高齢になると膝を痛めやすいのはなぜ? 原因と対処法
2016.11.25
歳を重ねるにつれて体力や回復力、免疫力が低下していきます。
そんな高齢者が抱える悩みの1つに「膝の痛み」があります。膝の痛みをただ我慢したり放置したりしていると歩けなくなってしまうかもしれません。
ここでは、膝の痛みの原因と対処法をご紹介します。
歳をとるとなぜ膝が痛くなるのか?
若いときに健康だった膝も、高齢になると痛くなることがあります。その原因には次の点が考えられます。
・筋肉量の減少
高齢になっていくにつれ、筋肉の量が減ってしまいます。筋肉には体を支える役割があるだけではなく、膝などのような関節にある軟骨にかかる摩擦をやわらげています。
筋肉量が減ることで膝に負担がかかるようになるのです。
「筋肉量が減って膝に負担がかかり痛みが生じる」
「膝が痛むためにあまり動かなくなる」
「さらに筋肉が減少する」
以上のような悪循環に陥ってしまうと、簡単には回復できなくなります。普段から運動して体をバランスよく支えるための筋肉量を維持しましょう。
・滑液(かつえき)分泌機能の低下
関節は関節包(かんせつほう)という薄い膜に包まれています。関節包の内側には滑膜(かつまく)があり、粘り気のある液体の滑液を分泌します。滑液はヒアルロン酸やたんぱく質などを含んでおり、骨の摩擦を軽減したり関節の動きをなめらかにします。それだけではなく、軟骨細胞への酸素や栄養の供給と、老廃物の排出などといった役割を果たしてくれています。
つまり、歳を取るとこの分泌機能が低下するため、骨が摩擦を受けることで痛みが生じる、というわけです。
・軟骨の擦り減り
関節痛の原因として、一般的なものが軟骨の擦り減りです。関節部分の骨と骨の間にはクッションの働きをする軟骨があります。しかし歳を重ねると関節のしなやかさがなくなって、軟骨が他の骨とぶつかって擦り減っていくのです。すり減って破片となった軟骨は膝の中で散ってしまいます。それが関節内炎を起こす可能性があるのです。症状が進行すると、骨と骨が直に擦れるようになり、さらに強い痛みが生じてしまいます。
膝の痛みを予防・対処するには?
・運動して筋肉を維持する
上でも説明した通り、膝に痛みを覚える原因の1つは筋肉量の低下です。運動して筋肉量を維持・アップさせることで体を支える土台が整い、膝にかかる負担を軽減します。
さらに運動療法は基礎代謝のアップが期待できるため、運動不足による体重の増加を防ぎ、体型を維持できます。
毎朝のラジオ体操やストレッチを習慣づけてはいかがでしょうか。こうした運動で少し膝が痛いと感じる方は、膝への負担を軽減できるプールでの運動をおすすめします。
・膝サポーターで悪循環から抜け出す
すでに膝に痛みがある場合は、膝への負担を軽減してくれる膝サポーターを利用しましょう。痛みが緩和されることで、先にご紹介した膝の痛みと筋力の悪循環から抜けだすきっかけになるはずです。サポーターを選ぶ基準としては、「自分の膝に合っているもの」「固定する力が強いもの」「保温効果があるもの」などが良いでしょう。また夏場に利用される場合には、蒸れを防ぐ効果も欲しいところです。
・サプリメントなどでの栄養補給
膝の痛みを軽減するためには、軟骨の元となる成分や軟骨形成をサポートするサプリメントなどを摂ることもおすすめです。積極的に摂りたい栄養素は、グルコサミン・コラーゲン・コンドロイチン・カルシウムなどです。もちろんその他の栄養素も大切です。バランス良く食事をすることを忘れてはいけません。
健康な膝を作るには、骨や筋肉の元となる成分の摂取と、適度な運動が必要です。 痛みがひどく、何から始めていいかわからない場合は医師に相談することをおすすめします。
記事監修:老人ホーム入居相談員(介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー2級、宅地建物取引士、認知症サポーター)