法を開始するようにしましょう。
胸骨圧迫をすることで、胸の中の圧が高まり異物が除去されることがあります。先に紹介した応急処置に夢中になりすぎて、意識の有無や反応の有無に気付かず心肺蘇生法の開始が遅れないよう注意してください。
喉に食べ物を詰まらせたときの対処法をご紹介しましたが、当然喉に詰まらないような形で提供するという工夫も大切です。
予め小さく切っておく、よく噛むよう注意する、朝起きてすぐは避けるなどがおすすめです。
おめでたいお正月を楽しく安全に過ごせるよう、高齢者がいるご家庭は注意しましょう。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)